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我が愛しき娘、魔王  作者: 雪峰
第一章 父と魔王
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7 「緑色の魔族は俺のことが嫌い」




 俺は森へ家を建てに。


 そして大まかな道具を造り終えたフェトラスは遊び呆けて。


 更にカルンは森に入って食料を探す仕事を請け負っていた。


 俺としては狩りの必要性がなくなったわけだが、美味そうな食べ物があったら必ず持ち帰るようにはしている。これでも一応、フェトラスの保護者だからな。養育の義務は俺だけのモノだ。


「よいっしょ……っと」


 家もあと少しで完成する。残る作業はバリケードの作成と、内装だけだ。今日はベッドを作り終えた。散々迷ったが、二つ作った。もうフェトラスも大きくなったし、いつまでも同じ布団で眠るわけにもいくまい。


 布団は以前の使い回しだが、いつかは羽毛布団とか作りたい。というか、冬が来るまでに作る必要がある。常夏っぽいこの大陸だが、冬となるとそれなりに寒かろう。


「あ……カルンの寝るとこどうしよう……」


 あのフェトラスの下僕は、どう扱えばいいのやら。


「ううむ、まさか一緒に住むのか……?」


『魔王の部下』を自称するカルン。俺としては『単なる魔族』、フェトラスに至っては『変な人(で、でもお土産のお肉は最高だよ!)』的な扱いをしている。間違っても家族ではない。分類別けするならば、客人だろうか。


 カルンの怪我は深いのだが、塞がっていた。薄皮一枚の下は空っぽ……みたいな怪我だ。生命力の強い魔族だからこそ生き延びたのだろうが、普通のモンスターだったら即死していただろう。旅が再開するには、あと数週間ほど必要に思える。


「……そういえば、フェトラスはいつの間にあんな強くなったんだろう」


 あのカルンの怪我させたフェトラスは、子供だったはずの魔王は、なぜあんなにも強大な力を持っているのだろうか。しかも魔法で怪我をさせたといっても、狙ったわけではないのだ。ただの余波なのだ。


 それはつまり「流石は魔王だ」という言葉を引き出すのに十分すぎる要素だった。


 俺とフェトラスが二人きりの頃には、欠片も実感出来なかった事だ。


 元々、フェトラスは何かと戦ったことがない。


 彼女が無意識のうちにおびき寄せていたモンスターは全部俺が狩っていたし、俺が出かける時は十分な食料を置いているからフェロモンを出すこともない。故に戦うこともない。


 つまり彼女は、モンスター相手に命がけの修行という……普通の魔王としての成長ステップを踏んでいないのだ。だが、彼女は強くなった。魔法を使えばこの辺のモンスターなど一瞬で蒸発させるだろう。


「……そういえば、最近はおびき寄せるモンスターも減ったよな」


 フェロモンが誘うのは「自分よりも少し弱いか、少し強いモンスター」だ。つまり自分よりも格段に弱いモンスターは近寄ってこないらしい。そして強いモンスターはこの辺にはいない。


 モンスターの襲撃が減ったということは、イコールで彼女が強くなったという事の証明だ。


「メシ食って寝てれば勝手に強くなるってか……? なんだそりゃ、どんだけ最強の生物なんだよ。修行しろ修行」


 いや生物っていうか精霊だけどさ。


 それはさておき、フェトラスに修行の必要は無いだろう。彼女の敵は、俺が狩る。


 交わした約束ではない。立てた誓いでもない。だけど、フェトラスの敵は俺の敵だ。



 もうすぐ住まう予定の家を見渡す。


 広くはない。豪華でもない。ひたすらに簡素な家。だけど楽しくなるという予感しか抱かせない、俺達の家。


「って、それよりもカルンの寝床か……というか、寝床とかいるのかなアイツ」


 生き物である以上、睡眠は必要不可欠なのだろうが、魔族の生態系なんて知らない。


「ゲストルーム作ってるヒマなんてねぇし……」


 コレについては話し合う必要があるな。フェトラスに決めさせよう。アイツの部下なのだから、アイツが処遇を決めるべきだ。


「残るはモンスター対策のバリケードと、布団と……」


 指折りしながら残る作業を確認する。


 料理はいつものように大胆バーベキュー。


 洗濯はいつものように川でそそぐだけ。


 あと必要なものは何だ?


