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【パパは傾国の美女?笑】 side サリュー

『身綺麗』にって大人が言われたら、

 普通は“あっちこっちのヤバい交際関係”を整理する事を言うんだよね。


 でも、アラフォーの‘俺の身綺麗’は、髪くらい切って整えろ!

 

 仕事以外で着用の部屋着くらいは、もう少しましな物を見繕え。

 という、ホントに恥ずかしい‘身綺麗’でした。


 家に帰ってスールさんと、マコに話をした。

 スールさんには絶句、マコには絶叫されて。


 マコが知り合いの美容師を家に引っ張って来てくれた。

 髪を切ってサッパリした。


 着るものも、ずるずる楽に部屋で着るもの、

 ちょっと外に出るものや下着から靴下、靴まで、

 全部マコが何とか揃えてくれて、助かった。


 持つべきは‘たまには’娘。


 ついでにマコに預けてある支払い用の家族カードも限度額を外して、

 アロマと同じ無制限のカードに変えさせられた。

 まあ、いいけど。


 大学·ユニに出発前のアロマに会えて、ホッとする。

 

 これで、アロマとの今生の別れになるかも知れないから。


 この子には、いくら詫びても詫び切れない。

 償いようもないけれど。


 親父様から俺が貰った懐剣を研ぎ直して、

 アロマに渡してやった。

 たいして、縁起の良いものとも思えない。

 渡すのも考えた。


 でも、何だかんだで、俺が身には付けていて、

 結局ここまでは命があったわけだ。

 

 それなら、アロマに渡しておくのも、御守り代わり?


 あの世で、親父がニヤっとしそうで、

 ちょっと面白くもないけどさ。


 マコの彼氏?には、軍服同士では会いたくはなかったので、

 自宅に呼び寄せる事になった。


 彼氏君、今は軍務で宇宙空間。

 帰って来た時にと、しばらく延期。


 数日ゆっくり自宅で過ごしたら、

 良く眠れて俺は体調も上向きになった。

 

 毎日、マドク氏にぎゃーぎゃー言われているよりも、

 衣食住が足りて、

 放っておいてもらえるのは天国でした。

 

 もともと、人にかまわれるの、俺は苦手だったから。


 近くを散歩したり、

 家の周りをちょっとゆっくりに軽くランニングをしてみたり。

 

 思った以上に動くことが出来て、リフレッシュ。

 

 ほんの10日程で、だいぶ動けるようになった。


 もう少し追い込んでトレーニングを、

 と張り切りそうになった所でスールさんにストップをかけられた。

 

 それもそうだと、振り回していた木刀を手から離した。


 一回あちらに戻らないと、

 『マドク氏をはじめ医師団を大量に自宅に送り込む』、

 と連絡(脅し)が来て、偽後宮?に戻る事になった。


 もう一度、マコ彼が戻る頃に、

 自宅に戻れるかが怪しくなって来た。

 

 最悪、基地のどっかで会う事になるだろうけど、

 なるべくそれはやめておきたい。

 

 上官としてマコの彼氏に会いたいわけではないからさ。


 荷物がいっぱいになってしまった。

 スールさんに、先に送っておいて貰えて大助かり。

 

 それなら、本類とかもっと調達しておけば良かったよ。

 今度機会があったら考えよう。



 ***********


 御前に戻ったら、またびっくりした。


 偽後宮が無くなってて。

 やれやれこれで平常営業に戻れるんだと、喜んだ。


 と思ったら偽後宮が、

 陛下の御座所の奥向きの《陛下の生活空間部分》に、

 そっくりそのまま全部、引っ越しをしていた。


 子供達が昔見ていた、アニメの魔法の移転みたいでびっくりした。


 自分の頭がついていかないで、表情筋が固まった。

 たぶん俺は顔色が真っ青だったと思う。

 鏡を見てはいないけれど。


 陛下のご機嫌がこれまでの27年間(空白はあるけど)で、

 見たことがないほど良いのはどうして?


 大仕掛けのイタズラが成功した子供のように、

 『クツクツ』と含み笑いをなさるばかり。


 訳の分からなさに、ちゃんとお話を伺いたいと思っても、

 

 ここまでの間に陛下は一言もお話になられていない。


 俺がこの状態に対し言わせていただくとしたら

『どうか、勘弁して下さい。』以外で何て言ったらいいんだよ?


