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第5話 スライムに魔力攻撃は定石

「———そうだよなぁー、スライムに物理攻撃が効くわけないよなぁー」


 あっさりとポヨンポヨンの身体に跳ね返された俺の全力フルスイングに使用した枝を握り締め、逃げながらスライムの触手攻撃を必死に躱したり枝で跳ね返して呟いた。


 いや、少し考えなくてもスライムが物理攻撃にめっぽう強いのなんて分かっていたはずなんだよ。

 だってラノベでも現代でもスライムが物理に強いのなんて常識じゃねぇか。

 でもさ、やっぱ人間本当に焦ってたらそんな常識すらも忘れるらしいわ。


「いやマジでどうしよ。さっき攻撃跳ね返されたせいで無駄に冷静なんだけど。まぁ相変わらず打開策は何一つないんだけ———どッッ!!」


 俺は再び飛んできた三つの触手を人間離れした動体視力で知覚し、枝で跳ね返す。

 ただ、さっきから『ミシッ』って音が鳴っている気がするのが非常に怖い。


「流石に素手じゃ対抗できねぇって」

「「「ギュギュギュ!!」」」

「ハイッ、よっ、セイッ!!」


 自分を奮い立たせる一環として声を出しながら攻撃を只管(ひたすら)跳ね返し、避ける。


 いや、本気でやべぇって。

 何がヤバいって全部ヤバいけど俺の位置がバレてんのがヤバいんだけど。


 そう、俺は既に木々が鬱蒼と茂る森の中へと戻ってきているのだが……まるで俺の位置を正確に把握しているかのように攻撃が届いてくるのだ。

 始めは走った時の音かと思って止まったりしてみたが、結果は全て同じだった。

 恐らく奴らは俺が感じることの出来ない何かを感じているのだと思うけど……それがさっぱり分からない。


 そもそも熱感知とかだったら俺、どうしようもないし。

 原因分かんねぇと逃げても家まで付いて……来るよなぁ……。


 そこまで考えて、やっと思い出した。



 あ、魔法じゃなくても魔力攻撃出来るやん———と。



 俺は逃げるのを止めて木の上にジャンプして乗ると、枝渡りで再び公園の方へ駆け出す。

 何故かと言えば、今から俺がやろうとしていることは、見晴らしのいい場所でないと難しいからだ。

 上手く行けば、三体同時に倒せるかもしれない。


「はぁ……こんな博打みたいな賭けに人生賭けて良いのか分かんねぇけど……やるっきゃねぇよな!」


 俺は少し身体に違和感を感じながらも、何とか公園に辿り着く。

 それと同時に、身体強化も解ける。


「くそッ……やっぱり身体強化の限界かよ。ほんとツイてないね」


 身体強化の反動で全身が鉛のように重たい。

 今直ぐにでも目を閉じてベッドで寝たいところだが……あと少し頑張らなければ。

 

 俺は再び無理をして身体強化を発動させると、急いで準備に取り掛かった。







「「「ギュルルルルルル……!!」」」

「お、やっと来たか。相変わらず下痢の時のお腹の音みたいな気持ち悪い鳴き方しやがって。俺までお腹痛くなるだろうが」

 

 俺に遅れること数十秒。

 公園に三匹のスライムが戻ってきた。


 ノコノコと無防備に戻ってくる辺り、コイツらに大して知性はないのだろう。

 俺を襲うのも、狩りの一種なのかもしれない。

 まぁ餌になってやるつもりはサラサラないが。


「ふぅ……よし!! ———【俺の周りに落ちている枝を全部念力で浮かばせれたらいいのに】!!」


 俺がそう願うと、俺から放出された魔力が先程の間に必死に折った五十本はある枝に纏わり付き、尖った部分がスライムに向くようにして浮き上がった。

 スライムたちは案の定、俺が何をしようとしているのか分かっておらず、呑気に『ギュルルルルルル』と鳴いている。


 良かった、アイツら馬鹿で!


「———行け!!」

「ギュッ!?」

「ギュギュギュ!!」

「ギューーー!!」


 俺の号令と共に、念力で浮かんだ枝達がスライムの下へ一目散に飛んでいく。

 やっと己の身に危険なことが起きると理解したらしいスライムたちが触手を飛ばすが、念力によって動きと軌道を固定されている枝に当たったところで全く進行方向は変わらない。

 

「ヘッ、お前らのぷよぷよ攻撃が効くかよ!」


 まぁ俺が身体強化をして棍棒とかで思いっ切り殴れば枝が折れて動きが止まるとは思うけど。

 しかしそれほどの力をスライムが出せるか……勿論、出せませぇえええええええん!!


 アイツらに知能があれば木を持ち上げて枝を破壊とか色々あったかも知れないが、このスライム達の知能ではモノを使って戦うという概念がないのだと思う。

 結局スライム達の抵抗虚しく、念力で俺の魔力が使われている枝は全てスライムたちを串刺しにし、地面に身体を封じ込めた。


 後は———こう願うだけ。


「———【枝の魔力が勝手に爆発すればいいのに】!!」


 ———瞬間、枝に纏わり付いていた魔力が爆発する。

 威力自体は低いものの……何十とあるので結構な爆発となり、脱出しようとしていたスライムたちの身体を有無を言わさず爆散させた。

 

 パラパラと枝だったモノが空から落ちてくる中、俺はその場にへたれこみ、爆発によって小さなクレーターと草が燃えて灰になった地面を見ながら……。


「…………はぁ、帰ろ……」


 重い体を引き摺って家までの岐路へ付いた。







『———どうだった?』

「動きも悪くないし、機転もきく……文句なしの合格ね」

『そうか……なら———』

「ええ、明日接触するわ」


 又もや誰かが陰で見て居たことを俺は知らない。


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