枯渇よりも早い限界
ロキアスさんの魔法でセラクタルに戻ったわたし。
今回目覚めた場所は、氷河の上だった。天候は曇り。強い風で雪が舞っている。
「――――あぁ」
氷河で良かった。今のわたしのテンションでどこかの街中に出現していたら、一体どうなっていたことやら。
でも幸いな事に、ここは生命を維持出来る環境じゃない。
誰もいない。何もいない。
だから余計なものを見ないですむ。
知的生命体はおろか、今のわたしは虫の営みにすら嫉妬して狂うかもしれない。
そんな自分の不安定さを、わたしまるで他人事のように認識した。
そして同時に、その不安定さに居心地の悪さも覚える。まぁ不安定なんだから当然なんだけど。
このモヤモヤを解消させる方法は、基本的に二つしかない。
鎮まるまで待つか。逆に発散させるか。
待つという消極的方法なら誰も傷つけないし、困らせない。良い事ずくめだ。ただし時間がかかる。長いということだけは分かるけど、そもそも終わりはあるのだろうか。わたしはずっとこのまま何じゃないだろうか。
でも発散させるとなると……うーん……わたしはどこまでやればスッキリと納得するんだろう……。
下手をしたら世界を壊しても駄々をこね続けるかもしれない。
だってこの世界にお父さんはいない。
わたしが暴れても得られるものは何も無い。
ああ……それでも……。
あと少し、あと一つ、何かささいなキッカケが欲しい。
誰でもいい。魔獣でも魔王でも月眼でも、いっそ天外の狂気でもいい。
殴りつけても許されるような敵がほしい。
それなら暴れても、後でお父さんがほめてくれるかもしれないから。
だけどここは氷河。命の営みが存在しない場所。
……かつてカフィオ村で魔族達を殺したわたしは、自分を研ぎ澄ませる場所として溶岩地帯を選んだ。ムール山。わたしの月眼はあそこで満たされた。
周囲に命がなくて、暴れても問題なくて、熱源という名のエナジーで満たされていた場所。星の息吹が感じられる場所。
いまわたしがいる氷河は見た目こそ真逆だけど、環境的には似ている。
周囲に命がなくて、暴れても問題なくて。
違う点といえば熱源が存在しないことだ。ここは停滞の場所。だけどやっぱり星の息吹を感じてしまう。風の音。氷河同士が擦れる鈍い音。星という大きな器の中でグルグルと循環しているエナジー。
風の音は強く、無音にはほど遠い。
きっと海の中には魚がいるだろう。少し探せば中・大型の海獣もいるんだと思う。ミクロな視点で見れば、もしかしたら賑やかなのかもしれない。だけど目に見える命はここには無い。ヴァベル語を使うモノがいない。
環境音で満たされた世界で、わたしは静寂を感じている。
そういう意味でもここはムール山に似ているんだと思う。
そして決定的に違う点。
ここなら、お父さんとの思い出は無い。
街中で誰かが笑い合う光景を見てしまったら、わたしの月眼が満ちた溶岩地帯だったら、ここ以外のどこかだったら、たぶん耐えきれなかった。
そんな感想をわたしはひっそりと抱いた。
凍風の強さが増す。どんよりと曇った空から降る雪が周囲に叩き付けられていく。
そんな虚しい場所でずっとわたしは立ち尽くしていた。
「わたしが望むことは、たった一つだけなのに」
それが叶わない今、わたしは自分がどういう行動に出るのか全く分からない。自分のことなのに本当に予想がつかない。
それはつまり……自分がいないのと同じ事なんじゃないだろうか。
「――――戯れ言ね」
何もしたくないわけじゃない。したい事はもちろんある。ただそれを実行してしまうと、世界が大変なことになるらしい。
カミサマもロキアスも、リセット機構も、いっそ全ての月眼達がわたしを始末しにやって来るかもしれない。
凍った風が与える痛みが強くなっていく。
身体が冷えて、思考も冷えて、心だけはずっと前から凍てついている。
わたしはぼんやりと灰色の空をあおいで、真っ白な吐息で長い線を描いた。
「――――【全域透過】【刻印示返】」
応答は無い。
どうしてだろう。
あと十秒待ったら、お父さんはお返事をしてくれるかな?
