第6話 あくやくれいじょう、とししたのきょうだいがほしい
異世界チート無双ハーレム、強いオス理論とおもいきや
わたくちは転移者・転生者一族の末娘なので、とししたのきょうだいがほしいのでしゅ。おとうとかいもうとがいたら、よいのでしゅ。もしいたら、ちょーかわいがってあげるのでしゅ。きっと、ははうえににてて、かわいいはずでしゅ。
「ははうえっははうえっ! どうしてちちうえと結婚したのっ!?」
「むすめちゃんは~、ちちうえのこと~、どうおもうの~?」
「うーんと、おじーさまとかおじさまたちにくらべると、てんせいしゃとしては、ちょっとザンネンというか、コレじゃねー感というか」
「はっきり云うわね~、たしかに~、本の虫で恐妻家で親莫迦以外には~、これといって特記事項がないヒトね~。」
「母上、いくらなんでも断言し過ぎでしゅ。あんなでも少しくらいは良いところが」
「ハイエルフの末裔たる~この私が~、ついてても~、アレなのよ~。むしろ~、私が~居ないと~、お箸にも棒にも~ひっかかりはしないと云っても~、過言ではないわ~」
「否定できる部分がなくて、すこしつらいでしゅ」
「記憶に有る限りの~前世でも~、やっぱり~、私がついていて~、ようやく人並み~、そうでなかったら~、単なる~穀潰しなのよ~。
生きているうちに私の魂を持つ個体と出会えないと、早世しちゃうし~、スキルも、たいてい発動しないし。しかも、たいていあの性格だから、スキルが発動してもなお、早世してしまいがちなのよ~。」
「ははうえ~、ダンナをダメんずにするヤンデレ嫁でしゅか~、それともダメおとこに嫁入りして自虐するメンヘラ嫁でしゅか~」
そういえば、思い当たるフシがありまちた。ははうえと二人でエルフの里に里帰りしたら、単身赴任状態のちちは、寝食をわすれて仕事漬けの鬼・兼・趣味まっしぐらの遊び人になってしまったので、慌てて、短期の滞在にして帰ってきたのでしゅ。数日の滞在でしたが、いきなり眼鏡の度が進んでいたのにはビックリしまちた。ものには限度があるというのに、度を超してわがままなオヤジなのでしゅ。生存本能というか、生活力が決定的に欠如しているといえましゅ。
割れ鍋にとじ蓋、というか、ノミの夫婦なのに、どうして私が生まれてきたのか、ふしぎでしゅ。
「エルフの遺伝子工学の賜物なのよ~。父親ベースで~、短命ヒト種に近い寿命を持つ子が~、娘ちゃんで~。
母親似で~、エルフ種の成長速度のきょうだいは~、エルフの里に居るわよ~。」
衝撃のしんじちゅでちた。(噛んでにゃいでしゅ)
そういえば、エルフの里に行ったときに、お祖父様たちにかわいがられてた、おくるみの赤ちゃんが居たような。ははうえが、もし男の子で、あかちゃんだったら、という風貌で、生きわかれの(?)双子の弟だったのよー。
ちちうえとははうえは、これまで、何回か、転生しては出会っているはずだけど、こどもまでなしたのは、今回が初めてらしい。
そうすると、99まん9999かいくらい生き返って、ひゃくまんかいくらい死んだにゃんこみたいに、ちちうえは、今回は、もう、死んだら、そのまま転生しないんじゃないでしょうか?! しんぱい! しんぱいっ!
(なぜか一族の中で真っ先に死んじゃう認定されてるらしい父であった。いやまあ、日頃の行いからすると生命力とか生活力とかそういったものが致命的に欠けてるのではありますが)
とししたのおとうとは、うれしいのでしゅが。おとうとちゃんとあそんであげられるくらいおおきくなるのは、はたして、いったいいつのひになるのでしょうか。
「そういえば~、なんとなく~、織り姫さんとか人魚さんとかマカロニ貴族だったような記憶が~、うっすらとは、あるにはあるのだけれども~、前世の父上が~、竪琴弾いてたり~、ヨモツヒラサカに迎えに来たりした記憶は~、無いのよ~。」
わりと結ばれないパターンが、おおかったみたいでしゅ。それにしても「いちゃらぶで仕事も読書もしないちちうえ」というのも見てみたいような、休日のちちうえは、すっかり天の川を越えた逢瀬を愉しむ中華牛テイマーのような、牛鮭定食が似合いそうなマイホームパパであるような。
(牽牛なのに、牛肉を食べちゃう? それでいいのか? そしてなぜ吉野家コピペ)
「さらに、同じ世界の同じ時代に、同じ組み合わせで複数生まれちゃったりもするのだけど、たいていあの人のドッペルゲンガーのほうが、早世してしまうの~」
「そうすると、残ったほうの「母上」はどうしゅゆの?」
「それが不思議なもので、「”尖ったスキルで生活力皆無な転生者”と、なんでもできる有能な奥さんが配偶者の介護してる夫婦」のところに介護の手伝いにいくことになってしまうの~」
「いったいどんな異世界はーれむなのでしゅか。
ふつう異世界ハーレムって強い雄が遺伝子残すために無双してゆ状態でわ?
ダメだめ人間・おぶ・駄目ニンゲンが複数人介護チームのおかげでなんとか延命してる状態は、ハーレムとはいえないでしゅ。」
複数人介護チームでなんとか延命する弱いオス理論(ノミの夫婦