 ただ、立ち尽くしていると、やっと陛下が口を開かれて


「髪を切ったのか? そうしているといい。」


 いや、それどころではないですよね。


「いったい自分は、どうしたらよろしいのですか?」


 口から出たのはそんな言葉で。


「どうしたら良いのか教えてやろう。」



 ************


 陛下が教えて下さると連れて行かれた場所は、

 いわゆるその大人の運動場?な訳で。


 偽後宮の時とはサイズがレベルアップしているベッドを見て、

 これはまずいでしょう?と、息をのんだ。


 陛下に肩を押されて、ベッドに腰をかける形になる。

 俺の髪に手を入れられて、すき上げるようになさりながら


「私は誰だ?」


 とお尋ねになる。


「メルキオーア陛下。この帝国の皇帝陛下であらせられます。」


「ならば、お前はいったい誰の目を(いと)う。

 この私以外の。

 

 お前の皇帝は、随分と寛容で我慢強い。

 お前も好きに甘やかされた憶えはあるだろう?

 

 サリュー、お前は誰の物だ。答えてみよ!」


 いつもの屁理屈を全開の生意気小僧のままに、

 口を開くとすれば、

『傭兵所から買い上げていただいた金額分、は働かしていただきます!』

 くらいの言葉を並べてしまいそう。

  

 でも、さすがにそれは今は出来ない。


「今上皇帝陛下に生涯の忠誠を誓っております。

 有益な臣下でありたいと望んでおります。」


 斜めちょっとずれていそうだけれど、

 そもそも陛下のストライクがどこかも分からない。


「誰もお前の忠誠心の方向など疑ってはおらぬ。」


 押し倒されて、体の上の陛下にずいぶんと長く、

 口をまさぐられた後に。


「今さら何を?お前ははじめから私の物だ。

 それを、長い散歩にふらふらと。

 今さら(しつけ)直そうにも、手遅れであろうが。

 それならせめて、手の届く所に飼われているがいい。」


 陛下、俺の体力は年と反比例です。

 こちらに買い直された頃とは、年が倍近く。

 体力は‘十分の一’も自信ありません。


 あっという間に、意識不明でしたよね?

 それさえ、覚えていないですけれど。

 やっぱり『勘弁して下さい。』と言うのが正解だったかなあ。


 ***************


 翌朝、昼? 全く動けませんでした。

 いっそ、目が覚めなかった!っていうのもアリだったか?


 自我崩壊をしたつもりで、

 じっとして成り行きを見ていようか?

 

 だって今の状況で、自分でどうにか出来ることは何も思い付かない。

 思考が迷子になりそうだ。


 《いったい自分は何なのだろう?》

 陛下にとっての臣下以外の自分というのは、どうでもいい。

 

 変な言い方になるけれど、自分の‘思い’が分からないのが苦痛?


 これだろうな!俺が四方八方を怒らせるのって。


 他人には嘘をつけても自分にはつけないからしょうがない。

 俺ってものすごく可愛げがないよ。

 自分で思うよ。


 例えば今、陛下に襲いかかる敵が目の前にいれば、

 陛下の前に体を差し出す事に躊躇はない。

 

 でもそんなことは、俺に限った事でも、

 珍しい事でさえもないだろうし。


 俺以外の『紺』の軍服に身を包んでいるもの、

 陛下の代わりに撃たれようと切られようと本望だろう。

 誰でも同じ事をする。


 俺は、帝国という国ではなく、

 皇帝陛下御自身に忠誠を誓っている自覚はある。


 けれども、どっかの安い物語のように、


 『陛下こっちを向いて下さい。こんなにお慕いしておりますのよ。』

 みたいなのはあり得ない。

 

 俺の仕事それじゃないからそれやるのは。


 やれって言うなら、仕事ならいくらでも演技をするよ。

 

 でも、そんな事を俺に陛下は、仰っしゃらない。

 そんな低俗な陛下ではないから、俺は忠誠を誓っているわけで。


 結局、これからどうしたらいい?

 このままでいいのか?