「【全域透過】【刻印示返】」
フォースワードの、デュアルキャスト。二重詠唱。
フォースワード一つで百人を殺戮出来るらしい。
『じゃあ二つ唱えたら二百人を殺戮するのかな?』
そんな質問をザークレーさんにしたことがある。
そしたらザークレーさんは真剣な表情を浮かべて首を横に振った。
導かれる答えは、100+100の200ではなく、100×100で一万人を殺戮するらしい。
それは大変だ。
「【全域透過】【刻印示返】」
でもわたしのこの魔法は、誰も傷つけないから安心だ。
だけど、わたしが傷つく。
答えが返ってこないから。
私だけが、強く、傷つく。
いつも、いつも、いつまでも。
痛みに慣れるなんて嘘。痛いものは痛い。慣れという名の耐性は得られるのかもしれないけど、だからって許容していいモノではない。
痛みは、不愉快だ。
――――なぜわたしだけが、この痛みに耐えねばならない?
……?
ああ、全くもってその通り。
なぜ私だけが、
耐えねばならない?
「【全域透過】【刻印示返】」
私はカウントダウンを開始した。
あと十回。
あと十回までは、我慢して差し上げよう。
(我慢……がまん? どうしてわたしが?)
思考がループして、腐って、融け墜ちる。
我慢する理由はもう忘れた。
耐え忍ぶ理由はもう枯れた。
そう、わたしという存在は――――。
(我慢をする必要性が、どこにある?)
――――私という存在は、月眼とは、己の願いを全て実現するモノだ。
「【 全域透過】【刻印示返】」
「【全域透過】【刻印示返】」
[【全域透過】【刻印示返】]
[【全域透過】【刻印示返】]
サーチ。サーチ。サーチ。
十秒ごとにサーチ。サーチ。サーチ。
毎秒しない自分はとても偉い。毎秒出来るのにそれをしない。
他にしたいことなんて一つも無いのに、それをしない私はとても偉い。サーチ。
「姉貴ッッ!」
激しい烈風と共に、氷河にディアが降り立った。
ああ、なんだ、ディアか。
「姉貴……」
[【全域透過】【刻印示返】]
「ツッ」
ディアの方をちらりと見ながらも、この口は勝手に呪文を紡ぐ。
何回目だっけ。もう忘れちゃった。
だからあと三回だけ探してみよう。
それがこの世界の余命だ。
この星の余命じゃない。
この世全ての理の、余命。
「姉貴ィッ!」
ディアが自分の双角を爆発的に伸ばしたのが見えた。
「―・・――・・・・―【災嵐】!」
魔王による独自言語と、自己属性のど真ん中な魔法。
凍風にディアの魔力が通り、それは災害級の嵐となり果てる。
それはそれで脅威的なのだろう。
だが私はこう言い換える。
所詮、銀眼にすらなれない弟がブツブツと独り言を言って、得意げに魔法を披露しただけ。
それを一言でまとめるのならば、ただの『児戯』である。
[【虹庭】]
全てを統べる者の庭に、災厄の風が届くはずも無く。
周辺領域の絶対管理。彼の魔法はそよ風と化して、辺りには穏やかな空気が広がった。
そもそもディアは何がしたかったんだろう。わたしに攻撃? 通るわけないのに。
[【全域透過】【刻印示返】]
「姉貴ッ……」
女々しい態度だ。
姉と呼ぶのなら、言葉だけじゃなく私の弟として相応しい実力で訴えてこい。
あれだけ鍛えてやったのにいつまでもちびっ子で。まったく。
いや、だけど……ああ、もう……いっか……。
まぁ、いい。
もう、いい。
――――どうでも、いい。
