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第一話 集落へ

写真の家を見に行くべく計画を立てていた私だが、流石にたった一人で行ったこともない山奥の集落に向かうのは不安だったため、友人の作田に一緒に行かないかと声をかけた。

作田は元々風土だとか建物だとか、その土地特有の要素を見て回るのが好きらしく、今回の件も二つ返事でOKしてくれた。


そうして一人で行く不安も解消し、当日を今か今かと待ちわびていた私だが、いざこうして集落へ車で山道を進んでいると急激に別の不安が襲ってきた。

すなわち、私たちのように縁もゆかりもない者が急に訪ねて大丈夫だろうか、ということである。


(今の時代はそうないらしいとは聞くが、)村八分だとか、なんとなくこういった人里離れたような場所はよそから来た者へあまり良い印象を持たないというイメージが私の中であったからだ。


過去にこの集落で具体的な事件が起こったと言うわけではないが、まるで殻に閉じこもっているかのようなその立地が余計にこの不安を掻き立てた。

そんな私とは対照的に隣に座る作田は特に気にしていないのか、カーナビと地図を見比べながら時折私に狸がいたとかきれいな花があったとか、話しかけてきていた。


「あそこに屋根がある!」


すれ違う車もないようなでこぼこの道をしばらく進むと急に身を乗り出しながら作田が言った。指さす方向を見ると、確かに木々の間に屋根がいくつか見える。


いざ行って人々が受け入れてくれるのか、不安は消えないままだったが、ある程度整備されているとはいえ慣れない山道を運転し続けたことで正直疲労もピークに達しそうだった私は早く到着したいという思いの方が強く、もうひと踏ん張りだと気合を入れ直し前を向いた。



無限に続くかのような木のトンネルを抜け、ついに家々が近づいてきた。

集落はもう目の前だ。



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