「風呂だ」


 今は温かいどころか暑いくらいあるので風呂はいらないが、寒くなったら川で水浴びというわけにもいくまい。日を改めて風呂でも作るか。


「ん。でもバリケードさえ作ればすぐにでも住めるな」


 後のことは全部あとで出来る。


 というわけで、いつもより早いが作業終了だ。


 浜の洞窟に戻って、二人にカルンの寝床とバリケードのことを相談しよう。


 家を出て、少しだけ歩くと川がある。俺はその川を沿って歩いた。最短距離ではないが、モンスターと遭遇しにくいし、何よりボンヤリ歩いても迷わないのが素敵だ。あまり疲れてない身体だからか、足取りが軽い。


「…………あ」


 実は開拓のことなんて、とうの昔に忘れていたということを、その時気がついた。


「……ま、いいか」


 どうせ意味の無い行為だったし。仮初めの目的に過ぎないのだから、捨ててしまっても惜しくはない。あの時はあまりにする事がなさすぎて、このままじゃ野生動物と同じになってしまいそうだったから、ただそれにすがっていただけだ。


 今の俺にはちゃんとした目的がある。


 孤独な大陸で発狂しないために、生きるために必要な、俺が俺であるための、確かな目標が。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「カルン、お前はバリケード作れるか?」


「そういえば、先日もそのような事を言ってましたね……」


 まずはカルンに聞いた。道具を造ってくれたとはいえ、基本的にはブッ壊すだけのフェトラスより頼りがいがありそうだったからだ。


「バリケードと言いますと、具体的には?」


「まぁ簡単に言っちまえば城壁だな。家をドア付きの柵で囲ってくれればそれでいい」


「大ざっぱな要求ですね……柵くらいならなんとか。しかし出入りのためのドアとなると……」


「簡単なヤツでもいいんだ。要はモンスターがフェトラスに近づかなけりゃ、何でもいい」


 フェトラスの名前を出すと、カルンの顔つきが変わった。


「そうでしたね。あの家にはフェトラス様が住まうのでしたね……分かりました。なんとかしましょう」


 そして渋っていたくせに、あっさりと承諾しやがった。何か気に入らない。


「ま、いいか。とにかく頼むわ」


「ええ後で具体案を提出しましょう。その上で貴方ではなく、フェトラス様に決めていただく……それでよろしいか?」


「構わない」


「では、もう少し具体的なアイディアを考えてきます」と言ってカルンが背中を向ける。それに一声かけてみた。


「ところでお前はどうするんだ? 俺達と一緒に住むか? もしそうなら、俺も色々と考えなきゃならん」


 呼びかけると背中はピタリと立ち止まった。


 さやさやと、葉の音が流れている。


「いま何と?」


「だから、お前はどこで寝るのかって聞いてるんだよ」


 風が吹いて、少しだけ葉の音が大きくなった。


「貴方は………………実に奇妙だ」


 カルンはそう呟いて、くるりと向きを変えた。距離こそあるが、俺を真っ直ぐに見つめている。


「私は魔族で、フェトラス様に至っては魔王様だ。しかし、貴方は人間でしかない。ただの人間がどうして我々に怯えず、対等に接しようとする」


「……なんでって言われてもなぁ。理由が必要か?」


「先日も言いいましたが、貴方を殺すことなど非常に容易いのです。なのに何故、貴方は私達と対等であろうとする。まだ幼いフェトラス様は別としても……私が怖くないのか? 私の気分一つで、貴方は死ぬのですよ?」


「……試してみるか?」


「ご冗談を。仮初めとはいえ貴方はフェトラス様のお父上だ。手を上げることは私には許されない」


「じゃあもし、フェトラスがいなかったら?」


「フェトラス様がいなかったら……か」


 暗い笑顔をカルンは浮かべた。その言葉は冷たく、まるで冬の沼。


「きっと……あの出会った日に殺していただろうな。私が怪我をした経緯や、この地の情報を得たかったから少しの間だけお前を生かしておいたに過ぎない。言葉を扱えて良かったな人間?」


「利用出来そうだから生かしておいただけ、と」


「当たり前だ。人間という脆弱な生き物は我々に搾取されて当然の存在。崇高とはほど遠く、醜悪な精神を持つ人間など我々の糧に過ぎない。お前はヴァベル語を扱えたから、会話が成立するだけの知恵者だったから生き延びただけだ」


「脆弱、醜悪、糧、ずいぶんと言ってくれるな。そう思わないかフェトラス?」


 俺はカルンの背後を見ながらそう尋ねた。


「ふぇ、フェトラス様っ!?」


 その慌てふためきぶりは、ちょっと笑えるくらい真剣だった。


「違うのです! お父上には絶対に手出しを……!」


 カルンは慌てて振り返ったが、そこには何もない。元々、誰もいない。


 まだ熱い日差しの中、涼しげな風がふく。周囲は俺たち以外はい☆な☆い☆


「…………謀りましたね」


「口調が戻ってたからな。俺は気にしないけど、一応注意しておこうと思って」


「……ええ、非常に効果的でした。以後気を付けるとしましょう」


 決して礼などは言わなかったし、言うつもりも無いだろう。それでいい。カルンの内面は知れた。きっとコイツは、今でも俺を殺したいんだろうな。


「話しを戻そう。といっても、何の話しだったか」


「……貴方が誰で、どうしてこの大陸にいるのかは知らないし興味も無い。ただ不思議なのですよ。どうして私達を恐れないのですか?」


「だって別に怖くないし。フェトラスは俺を襲わないし、フェトラスがいる以上、お前だって俺を襲わないだろ?」


「事故に見せかけて消されるとは考えないのですか?」


「そうしたいのか?」


 そう尋ねるとカルンは周囲を、特に背後を気にしながら答えた。


「貴方を……そうすることは容易い。ですが、その行為に意味は無いでしょう。フェトラス様はまだ貴方を必要としている」


(……まだ、ね)