私が欲しいモノは一つだけ。
[【全域透過】【刻印示返】]
返事はまだない。
[【全域透過】【刻印示返】]
サーチ。サーチ。サーチ。何も変わらない。返事は無い。
サーチ。サーチ。サーチ。この程度で私の魔力が枯渇するはずない。
双角は月眼の魔王の名に相応しい様相で伸びていく。
必要に応じて、ミシミシ、メリメリ、ゴリゴリ、バキバキ。
いま何回目だっけ。
まぁ、いいや。
もういいや。
律儀に数える必要性が無い。
私は一生懸命我慢して、頑張って、耐えて、泣き続けた。
源泉。
【源泉】
源泉。
お前が悪いんだ。
惰性のような慈悲を持って、私は天を仰いで宣言した。
[五秒以内にお父さんを返さなかったら、源泉を殺してでも奪い返しに行く]
「姉貴!」
及び腰になっているディアが大きな声で叫ぶ。
ディア、ありがとう。
あなたのおかげで色々助かってたよ。
だけどもう知らない。もうお終い。
[【全域透過】]
「クッソ――――ロイル。いいや、今はこう呼ばせてもらう。父ちゃん、あの世で会ったら俺の愚痴を聞いてもらうからな」
……あ?
[ディア。いま、なんて?]
「ツッ……よう姉貴。おしゃべりする気になってくれたのかい?」
[ロイルに、お父さんに、会う? そう言った?]
「…………独り言の延長線上かよ」
[私をさしおいて お父さんに あうの?]
カウトリアとの誓いで自死を選べない私に、ソレを見せつけるの?
月眼とは殺戮の資質を超えたもの。
だけど殺戮の意志が無くなるわけじゃない。
私は自由に、任意に、好きなように、全てを殺せる。
「……誰か助けてくれよ。俺の手に負えるわけねーだろこんなの…………」
可愛い弟分の悲鳴が聞こえた気がした。
ごめん。聞こえているのに、心に届かない。
ここに来たあなたが悪いの。ごめんなさい。
全ては源泉が悪いの。殺してやる。
[その救難要請を受理しよう]
そう言って現れたのは、三代目の月眼。観察の魔王ロキアスだった。
珍しい。というか彼がディアの前に現れたのは生涯初めての事だ。たしか徹底的に契約で厳禁指定にしていたはずなんだけど。
[やぁ、さっきぶりだねフェトラス。ロイル達との契約があるから手を出しずらかったんだけど、他ならぬディア君からのヘルプサインだ。満を持して、この最前線で観察させてもらうとも]
……まぁ、いいや。好きにすればいい。
[改めまして、そして初めましてディアウルフ君。僕は月眼・観察の魔王ロキアスだよ。あー、そちらの自己紹介は不要だよ。君のことは産まれた時から知っている。とても詳しく知っている。なんなら赤ん坊の君を抱っこしたこともある。愉しく観察させてもらったよ、ありがとう。今後ともよろしく]
急に話しかけられたディアだったが、呆然と膝をつくばかりで現実を受け止めきれないでいた。
「月眼……? 姉貴以外に? は……? ここでみんな殺戮されるってストーリーか……?」
[まぁ詳しい話しは後にしよう。さてフェトラス――――ああ、なんだ。もう会話不能か。そこまで追い詰められていながら、最後まで理性を保っていたのか]
[じゃまを するなら もうころす]
[君は…………うん、その痛ましい姿には、流石の僕も覚悟を決めるしかないか]
覚悟。何の覚悟だろう。
覚悟……覚悟……ああ、なんだ。
[ロキアス。前言撤回の、撤回をする。いまから源泉を殺しに行くけど、覚悟と興味があるならついてくる?]