 正解がわからない。


 陛下が俺になされる事、体を繋げる事を、

 他の誰からであっても決して受け入れられない。

 過去も未来も。


 そういう関係がなくても、

 全然変わる気がしないけれど。

 俺が陛下にお仕えする心ばえは。

 

 でも例えば、他の誰かを陛下がそういうことにお使いになっても、

 昔から俺は、全然心が動かないし。

 強がりではなくて。

 

 普通の恋愛関係では『どうぞ誰とでも』は、あり得ないわけだろうし。

 

 俺は、本来の陛下に役に立つ臣下でありたい。

 というか、勝手になっているつもり。

 自分自身の意思で。

 それ以上に何がある?


 じゃあ、こういう求めを陛下にされた場合に、

 俺は、嫌悪して我慢をしているわけではない。

 

 まあ体はきついし、いい年してちょっとどうよって。

 俯瞰(ふかん)して天井から自分を見ている自分が、

 すごく恥ずかしいのはあるけど。


 『嬉しいですか?陛下とそういう事を?』って言われて、

 

 『はい、そうです。』とも、言えないよな。

 

 俺の頭ってどうなっているんだろう?

 

 方程式の答えが解けない。


 もう、自分の“時間”に終わりがあるのなら、

 考えるの事をを封印するのが正解なんだろうか?

 

 落とし所が見つからなくて、気持ちが悪い。


 皇帝陛下がご機嫌が良くていらっしゃるのは、喜ばしいよね。

 見ているだけで。

 

 でも、できればそれに“俺が関わりはなくが”望むとこ。

 

 もちろん自分が公務で成果を上げた事に、

 陛下にお喜びいただけたら素直に誇らしいよ。


 つまり、俺ってどういう事?


 ああ、少し糸口。

 

 こういう可愛げない自分を、

 陛下が仕事以外で俺をお側に置くことに、『何故だろうか?』と理解できない!

 

 自分自身も納得がいかないでいる。だからか?


 じゃあ、陛下に

 『俺のどこが気に入って側で飼い慣らそうとお思いですか?』

 これ聞いたら、答え合わせができる?


 いやいやこれ

 『ねえ、私のどこがすき?ダーリン』

 と同じことじゃないかよ。

 どっかのドラマのセリフかよ?


 恥ずかし過ぎて死ねるな。これ言っちゃったら。笑


 つまり俺、気持ちが迷子の仔猫ちゃんなわけだ?

 爆笑


 *****************


 迷子の仔猫ちゃんのついでのやけくそ


 ベッドで陛下に、


「うちのメス猫が色気付きまして、

 『紺』の男と一緒になりたいと『にゃーにゃー』うるさいので、

 (つがい)にさせていただくお許しをいただけますか?」


 伺ったらたら、簡単にお許しいただけた。


 『お前の飼い猫になど興味はない』ってさ。


 ほーホッとした。


 **********************


 《閨房でおねだりの悪いお妃》ごっこをしている。


 笑笑笑


 俺、たぶんかつてないほど‘落ち込んで’居たんだ。

 ぐっちゃぐちゃに、なっていたもんな。


 だいぶ、精神的にも‘復活’。


 これ何度か覚えがある。

 落ちると、俺は“ぐずぐず”するんだよ。恥ずかしいけれど。


 ここから浮上する技を掴んだのは、またもやユニ·大学での体験。

 教育機関って尊い。

 実際は教育機関への攻撃のお陰?って言えばお陰?


 *******


 ユニは、あっちこっちの偉い人の子弟を預かっている事から、

 防衛システムのガードは見事なもんだった。


 外部からの侵入の防御は、軍事国に比較してもレベルは遜色がないし。

 

 防御幕を幾重にもかけて居るので、大概の攻撃が弾かれるし。

 

 《ユニの周辺の領域に大型戦艦は入れない》という条約が徹底されているので、

 今までユニは、大きな損傷にあった事がない。


 生徒達の出入りは、途中で小型船に乗り換えて入港する。

 

 新学期に大学に戻って来る時でさえ、途中で何回もセンサーにかけられる。

 

 もちろん、爆発物の積載や、不審者の侵入も弾かれるし。


 事故って言えば、一度小型船がよっぽどボロかったのか、

 ふらふらと、ユニに不時着をしたことがあったらしいけれど。

 

 その小型船が爆発した時でさえ、

 ユニ全体が消滅するような壊滅的な状態にはならなかった。


 それでも、ユニを狙って悪いことを考える奴はいたもんで。

 何せユニの学生には、誘拐したらザックザクと儲かる、

 ウサギさん牧場みたいに“良いおうち”のお子様が多い。


 その悪い奴らが、ユニの入場チェックに途中でかけられるセンサーを、

 そっと(いじ)って、

 センサーから脳波にダメージを与えて、

 ユニを一時的に機能不全にしようとした。


 さすがに、ユニ全体には‘毒’センサーはかけられなかったけれど、

 防備の一番薄そうなところを狙ってきた。


 ほんとに俺はついていなくて、その場所でちょうど実習があったんだ。


 そこの小さな出入口近くに、50人くらいが居たかなぁ?

