未来は僕等の紙の中②
朝、いつものように時元と一緒に登校する。そしていつものようにくだらない話をしながら学校に着く。
時元とは家も近く仲がいい。
小6の時に俺が転校してきた時にいろいろ世話を焼いてくれた。
時元は、見た目は普通の中学生。普通の顔に普通の体型。髪型は短いつんつん頭だ。
だが、異常なほどに賭け事が好きだ。
別にパチンコ、競馬等をやるわけではない。
ポーカーや、頭脳戦などを得意とするギャンブラーだ。(いかさまもするらしい)
そんな俺たちも中2になって、恋愛話をしたりするようになった。
「神柳は誰が好きなんだよ?」とちょっと照れながら時元が聞いてくる。
「はぁ?いねぇって!!お前はどうなんだよ?」
こうは言ってるが実は好きな人がいる。
隣の席の大井川桜だ。
彼女はショートカットにメガネの女の子(女の子を書く必要はなかったな・・・)
普通に明るくて、普通の女の子。表向きは。
まわりはあまり知らないが、大井川は「変わり者」である。
しかも「「男×女」の恋愛なんてあり得ない!!気持ち悪い!」と言っている・・・・。
この時点で僕の恋が叶うことは無いだろう。
(実際彼女に告白した奴は、「男に興味がない」と言われている。レズではない。)
そんな彼女にも悩みがあって、それを解決したときに(いや、実際解決してないんだが)、好きになってしまった。長くなるのでこの話は別の機会に。
「俺は・・・・いる。」と時元。
「!?」驚いた。時元に好きな人がいたのか・・・・・。
「ほら、いつも大井川と一緒にいる・・・上川だよ。」
「・・・・・マジで?」「そうだよ!!」
上川未来か・・・・。
上川はウチのクラスで一番かわいい(と言われている)女子だ。
性格もいいし、器量よし。非の打ち所がないと言う奴だ。
「そうだったのか・・・・。応援してるぞ。」
時元は顔が真っ赤だ。
そんな話をしている間に学校に着いた。
「うはよーっす!」と後輩が挨拶してくる。(ちなみに僕は放送部の部長だ)
「おう。おはよう。」といいながら下駄箱の上履きを取ろうとしたら、何かに手が当たった。
「・・・・・・・・・・・・!?」
薄いピンク色の封筒。これは・・・・・。
「ラブレター?」僕はあわてて手紙をポケットに入れる。
そのまま教室に向かおうとする。(内心はスキップ!!)
何故か時元の態度がよそよそしい。
「お・・おう。おはよう!」
さっきまで一緒に歩いてたじゃないか。
そのまま教室に入る。「オッハヨゥ!!」
「おう。」「んぁ?」と返事も戻ってくる。
そのとき。時元が何かを落とした。
「・・・・ラブレター!?」とみんなが反応する。
あわてて隠そうと時元が拾うが、コンマ1秒差で上川が拾った。
「時元ラブレターもらったの!?」とみんなヤンヤヤンヤ言い始める。
このとき、僕は気付いた。
その封筒は薄いピンク色だった・・・・・。(苦い顔をしているのが自分でも分かる)
「同じの持ってます・・・・」と弱々しく言ってみた。
「・・・・・・・・・・?」とみんなはキョトンとしている。
そして「みんなが開けてみようぜ!!」と言って、最初のシーンに戻る。
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~神柳春志様~
突然のお手紙失礼いたします。こちらは、@と申します。
このたび厳正なる抽選の結果、神柳様が「隠れんぼ」のプレイヤーと決定させていただきました。
おめでとうございます。なお「隠れんぼ」の説明は下記とさせていただきます。
~「隠れんぼ」概要~
参加者:20名以上とさせていただきます。
場所:F県内とさせていただきます。そこを出た場合、命の保証は無いとお考え下さい。
参加費:あなた様の大切な物をいただきます。ご心配はいりません。見つけていただければお返しいたします。ルールを破った時点で破棄させていただきます。
ルール:あなた様の大切な物をお預かりします。制限時間内に見つけていただければ、お返しいたします。上記にもあるとおりF県内にございます。交通手段は、ご自由に使用していただいてかまいません。なお、交通手段として、F県内で使えるプリペイドカード「PLUTO」を明日送らせていただきます。このカードは県内の交通機関すべてでご使用になれますので、ご安心下さい。
5万円の資金と、連絡用の携帯電話も一緒に送らせていただきます。
以上が「隠れんぼ」の概要です。もし、ご質問などがございましたら、明日送らせていただきます、携帯電話でお願いします。
~@~
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「・・・・・・・・・・は?」とつぶやいてしまった。
まわりもポカーンとしている。
隣にいる、時元正義の持っている紙をのぞき込んでみたが、同じ事が書いてある。
「いたずらじゃない?」大井川が言う。
「いや・・・・・でも手が込んでるなぁ・・・・」と、深山。
清野は頑張って笑いをこらえようとしている。
ふぅ。なんだか安心したような、哀しいような。
続く。
次回!!隠れんぼの詳細&大切な物が判明!!
次回は「21人のバイオリン(仮)」です