 コイツの言葉はいちいち未来についての示唆しさが含まれている。が、今は不粋なツッコミを入れないでおこう。その時が来たら、その時に考えればいい。今と未来は違うのだから、今から未来の事を考えてもキリが無いのだ。


「っていうか、本題はこんな物騒な話しじゃねぇな。お前の寝床だ。どうする?」


「どうすると言われても……私はフェトラス様の部下であり、所有物だ。私の寝る場所がフェトラス様と同じ空間というのも失礼に当たるでしょう。私はその辺で寝るから気にしないでください」


「徹底してんなぁ。まぁ、お前がそう言うなら別にいいけどさ。アテはあるのか?」


「特にはありませんが……ああ、バリケードの件で良いアイディアが浮かびました」


 そう言ってカルンは笑った。



「私自身がバリケードになりましょう」



 魔族の笑顔なんて初めて見たけど、中々良い表情だった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「フェトラス。引っ越すぞ」


「……え?」


 フェトラスはキョトンとした。しまった、コレじゃ通じなかったか。


「間違えた。美味しいご飯を食べに行くぞ」


「!!」


 フェトラスの顔が燦然と輝いた。笑顔が眩しすぎるぜ魔王様。


「もっと美味しいご飯が食べられるのっ!?」


「ノリノリだな。腹でも減ってるのか?」


「へ、減ってないもん! お腹減ってないもん!! それより、カルンさんが運んでくるのより美味しいご飯が食べられるの!?」


「あっ……そういえば最近はカルンが持ってきたメシを食ってたな」


 ヤツは動物やフルーツを調達してくれる。そう考えれば、特に引っ越すメリットは無くなる。


 開拓なんざもうする気は無いし、メシの取りやすいトコに行かなくても、美味いメシが勝手に運ばれてくるのだから。


「もっと美味しい……ま、まさか噂の豚肉が食べられるの!?」


 なんてこった。引っ越してメリットがあるのはカルンだけだ。ヤツの狩りが比較的簡単になるというメリット……他には何かあるか?


「………………」


「それともまさか、伝説の牛肉が……って、お、お父さん? どうかした? 変なお顔になってるよ?」


 他にメリットが見あたらない。なんてこった。俺のしてきた事は無意味だったか。


「………………」


「お、おとーさーん、大丈夫……?」


 新居を得るメリットは二つあった。開拓拡大。簡単ハンティング。前者は既に無意味で。後者はカルンというハンターが現れたおかげで形骸化。


「………………」


「お父さん……帰ってきてよぉ……」


 かなり苦労して作ったんだが。フェトラスにも協力してもらって、二人で一生懸命がんばったのに。全部、無意味だったのか。


 俺は深々と、ため息みたいな深呼吸して―――。


「…………ま、いいか」


 肩をすくめて笑った。


 そして受け入れてみれば、多くの発見があった。


(新居にはベッドがある。これから寒くなるし。住み心地は良いはずだし。川とか近いし。気分転換にもなるし。ああ、それにカルンも永遠に俺達と一緒ってわけじゃないな。確かにカルンがいる以上、引っ越しにメリットは無いかもしれないけど、カルンが去ったあとの事を考えると引っ越しは実に理にかなっている。それに洞窟とは違って家具が置ける。うん、人間は備蓄する生き物ですから。きちんと物資を管理出来る家は近代の人間として欠かすことが出来まい。今度は畑を作るぞ。自家菜園だ)


「フェトラス、野菜を食おうな」


「…………お父さんが壊れたよぉ」


 見るとフェトラスがめそめそ泣いていた。


 俺が考え事をしている間に、何かあったのだろうか。



 とにかく、そうして俺達は引っ越した。フェトラスのフェロモンはまだまき散らされてるようだったが、近寄ってくるモンスターは少なかった。


 分かったことが一つ。フェロモンは魔法の威力ではなく、フェトラスの身体能力によって上下するみたいだった。


 事実、現れたモンスターはどれも弱い。決して魔法を使わないと勝てないような相手ではなかった。きっと殴り合いだったらフェトラスの勝率は六割程度だろう。(ついでに言うなら連戦だと確実に負ける)