[………………]
[それともカミサマ達の方針に従って私を殺す? どっちでもいいよ]
[………………ふむ]
[ああ、いや、もういい。喋るな。時間の無駄だ。
あ~――――ああああああああああ!!]
絶叫と共に、私は自身の魔力増幅装置、双角を思いっきり解放した。
密度、しらん。
色、どうでもいい。
カタチ、何でもいい。
しね。みんなしね。
どうせこのせかいに価値はない。
だからしね。
源泉ごとしね。
ロイルの末裔も、星も、ヒトも獣も虫も花も海も空も宇宙も外側も狂気もカミも月眼も神も全部死ね。
長く生きたせいだろうか。想い出に味がしない。
私は おうたを うたう ことにした。
たのしい おうた だ。
きっと まえより うまく うたえる。
そんな月眼の歌。
ザクザクと雪と氷を踏み割る音。きっと意図的なんだろう、大きな足音を立てながらロキアスさんが近づいてきた。
[余計な言葉は無し。――――ロイルから手紙を預かっている]
てがみ。おてがみ。お父さんからの。
[…………]
[ようやく僕の顔を見てくれたね]
[出せ]
[はい、どうぞ]
極めてシンプルなやり取り。
心にはなにも無い。
だけど差し出された手紙の、封筒の、そこに書かれた文字を見た。
『フェトラスへ。 ロイルより』
その文字列に含まれる情報はとても少ない。
お父さんがわたし宛てに書いた手紙、という事以外は何も分からない。
だけど一秒経つごとに、見えてくる情報が増えていく。
字体がしっかりしている。
つまり晩年に書かれた手紙じゃない。
封筒の装飾デザインが可愛い。
わざわざ選んでくれたのかな。
折り目一つない。
きっとしっかり保管されていたんだろう。
そして同じぐらいの速度で疑問が増えていく。
今までお父さんとは思ったことは全部話してきたのに、どうして改めてお手紙なんて書いたんだろう。
どうしてロキアスに預けたんだろう。
どうしてこのタイミングで提示されたんだろう。
そして感情が矛盾する。
今すぐ読みたい。
だけど同じぐらい、気持ちを落ち着かせたい。
[――――フェトラス。息ぐらいしたらどうかな]
[――――ええ、そうね]
そう呟いたのと同時に、天地がひっくり返る寸前みたいな眩暈におそわれた。
ふらっ、と。重力が消えたみたいに。
だけど受け取ったこの手紙にシワがついたり、雪がつくのがいやだ。
だから私は。わたしは。私は。ねぇお父さん。私は。わたしは。
「姉貴……」
わたしは。
[…………ごめん、ディア。あとでちゃんと謝るから]
「…………ううん、大丈夫だよ」
それ以上返事をすることも出来なかった。
手紙。お手紙だ。お父さんからのお手紙だ。
[フェトラス。テンションが高まりすぎて思考がバグってるみたいだが、とりあえず落ち着ける場所に行かないか?]
