アストラ
液状の街で
短絡的な夜に沈む
依然として雲は無シ
一般人がそれを夢むために
開放された夜空
泳ぐ、街を泳ぎ
終わりの見えないワーク・アンド・ライフ
身体を引っ張る重いなにかに
抗えない、そういう泳ぎ
雲は無いが
星は瞬かない
駅のホームで飛び降りた
わたしの幻影だけがあって
現実と虚構の
とても切実なゆらぎが
痛い、胸が痛くて
〈苦しむ機械〉のようないきもの
街はわたしを引きずり込む
黒く深い場所
ゆっくり、ゆっくり
まだ浅い
ゆっくり、ゆっくり
ねむる、そして夜空を夢む。
――
「記憶は
だれかを愛するためにあると
信じたかったけれど
いまではわたしの鎧でしか存在しえない」
――
べたつく闇の底で
〈アド・アストラ〉の万歳を
高枕に聞く