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空の愛し子  作者: uta
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憧れ

「なぁ、グレイス、お前も学校に行ってみないか?」 


 くすんだ金髪をオールバックにしていて、背は高く190センチは超えているだろう。歳を感じさせない、荘厳な顔をしていて威厳の塊のような人。育て親のフォールさんと食卓を囲んでいると、飯の感想を聞くような気軽さで話を振ってきた。 


「ええ、それまた急な話ですね。学校というと、もしかしてヴェルス総合学園の話ですかね?」 


 私が住んでいるヴェルス国の首都カディスには、ヴェルス国直属の騎士団が存在している。民たちからは多大なる尊敬を集めており、町中の少年達に将来なりたいモノを問えば、ほぼ全ての少年が騎士団になりたいと答えるだろう。そして、その夢を叶えるのに一番近道だとされているのがヴェルス総合学園を卒業する事だとされている。

 

「ああ、といっても、騎士や兵士に必ずなれ、とかそうゆう話じゃない。この学校を卒業した、ってだけでも手に職つくってもんだ。要は、お前の為だな。」


 フォールさんは、直実な話の伝え方をする。話の最後に、毎度欠かさず何のために伝えたのかを話すのだ。 


「そうですね、ですが、気になる事があります。やはり学園というからには、筆記試験などがあるのでしょう?私はあまり得意ではありませんが、大丈夫でしょうか。」


 恥ずかしい話だが、私は学問を得意としていない。日常的に使う算術や読み書きはできるが、ヴェルス総合学園に求めれられるような高度な知識など持ち合わせていないのだ。


「そこは心配するな。お前も知っての通り、ヴェルス学園には、確かに筆記試験もある。だが、あの学園が重きを置いているのは、確実に強さだ。」


 それを言われると、確かに私でも入れそうな気がしてきた。私は、フォールに幼少期から強くあれるために稽古をつけてもらっていた。


 少なくとも、同年代の子供よりは格段に強い自負を持ち合わせている。フォール曰く、「このご時世、強くない奴は生きる事さえ怪しい。お前が悔いなく生きる為にも、お前も強くある事を知っておくべきだ。これはお前の為でもあるな。」とのこと。


「そうなんですね、ええ、いい機会ですし、試験を受けてみます。明日はやる事もないですし、国営のギルドにあたってみますね。」


 ギルドは基本的に2種類に分かれる。国営と民営ギルドだ。ヴェルス総合学園など、学園は数が少なくほぼ全てに国が関わっている。首都カディスにさえ学園は二つしかない。国営のギルドであれば、試験参加の手続きが踏めるわけだ。


「いや、ギルドには赴かなくてもいい。俺が推薦したからな。お前は明日、学園へ向かい、説明を受けてこい。ああ、寮への移住手続きもしてあるから、荷物も纏めておけよ。」


 フォールさんの悪い所だ。本人は善意でやっているんだろうけれどたまに困る時もある。だが、学園に通うような人達と過ごせると思うと、少しだけ心が弾んだ。


「はい、わかりました。食べ終わったなら、食器は水につけておいてください、洗っておきますから。」


 フォールさんは少し顔をほころばせて、

「おお、すまない。お前も洗い終わったなら、湯船に浸かって明日に備えておけ。なにかと、忙しくなるだろうからな。」

 そう言うと、自室へと戻っていったようだ。


 食器を洗いながら、想像を膨らませる。ヴェルス総合学園の外観を私は見たことがない。とゆうか、殆どの人が見たことがないだろう。なぜか、それはひとえにヴェルス総合学園がある場所に由来する。空島にあるのだ。ヴェルス国の子供達は、殆どの子があるお伽話を聞かされる。


 ____むかしむかし、古き人々は、悪しき龍シャガルガシャルに命を脅かされていた。国を滅ぼし多くの人々を死に追いやっていった。それに激怒したグラディウス·アルド·ヴェルスという騎士が、悪しき龍を滅する為空の女神様に一ヶ月祈りを捧げたという。一ヶ月を経った頃、グラディウスはあるお告げを受ける。「私の愛しき子よ、空を我が物にせんとする、悪しき龍を討ち滅ぼしたいのですね。ですが、それは人の身にはあまるでしょう。ですから、私が貴方に可能性を与えます。強くあれるように、誇りを汚されないように。」天啓を経て、いままで人が持ち得なかった魔力を身に纏い、グラディウスはシャガルガシャルを大海に封印した。その後、その近くの土地に建国を行い、更に大海の空には、いつ悪しき龍が封印から抜け出してもいいよう見続ける為に、偉大な魔力を使って空島を創り上げた。____


 それがヴェルス国であり、ヴェルス総合学園が空島にある理由だ。それ故に、ヴェルス国での騎士は特別な意味を持つ。悪しき龍から、悪しき者から、正しく存在するあまねく命を守る為に存在している。だからこそ、騎士は強くあらねばならない。


 騎士団は全員で21人しか存在しない。その時代の最も強い人達が騎士団になり、その中でも一番強い人が騎士団長になる事ができる。そして、そんな騎士団長だったフォールをグレイスは尊敬している。


フォールのように、強くなりたかった。身体だけでなく心も。だからこそ、騎士にも憧れていた。そんなグレイスが、入学できるとなって嬉しく思わないはずがない。あれやこれやで洗い物を終えて、風呂場に向かう。体を洗い、湯船に浸かって、風呂をでて、自分の部屋に戻った。ベッドで横になり、天井を見上げる。


「ああ、楽しみだな。」

初めての小説なので、長い目で見ていただければ幸いです。

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