[………………]
[……その手紙を読むには、ここはちょっと不適切かもしれない。突風で手紙が飛んでしまうかもしれない。雪で汚れてしまうかもしれない]
[……そうね]
私はお父さんからのお手紙を精霊服の内ポケットに収めた。世界で一番安全な場所だ。
呼吸を再開する。
だけど呼吸の仕方を忘れてしまった私は、過呼吸のような音色を奏でた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
僕から手紙を受け取ったフェトラスだったが、表情はあまり変わっていない。
ロイルからの手紙だというのに、喜びもせず、泣くわけでもなく、ただただ無感情のような。だけど理性はしっかりと戻っているはずだ。彼女の馬鹿げた双角は静かに、ゆっくりと縮小していく。
ハァー、ハァー、と真っ青な顔で呼吸を繰り返すフェトラス。
先程「痛ましい」なんて感想を口にしたけど、少しばかり感情移入が進んで僕も苦しくなってきた。
ポーテンスフの楽園を出て銀眼になったりもしたし、源泉に突撃するような言動も見受けられたけど、最終的には「みんなハッピーになる大作戦」とやらを考えていたはずなのに。
月眼の間――――精神安定の作用がある空間――――を抜け出してセラクタルに来た途端にコレだ。彼女の追い詰められ具合を見誤ったと言わざるを得ないだろう。この僕が、だ。
決して甘く見ていたわけじゃないけど、それでもここまで唐突に崩壊するとは思ってなかった。
脳天的で、よく食べて、よく笑う、そんな幼い彼女はもういない。
ここにいるのは間違い無くとびきりの、成熟した月眼だ。
(いや、今では枯渇寸前か……)
はっきり言って緊急事態である。
源泉に突撃するのもマジで愉しそうではあるんだが、ここまで耐え抜いてきた彼女が破綻するなんてストーリーは、興味深くはあるけど先が無い。
だから僕は躊躇いなく切り札を切った。ロイルの手紙。
……むしろ今まで一度も使わなかったのが奇跡だと思う。それぐらい彼女は自分をコントロールしていた。乱れる事こそあれど、自力での復帰を可能としていた。
だけどフェトラスは気がついてしまった。
源泉に至る方法が実在することに。
……自己領域の拡大どころの騒ぎじゃない。
遊戯の魔王パーティル風に表現するならば、フェトラスはゲームの腕前が上達したのではなく、ゲーム盤を破壊しようとしている。
源泉に行ったとしても、ロイルに会えるわけではないだろうに。
まぁそれはさておき、フェトラスはロイルの手紙をどんな表情で読むんだろう。
ワクワクするね!
――――不謹慎なのは重々承知。だけど。
(彼女が手紙で少しでも元気になってくれたら、いいな)
そんなささやかな願いもある。
[さてフェトラス。それじゃあ月眼の間に戻るとしようじゃないか]
[………………]
[なぁに、大魔法の連発ではあるけど大丈夫。やってみせるよ。サラクルのお茶を飲みながら、美味しいドーナツを用意してあげよう。クラシカルなものから先進的なモノまで、色とりどり種類豊富に用意してあげるよ]
フェトラスは唇を震わせながら、呪文を呟いた。
[【絶離遮断】【拒侵虹邸】]
え。
氷河の上に、フェトラスを中心にオーロラで包まれたような空間が発生した。
全てを突き放してシャットアウトし、王の居住として何人の侵入も拒む虹属性。
フェトラスは自身の魔法によって、落ち着ける場所を自作したのだ。
[おい]
呆然とその空間に手をかざしてみるが、フワフワとしたオーロラに手応えは無い。
硬いとか柔らかいじゃない。そこに在るはずなのに、実在しない。
[おいおい]
まさかあのバカ娘。
[僕に……観察させないつもり……か?]
は?
正気か?
この僕に?
わざわざ手紙を保管し続けた、親切で優しくて気が利いて思いやりのある、この僕の愛を未遂に終わらせるつもりか?
瞬時に僕は沸騰した。
[度しがたい上に看過しがたいぞソレはぁッ! 源泉を護るというよりも、むしろ君自身を案じてここまで駆けつけたっていうのに! 時空超えるのめちゃくちゃ大変なのに! あの小娘ぇぇぇぇ!]
僕は激しく絶叫し、それと同時にフェトラスの魔法を観察した。
舐めるなよガキが。この程度の魔法…………ううん……なんだこの式……一度月眼の間で見た事ある魔法のはずなのに、虹で改変されてるぅ……ワケ分からんゾ……いいや、舐めるなよガキが。デュアルキャストではあるが、前半部分の魔法には虹の影響が無い。堅牢であるからこそ、逆に付け入る隙があるはずだ。やってやる……やってやる! 華麗に解除してやんよ!
絶対にお前の幸せそうな顔を観察してやる。
久しぶりの怒りの感情と共に僕の月眼は輝いたのだった。