 生徒と教職員が合わせて。


 いつものユニの出入りセンサーは、Xレイをかけられている程度で、

 気にもならない。

 ところが、この作為的な毒センサーは、

 ゾワゾワと頭が握り潰されるような感覚がした。

 

 ほとんど皆が、その“毒”センサーをかけられた途端に意識不明になった。


 俺は、頑張ってスクランブルのボタンを押して、

 緊急時シャッターを下ろしてからダウンをした。


 内部への‘外敵’の侵入は無事に避けられて、ユニ側の死傷者はゼロ。


 でも、その時は体自体は死傷者はゼロだったけれど、後が(ひど)かった。


 その後で、精神状態を無理やり奈落に落とすような感覚が襲ってきた。

 

 その日にそこに居合わせていた、

 その毒センサーが体を通過した人間は、

 軒並み全員がメンタルをやられた。


 そのまま調子が元に戻らず、国に帰る生徒も多くでた。

 

 目を離した隙に“自分で自分に手をかける”者まで出て来て、

 ユニ側が原因究明に大わらわになった。


 その時に、“毒センサー”にかかっても、

 数日で平常心に戻った人間が数人いて。

 

 その数人の共通点を探る事が、

 今回の解決の糸口になるだろうって、

 ‘ユニ’大学側は考えた。


 集められた4人の中に、俺が入っていた。


 集められた面子(メンツ)を見て、俺は物凄く意外に思った。

 

 屈強な見るからに“強そうな”タイプが1人もいないのさ。

 体と心を鍛えた戦士タイプがいない。

 

 俺は例外。

 見た目はあんまりガチムチ系ではないからね。


 かえって、心と体には自信があるっていうタイプが、

 一番ひどいダメージを負っていた。


 大学側は、共通点を見つけたつもりで、

 結局は‘偶然’その日にそこに立っていた“位置”に差が出たんでは?

 ということで、お茶を濁した。


 大学側に、順番に聞き取りをされているうちに、

 俺ちょっと分かったような気がしたんだよね。

 集められた4人の共通点が。


 俺は聞き取りにたいして、

 

『秘密を打ち明けちゃいます、内緒ですよ』と、

 

 聞き取りに来ていた相手を、

 自分の作った落とし所に誘導するようにしながらユニ側に話をした。


 俺は、ユニにこんな風に話をした。


 「自分は、一時生活のために、

 若年傭兵の特殊部隊に在籍していた事がありまして。

その時に拷問耐性訓練を含めて、秘密保持の特殊な訓練を、

 一般人よりもかなり重く受けたことがあります。」


 てきとー。


 後の3人は、


 1人は熱心な宗教国の次代の国家元首。

 優秀な人材と誉れが高かった。


 もう1人は、優秀なんだろうけれど、

 他人と目を合わす事が出来ない男。

 ‘詩人’だって。

 あまりこの大学では多くはない文学専攻。

 《廃退的な美しい詩が宇宙の文学史に足跡を刻む逸材》

 なんですと。

 残念ながら俺には、全くわからない。


 もう1人は生物学だったかの専攻の、《体のうんと小さい女の子》。

 人種的なものなのかな?

 リスみたいな印象の小さな体を、もっと縮めてしまって、

 おどおどしていた。

 その女の子の種族自体が消滅寸前で、

 ここユニにたどり着いたらしい。


 一見共通点はないように見えるけれど、

 俺には分かった。


 それをユニ側に説明しても、

 たぶん理解する事は出来ないだろうと思ったので、

 俺は口をを閉じていた。


 俺は、

 

 『4人とも、ギリギリになると、

 自我は残したままに、

 どっかのスイッチを自分で切る仕組みの人間なんだ。』


 と、いう事に思えた。


 ユニ側の聞き取りの人間が居なくなった後で、

 少し4人で話をしたところ。

 

 おおむね全員が表現は違うけれど、

 あの毒のようなセンサーにさらされた瞬間に、


『これは、黙って沈んで行くしかない奴だ!と、

 それでも目は閉じないで。

 あるかないかわからない底に沈んで行く恐怖に諦めた?』

 

 どっかで瞬時に抵抗しないで、

 恐怖とじっと向き合うスイッチに切り替えられた。

 

 それができた事が4人の共通点。


 俺もこのとき、

 黙って手足の力を抜いて死んでいる実験動物になったように。

 

 目はしっかりと開いて、

 沈みきって底を打った瞬間に“よしここだ!”