 しかしフェトラスは魔王である。物理的な戦闘よりも、魔法を駆使した戦い方こそが魔王達のメインスタイルと言える。


 そして――――魔法を使うフェトラスに勝てるヤツなんて、探す方が難しい。それこそ同じ魔王か、あるいは軍隊か、<聖遺物・・・>を扱う英雄だけだろう。


 まぁ、襲いかかったモンスターは全てカルンがなぎ払ったので、フェトラスの実力を確認する機会は無かったのだが。


「フェトラス、食い足りないのか?」


「そ、そんなんじゃないもん。ちゃんとお腹いっぱいになったもん」


「じゃあなんでモンスターが寄ってくるんだよ。フェロモン出てるじゃねぇか」


「も、森に入ったのが久しぶりだからだよ! だから緊張してるの!」


 俺達がじゃれてるのを、先頭に立つカルンは黙って聞いている。その背中を見ながら、ヤツの言葉を思い出した。


『私自身がバリケードになりましょう』


 要するにヤツは自分が家を警備すると言っているのだ。つまりは門番だな。そこまでする必要は無いと言ったのだが、カルンはフェトラスが完全にフェロモンを制御出来るようになるまでは警備を続けると宣言した。


(えっ、っていうか……いつまでここにいつるもりなんだ?)


「あ、またモンスター」


「ふっ―――」


 現れたと同時に、カルンが軽く右腕でなぎ払う。


 吹き飛ばされたモンスターは木に直撃して気を失った。見るとモンスターは中型サイズで俊敏な動きをしそうなタイプだ。少なくとも俺が手抜きをして倒せるような相手じゃない。確かにカルンは、門番としては非常に心強いとは思う。


 フェトラスは興味深げにカルンが倒したモンスターを見つめた。


「初めて見るモンスターだ。ねっ、お父さん」


「ああ、そういえばそうだな」


「フェトラス様、こちらはお召し上がりになりますか?」


 カルンがモンスターに近づき、それを指差した。


「まだ食されたことが無いのでしたら、どうぞお食べになってください」


「えっ……ううん、要らないよ。お腹は空いてないし」


「いえ、そういう事ではありません。もし可能ならば食していただきたいのです。たくさんお食べになられれば、その分だけ早く成長することが出来ますから」


「……そう?」


 フェトラスは両手を胸の前でモジモジさせて、チラリと俺を見た。


 俺は何も言わずに、じっとフェトラスを見つめ返した。


「うーん…………分かった、食べる」


「では、どうぞ」


「……? どうぞって、なにが?」


「お食べになられるのでしょう?」


 魔族は「どうぞ」と言ってモンスターを手で指し示した。フェトラスはワケが分からないという顔をしていたが、俺の顔をチラリと見て、気絶しているモンスターに近づいた。


 目を閉じて、ヒクヒクと鼻を動かし、呼吸のために腹を上下させているソレの腹に手を当てる。


「……………………」


 しかし、そのまま。フェトラスは腹に手を当てたまま、微動だにしなかった。


 一度だけ、手を離し。


「………………」


 そのままゆっくりと、彼女の手はまたそれの腹に触れた。


 不自然なくらい長い時間が流れた。


「……いかがなされたのですか? フェトラス様。どうぞ遠慮なぞなさらずに、」


 カルンが言葉を言い終える前に、俺は彼女に告げた。


「フェトラス。もういい。そいつはそのまま寝かせておけ。頭をちょっと打ったくらいだし、放っておけば起きるだろう。行くぞ」


 カルンはいぶかしげに俺を見て、俺は新居のある方向に目を向ける。


「わざわざ不味いモンスターを食べる必要は無い。後で俺がちゃんとメシを作ってやる」


「…………うん」


 そっとモンスターから手を離し、フェトラスは俺に駆け寄った。そしてギュっと俺の腕を抱いた。


「フェトラス様……どうして…………お食べにならなければ、いつまで経っても……」


「………………」


「カルン。もういいだろ。先へ進もう」



 黙りこくったフェトラスの頭をなでながら、俺はそう言った。


「…………分かりました」


 何か難しい顔を作ったカルンがそう答える。


 モンスターはまだ目を閉じていたが、呼吸は穏やかだった。



 行進が再開される。だが、会話は再開しなかった。三人は黙ったまま森の中を突き進む。


 目的地まであと僅か。



 はぁ、せっかくのめでたい引っ越しの日に、なんて空気だよ、まったく。






ヴァベル語。


この星に住まう者の共通言語。

狼に育てられた人間の赤子だろうと自動的に拾得する。

学ばずとも、呼吸のように誰でも扱う言語。


その“異質さ”に気がつける者は、この星、セラクタルには存在しない。


なお読み書きに関しては勉強が必要であり、地域ごとに微妙に違いが生じる。

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