ギャグ100%
唐突だが、俺はパンチラというものを生涯一度も見たことがない。
偶発的に起こるとしてもレア度が高すぎる。野生に現れる伝説のポ〇モン並だろう。
しかし、俺のパンチラ童貞にも、卒業を迎える日が来た。
いや、卒業という生易しい表現はよそう。一気にプレイボーイへと成り上がりだ。
大人の階段を上りすぎて窓辺からI can flyしてしまったよ。
――俺はこの目に焼き付けた。
――神風という一陣の風によって。
――あの無垢な恥部を!
そう、ノーパンチラだ。
いやいや、聞いてくださいよ旦那。ノーパンですから。
えっ!? 痴女で可愛くない女子を見てもノーカンだって? 上手いことをおっしゃる。
ふふ、侮っちゃいけんぜ。なんていったって、モデル級の可愛さだったんだから。
しかも外見から滲み出る天然さ。あれは穿くのを忘れてきちゃったっていう国宝級のお方に違いない。
俺は神風の再来に期待を寄せ、その日以降、同じ場所に通い詰めることにした。
「今日はよく風が吹く」
照り付ける夏の日差しと湿気を孕んだ熱風が、公園のベンチに座る俺を蝕む。
「こんな日はアイスに限る」
学校帰り、公園内にある露店でアイスを買い、ここで食べるのはもはや定番化しつつある。
ベンチの手前には舗装された一本道。時折通行人がそばを通る。
つと、俺の眼前を、一人の女子高生が横切ろうとしていた。
夏服の裾から伸びる細い腕、すらっとした足。
彼女のことを俺は知っている。
この前童貞卒業(語弊がある)させてもらえた相手だ。
奇跡などそう何度も起こりうるはずもなく……無残にも眼前を通り過ぎる。
諦めて彼女の後ろ姿から目を離そうとしたそのとき、強風が吹き荒れた。
ああ――この風はあのときと同じ。
彼女のスカートは容赦なく蹂躙され、あの光景を瞳に映した。
真っ白でたわわに実った桃が――さながら芸術品のようなお尻が、汚点でしかない布が排除された状態で露出していた。
奇跡は二度起きた。
神風は、いや、神は俺を祝福している。
俺は一秒も逃すまいと桃を凝視し続けた。
風が吹き止んだ後も、その視線は下半身に固定されたまま脳内再生を持続する。
だから彼女が振り返ったことも、彼女が近づいてきたことも気づいていなかった。
「君、私のスカートの中見てたでしょ」
「うえっ!? い、いや、なんにも見てないから、ホント」
「その慌てぶり、自白してるようなものよ」
「えっと、その」
「しかも何も穿いてないと思ったんじゃない? ふふっ、でも残念でした。実は穿いてないんじゃなくて、こういうデザインなの。穿いてないように見える柄のパンツなのよ。あははは、どんまい」
それだけ言い残すと、踵を返して立ち去っていった。
「なんだかなぁ」
徐々に小さくなる彼女の背中を眺め、そう言い漏らす。
二度垣間見たユートピア。その正体は善の皮を被るディストピアだったのだ。
もう無駄な幻想を抱くのはやめよう。
………………いや待てよ。ノーパンではなかったものの、俺は確かに美少女のパンツを見た。
このことは紛れもない事実である。
俺は拳を握りしめ、遠く離れた彼女に向かって呟く。
――ありがとう、と。




