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逃げるしかないだろう  作者: だるっぱ
だるっぱ 二〇二一年六月十三日
72/80

あとがき

 狙っていたわけではないのですが、六月十三日は長男の誕生日です。

 一九八〇年が舞台の物語「逃げるしかないだろう」を、長男の誕生日に、何とか書き終えて発表することが出来ました。ここまで読んでいただき、心よりお礼を申し上げます。ありがとうございました。

 コロナで世界中が引っ繰り返っている中、僕は五十一歳になりました。一九八〇年という時代は、僕が九歳の時です。

 当時の出来事をネットで調べて羅列するだけでも、実に興味深い時代であったと思います。少し、ご紹介をしたいと思います。


 ルパン三世カリオストロの城が公開【一九七九年十二月】

 ドラえもんのび太の恐竜が公開

 大塚製薬がポカリスウェットを発売

 任天堂ゲーム&ウオッチ発売【ファミコンの発売は一九八三年】

 ルービックキューブ発売

 チョロQ発売

 漫才ブーム到来【B&B、ツービート、紳助・竜介が活躍】

 アイドルブーム到来【松田聖子、田原俊彦、三原順子、柏原よしえ等デビュー】

 笑ってる場合ですよがスタート【後の笑っていいとも】

 お笑いスター誕生!!がスタート

 王貞治現役引退

 山口百恵、三浦友和結婚

 ジョンレノン銃殺


 僕の主観で、興味深いものを羅列しました。四十年以上前の出来事ですが、現在も影響を残しているようなものが、数多くあります。

 当時小学生だった僕は、これらの影響力の大きさを肌で感じていました。新しいものが次々と生まれていて、時代に爆発的な牽引力がありました。また、そうしたパワーの多くはテレビから飛び出していました。


 しかし、五十一歳になった僕が、当時を舞台にして物語を作ろうとしたら、結構大変です。しかも、選んだ舞台はキャバレーでした。

 実は、当初は、キャバレーを舞台にするつもりではありませんでした。前作「本読みクラブ」で生まれた登場人物の寺沢譲治を主人公にして、その譲治を拉致したヤクザの情婦である明美をヒロインにすることだけが決まっていました。しかも、舞台は、落語の寄席のつもりでした。


 現在の僕の職場に、若い頃に吉本新喜劇で団員を経験していた先輩がいます。その先輩に、当時の様子を色々と教えてもらっていました。しかし、聞けば聞くほど、寄席にジョージを上げるのは、かなり難しいことが分かってきました。理由は、師弟制度です。厳格な師匠のもとで下積み時代を経験していないと、寄席に上がることなんて出来ません。素人が上がれるような世界ではなかったのです。


 困ってしまいました。ご都合主義で上げることも出来なくはないのですが、それではリアル感が無くなってしまいます。

 そんな風に思っていると、先輩が萩本欽一の話を教えてくれました。コント55号の欽ちゃんです。

 欽ちゃんは駆け出し当時、キャバレーやストリップ劇場で芸を磨いていました。しかし、芸人といっても生活が出来る程お金は稼げません。

 当時の感覚ですが、駆け出しの芸人というのは、師匠の弟子として住み込みで芸を学ぶか、金銭的なスポンサーを何らかの形で掴まないと、生活をすることが出来ませんでした。欽ちゃんは、後者でした。ストリップダンサーの紐として生活をしていたそうです。

 その後、駆け出しからテレビの顔として人気者に駆け上がった欽ちゃんから、その女性は離れようとします。自分が傍に居ては、テレビの顔に成長した欽ちゃんの足を引っ張ってしまうと、考えたからです。

 その女性が、欽ちゃんに言います。「貴方とは、一緒にならない。でも、あなたの子供が欲しい」と。紆余曲折を経て、欽ちゃんは、そのストリッパーの女性を口説き、自分の妻として迎えます。


 その話に、僕はかなり感動しました。子供の頃に見ていた欽ちゃんに、そんな男らしい一面があったなんてビックリです。その時に、舞台を、寄席からキャバレーにすることを決めました。

 ところが、決めてはみたものの、僕にはキャバレーの知識がありません。初めは、このキャバレーの知識を集めるのに四苦八苦しました。文字に起こされた情報は存在します。しかし、そこには、肌で感じる空気感がありません。キャバレーに関係する書籍や映画を次々と漁り、僕の中にキャバレーという世界を作っていきました。


 話を作るにあたって、苦労したポイントは色々とあります。リアルな描写で、その世界を体験して欲しかったので、様々な情報を集めました。前半部分の演歌の歌詞や、My Foolish Heartの訳は、自分で作りました。オリジナルを簡単に転用することは出来ません。

 My Foolish Heartの訳を作るときは、ビル・エバンスのピアノを聞きながら、ノリノリで作ったのが懐かしいです。


 また、プロットを作ったのに、次々と変更せざるを得なかったのも大変でした。理由はいくつかあります。単純に気に入らなくなったものから、登場人物が勝手に動き出してしまったりとか、事実関係に狂いが生じて来たので変えざるを得なかったりとかです。その度に、ウンウンと頭を悩ましました。

 また、最後のクライマックスは、当初とは、全く違うものになりました。過去のプロットを読み返すと、明美は顔に怪我をしたうえ、自殺しようとしています。その明美をジョージが救うのですが。やめました。悲惨すぎるので。


 現在は、小説を書き終えたことで、ぐったりとしています。当分は、この作品の推敲に時間を掛けたいと思います。それが、ひと段落したら、次のお話を、また書いてみたいと思います。ジャンルは、サスペンスにしようかなと考えています。昨日、レンタル屋に行って、サスペンスの名作ばかり、八本も借りてきました。少し時間が掛かると思いますが、また、書き始めたら、読んで頂けると嬉しいです。すっごくすっごく励みになります。


 お付き合い頂き、ありがとうございました。また、会う日まで。

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