愛しい時間
久々の→『温和』←な詩です。今作は「ぼく」「わたし」などの主語を使わず、男女問わずどちらでも当てはめられるようにしてみました。
教えてよ
本当にこれでいいのか
なんとなく上の空で聞き流さないで
沈黙さえも安らぎに変えてしまうほど
二人の空気は溶け込んでいて
聞く時期が遅くなってしまったけど
これからはもう今までみたいに
こうして会うことはできなくなる
電話かメールで話すことが増えていき
急に会いたくなっても
その日には会えないほど距離が離れてしまう
そのことを全て受け入れようとする君のやさしさが
たまらなく じれったかった
わがままを言って困らせてほしかったのに
君は大人すぎるから
その気持ちを包み隠してしまうんだね
無邪気に駆け回るこどもたちの笑い声や季節を彩る公園の木々を眺めながら
時間を忘れさせるような穏やかなその表情を見ていると
いつしか その時間に浸ってしまっていた
規則的に秒を刻む柱時計の秒針に焦らされ
言おうとした言葉を詰まらせる
変わる 景色も二人も
君といるこの公園の愛しい時間が流れてく
教えてよ
本当はどうしてほしかったのか
小さく笑った君の横顔が寂しそうに見えた
『やりたいことがあるんだ』そう言ってはみたけど
それと君とどっちかを選ぶなんてできないから
本当は君を連れて行こうと思っていた
巣立つ雛鳥を見守る親鳥のように
自由にはばたかせてくれるのはうれしいけど
二人で永く積み重ねてきた時間を
この安らぎを失いたくなかった
規則的に秒を刻む柱時計の秒針に惑わされるように
気持ちが足踏みして 打ち明けようとした本音の告白を思い止まらせる
巡る 秒針を止めて
何度も同じ時間を巻き戻してやり直せたらいいのに
永く 一秒をもっと永くできたらいいのに
愛しい時間を
『やりたいことがあるんだ』そう言ってはみたけど
本当は君と離れたくなかった
でも
叶えたい夢を捨てられなかった
永く 一秒をもっと永く感じられたらいいのにな
愛しい時間を