 と蹴り上がる準備だけはしておいた。


 何て言うか、

 『諦めないで諦めて、底を待つ』

 これが体験的にできたから、

 この4人は無事でいられたじゃないかと、その時に思った。


 人生の上手な諦め方?の、取得者達?



 *********



 マドク氏に施された化学物質治療は、

 この“毒センサー”に匹敵をするほど、

 底に向かってメンタルが引っ張られてキツかった。


 マドク氏、

 これは一般に出回ってる薬の治療を、逸脱しているでしょう?

 

 いくら研究テーマでも、

 これを一般人に使うのは、ほとんど無理だと思うよ。


 君に教えてやる気はないけれどさ。


 やっとこの頃、“底が見えて来た”と思う俺。

 

 底だ!と思った瞬間に、

 静かに逆行して浮き上がって来ている。


 ということで、

 俺が髪を切ってきたら、やけに色々とご機嫌のよろしい皇帝陛下に、

 冗談半分で、絶対に2人だけのところで《おねだり》をしてみたら。


 マコの事に限らず、結構お許しがいただけて。


 カードゲームで、この札までは通るかな?と、

 ドキドキしながら賭け事をしているような、夜の陛下の大人の運動場。


 陛下御自身が今はこのゲームを楽しまれているご様子。


 だけれど、調子に乗って間違えたカードを切った途端に、

 カードテーブルを、陛下に全部ひっくり返しされるの分かってるから。

 ドキドキ。


 別に俺、‘傾国の美女、陛下を(たぶら)かす’はやっていないから。

 

 歴史上の“傾国の美女”よりも、全然‘こつぶ’なお願ばっかり。

 

 マコ彼氏の面接に、もう一回家に戻らせて貰うお願いは、

 びっくり簡単オッケーで。

 

 来週から10日も家に帰れることになって、

 夏休み前の子供みたいにワクワク。


 調子に乗って、小型の高速船を作ってみたいとお願いしたら、

 これもオッケーをゲットした。


 次の大物は、移動式の防衛機能システム。

 陛下がウルトラご機嫌がいい時に、

 出してみたいジョーカーのカード?


 戦艦に搭載方式の防衛用の機器は、これまでもにもあるけれど、

 俺が前から作りたいと思っていのはちょっと違って。


 あれ、でも、開発に予算も相当にかかるから。

 

 これは、下手すると‘傾国の悪妃’案件になり得るのか?ヤバ

 

 帝国が傾く程ではないと思うし。まあいいか。


 でもこれが完成できれば、

 もし西の方から何かが起こった時に、

 相手に気がつかれずに、こっちの帝国に防衛がかけられると思うんだよね。


 構想20年以上の、俺の脳内妄想のイチオシの物件ですが。

 作りたくってたまんない


 来週の、マコ彼氏からの話が、

 トントン拍子に進んだ時には向こうの親御さんにもお目にかかっておきたい。

 

 何せうちは家族揃ってヤバそうな瑕疵(かし)物件だと思うよ。

 ちょっと考えたら、俺なら逃げ出すもん。


 来月は、妹のアンが帝国で補給の乗り換えをしていく予定。


 いったいどういうつもりなんだか?


 アンの亭主の方の陛下?がこっちの陛下に挨拶している短い時間に、

 俺が妹と話をさせていただく了承も、皇帝陛下にいただいてある。


 閨房(けいぼう)の、おねだり作戦。なかなか凄いですね。


 あの世で、親父に剣でバッサリ殺られるのはもう覚悟での開きなおりだね。


 息子が後宮で陛下におねだりって耳にしたら。

 

 親父様死んでいても、もう一度憤死するんじゃないかなぁ。


 でももう、少しだから、どうでもいいかなもう。



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