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プロローグ

憂鬱な気分そのままに、空模様があやしい天気である。

そんな風景を窓越しで眺めていて余計に気分が落ち込んできた。

「はぁー」

と一言ため息をつく。


ため息をつくごとに幸せが逃げるなんてよく聞くが、

既に幸せでないこの状況下において、

将来のの幸せなんて想像すらできない。

なぜなら、期末テストで赤点を取り、補修授業を受けた帰りである。


中学生の時は必死に勉強を行い、晴れて高校生となった途端、

タガが外れたように、1学期は遊んでしまった。

親には、

「高校進学までは親の責任。その後の人生は自ら決めろ」

なんて言われたが、やりたいこともなく、

適当な3か月間を過ごした結果である。


「終点、終点、浦和御園です。お降りの際は~」

アナウンスが乗客数が少ない電車の中で響いていた。

地下から地上部分に出てきた電車は、

どす黒い雲の中にあるホームに滑り込んできた。

窓には、大粒の雨が激しく当たっている。


のどが渇いた。

今日の外気温は33度。スコールのような雨により

幾分涼しいが、それでも蒸し暑いことには変わりがない。


改札手前でいつものコンビニにより、

いつも買う{フォンタ}を手に取る。


「レジ袋は要りますか?」

いつも同じ質問である。そろそろ買う人だけ

購入する方が効率的なのになと思いつつ、

「大丈夫です、メロンで支払います」

と答えた。

ピピっと音がなり、支払いを済ませ、改札を出る。


そして駅を出る間際、晴れていることに気づく。

「あれ、さっきまで真っ暗だったのに」

と思わず呟き、自宅に帰り始める。


ふと空を見上げると、

まるで、台風の目の中にいるような周囲には黒い雲が渦巻いており、

立っている周囲のみ光が差していた。


その光景に思わず

「こわっ」と短く発し、恐怖から

一旦駅に戻ろうと決意する。


そして、後ろを振り返った瞬間

目の前が全て真っ白になり、意識が飛ぶのであった。

その直後には、

〈バリバリッ〉と轟音が鳴り響いたのである。




ふと目が覚める。

目の前にある光景が、少し前に見た光景と違うため、

認識できない。


いったいここはどこ?

と思いながら再度、見返す。

そして思わず声が出る。

「マジでここどこ???」

あまりの光景にその後の言葉が出てこない。


目の前の光景

それは、まるでSF映画に出てくるタイムマシンに乗った時に

出てくるような光景である。

何もない黒い空間の中に、光の線が前から後ろに高速で流れていく。


心臓の鼓動が早くなる。

状況を理解しようとしても理解しきれない。


暫く唖然と眺めていたが、よく目を凝らして周りをみると、

自分がいる位置を中心として、円状の光の線が前から後ろに流れている。

まるで、光の線が道であり、その中を飛んでいるような光景である。


そして、黒い空間には、ポツポツと光が見える。

前から後ろに流れるように過ぎ去るため、

自分が高速移動中であることが感覚で分かる。


暫く呆けながらその光景を眺めていると、

かなり先にある光の線が、分岐しているのがわかる。

そしてその分岐している光の線の片方である

少し細い光の線の先には、小さな光が見える。


暫くたつと、光は大きくなってきて

そして色の判別ができるまで見えてきた。

茶色と青色がグラデーションとなっていて美しい。


「惑星?」

思わず声を上げた。


何しろ、写真でよく見る地球や火星に色は違えど

そっくりだったからである。


その惑星と思われる球体を通り過ぎて

同じようにいくつかの球体を通り過ぎた後、

一つの分岐点に体が流れていく。

そして少しづつであるが、速度が遅くなっていくのがわかる。


その先には、

地球と同じ色をした球体が見えてきた。

地球かもしれないと思って目を凝らしていたが、

近づくにつれ、地球ではない似た星ではないかと思い始めた。

なぜなら、陸地であろう部分の形が

世界地図でで見たことのない形状をしている。


そしてスピードがかなり落ちたころ、

圧巻の大きさである球体が目前に迫っていた。


太陽に照らされ、光るように輝いている。

そんな絶景を見ながら感動していると、

速度が歩くほどの速度となり、そして止まった。



その惑星の外縁部に止まったことにより、

やっと思考停止していた頭が動き始めた。


そして駅から出た後から今までの状況を振り返り、

雷に打たれて死んだという結論に至った。

「これが死後の世界なのかな?」

そう思いながらも不思議な感覚である。

何しろ、死んだあとは三途の川を渡るイメージであったのだが、

今いる場所は、間違いなく宇宙空間である。


そんなことを考えていると、

どこからともなく声が聞こえてきた

神山(カミヤマ) 創大(ソウタ)さん、

あなたは死んではいませんよ。この世界に転移して頂きました」






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