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シャッカルの日

作者: MANA
掲載日:2019/05/25

前回の続き。


日本の沼で起きた事件は、ローカルニュースでも報道されなかった。


理由は2つ。


まず、もともと人口が少ない地域で、沼で釣りをする人は若干名。


近くの人たちだけ。


釣れるのはフナくらい。


地域に与える影響は皆無に近かった。


次に、検出された毒物が未知の物質であること。


マスコミが大きく報道すると、かなりの影響が懸念される。


警察の記者クラブではいっさい公表されず、


事件の捜査に関係する警察官や技師には、厳重な箝口令が敷かれた。


さて、第2次大戦の当時国の1つだった、ある国。


毎年、終戦の日に恒例の行事が。


戦没者追悼式。


国家元首である大統領が戦没者墓地を訪れて、


墓の1つに献花して祈る。


今年も例年通りに行われた。


その国では、近年に複数回のテロが起きているため、


警備は厳重だった。


大統領が献花して祈っているときに、


小枝をくわえたスズメが飛んで来て、


大統領の頭にその小枝を落とした。


祈りが済んだ元首は手で頭の小枝を払い落とし、


表情を変えずに帰路についた。


その日の深夜。


大統領官邸から衝撃的なニュースが。


その国の全土と、海外の領土に臨時ニュースが流された。


「大統領が病院に搬送された」


結局、官邸の主は・・


棺に納められて「帰宅」


政治家になる前は陸軍の将校で、


体力があり、きわめて健康。


死因は「急性心不全」と発表されたが、


さまざまな憶測が流れた。


戦没者追悼式は、国営のテレビとラジオで中継されており、


多くの国民が放送に接した。


大統領が搬送された病院の院長室では、


副大統領も加わった極秘の会議が開かれた。


「何かの毒物や病原体が検出されたのですか?」


医師たちはしばらく沈黙したが、


死因を「特定」した医師が静かに語った。


「毒物が見つかりましたが、これまでにない物質です」


「解毒はできなかった?」


「残念ながら、現時点では不可能です」


「大統領はいつも通りに公務を執行していたので、


毒物が体内に入ったことは考えられない」


「食事やお酒などは?」


「ほとんど官邸で取っている。酒は外国の要人が来たときに、晩餐会で少し飲む程度です」


国営テレビのビデオ編集室では、


戦没者追悼式で撮影していたカメラマンと、上司のディレクターが影像を繰り返し見ていた。


「スズメと小枝は関係ないよな」


その国の警察本部では、「念のため小枝を探して確保せよ」


ところが、式の後でかなりの強風が続き、


スズメが落とした小枝の特定はできなかった。



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