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第七話  昼間に見る集落

午前十時頃に宿から自治会長の家へ出発した。

昨日は日が傾いた後に到着してそのまま見て回ったため、こうして改めて明るい時に見ると昨日と景色が少し違って見える。持ってきた写真そっくりそのままだ。


それにしても、外はこんなに明るかったのか。

朝起きた時、部屋の中は薄暗く今日は曇りかとも思ったほどだった。窓の位置が高いことによる利点はいくつもあるだろうが、低いことによって何かメリットはあるのだろうか。それもこの後聞いてみよう。


と、同時に気になることがある。

住人からの好奇の視線である。どこを歩いてもじろじろとこちらを見ながら時折ひそひそ互いの顔を寄せ話している。


よそ者が珍しいというのは分かるが、それにしたっていささか過剰に思えるほどだ。

今もすれ違ったご婦人二人組がじっとこちらを見つめながら何か話している。


「ほら…あの子…たって…。」


内容はよく聞き取れないがどう考えても私たちのことだ。


当然何か分からないようなことを噂され、心地の良いものでは無いがかといって文句を言えるわけもなく。いたたまれない気持ちで作田と二人、小さく縮こまりながら主人に教えてもらった方へ歩いていくと、一等大きな建物の影が見えてきた。


自治会長ということはこの集落のリーダーだろう。地主とかそう言った人がなるという勝手なイメージのもと、恐らくこの人もお金があって、影の大きさ的にもよほど豪華な家を建てたんだろうと想像しながら近づく。


少しずつ、見えてきたのは先ほどの大きな家。見えていた通り周囲の家に比べて一まわり大きいのだが、問題はその造りである。窓は足元にあるものだけで極端に少ない。他の家と同じ、サイズだけが大きくなった感じだ。


近い場所にある建物が同じような構造をしているのは特段珍しいことではない。しかしまるでコピーアンドペーストしたかのように全く同じその容貌は、様々な種類の家が立ち並ぶ現代日本に慣れ親しんだ私の目には奇妙に映った。


不思議な家の構造、住民たちの視線の意味、昨日の怪我だらけの子ども、気になることが山ほどある。

とにかく今は話を聞きに行こう。


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