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【パパは4度目の夫で皇帝陛下の愛人?】 side ミラージェン

 いきなり、病室での初対面となった、

 私ミラージェン·マケルの4度目の結婚相手は、

 ‘普通’に意志の疎通がとれる相手であった。


 病気療養中と言うこともあり、顔色は優れない。

 とはいえ実年齢よりもずいぶんと若い印象が見てとれた。


 今回は、養父の叔父に初めて頭を下げられた婚姻であった。


 これで、私のマケル家の娘としての仕事は、

 生涯終わりとして貰える確約をとってある。


 4度の婚姻を強いられた宰相家の令嬢。

 世間では養父が道具として娘を使い尽くしたように、

 口の端に登っているらしい。

 

 しかし真実はそれとは異なる。


 叔父は宰相として帝国に仕える事も長きに渡る。

 今さら娘を道具にするほど、

 お粗末な政治力の‘妖怪マケル宰相’ではない。


 1度目は、結婚という形の、

 戦後処理の《人質交換》のようなものであった。

 事が成った後は白紙に戻される約定の上で、

 7歳の私と、80歳の前皇帝陛下時代の重臣との、

 《完全な白い結婚》であった。


 私は、その家の孫達に混じって、

 大切に扱われて過ごした。

 当主が亡くなると同時に、帝国内も安定を整え、

 私はマケル家に帰された。


 2度目、3度目の結婚は、

 皇太后からもたらされた話に断る余地もなく嫁いだ。

 

 未だに、なぜそこへ私が嫁がせられたのか、理解ができない。


 その結婚に戦略的な価値があるのなら、

 私は自分の仕事として成すべき事を成したはずであったのだが。


 叔父は私に、女性としての教育だけではなく、

 外に出た時に力となる知識を余すことなく与えた。


 将来の自分はそれを生かして、

 役に立てるものと信じて疑わずに思春期を迎えた。


 あのお方、皇太后様はたまたま見知った相手にほだされて、

 望まれた通りに私を差し出すよう、叔父に命じた。

 きっと、何の悪気も思慮もなく。


 皇帝陛下におかれては、皇太后様のなさることに寛容なのではない。

 ‘興味がない’のだと叔父が語る。

 

 私の意味のない婚姻は、誰にも止める手立てがなく成された。


 皇太后様は、憎むべき悪女のよう方ではなく。

 いつも春のそよ風のようにあたり一面に愛を注がれる。

 

 目についたものは、猫も犬も人間も同じ扱いで、思い付くままに。


 叔父とて、私の不幸を望んで育てたのではないの事は理解をしている。

 

 皇太后様の優しいお節介に困ることがなければ、

 姪の為にそれなりの幸せも考えてくれたであろうに。


 私の2人目の夫は、狂人であった。

 私はその結婚で、片足を失った。


 皇太后様は、たまたま知らなかったのだと、詫びて下さった。


 3人目の夫は酒に呑まれて暴力振るう男で。

 私は初めて授かった子供を流し、

 この先に母となる道を失った。


 嫁ぎ先でも私を支えてくれた、子供の時からの乳母に泣かれるまでもなく、

 叔父はこの先に私を嫁がせる事は断じてないと誓った。



 ***************


 叔父マケル宰相が私との約束を違えて差し出した4度目の結婚相手は、

『皇帝陛下の愛人?』だと聞かされて、流石に驚いた。


 いったいどのような男性であるのか?


 以前、その彼が所属していた傭兵部隊の(おさ)が、


『極上のシャンペンを、普段使いの入れ物に惜しげもなく注いだような性質、

 アンバランスで危なっかしい。』


 と叔父に評したのだそうな。


 もし彼が、

 『上質のエールを普通のジョッキに注いだよう』

 であったのなら、この傭兵所を渡すに似合いであったものをと。


 さて、どんな男であるものか?


 私は以前にその男の、子供達と会っている。


 飛び込んで来た小鳥を保護するような経緯になって、

 後から丁寧な礼状を、子供の父親として寄越して来た。


 礼儀正しく、美しい筆跡であった事を覚えている。


 ちぐはぐなパズルを会わせるような話ばかりで、

 合点のいかない事ばかり。


 ただひとつ、今回の婚姻は、

 養父マケル宰相の帝国の‘創造’に力を尽くす為に、

 価値のある婚姻であると言う。



 *********************

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