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我が愛しき娘、魔王  作者: 雪峰
最終章 月の輝きが照らすモノ
175/286

5-4 魔王の歌



 ちょっと本気で意味が分からなかった。


 殺人鬼が魔剣を持ってたら、そりゃ怖いだろう。


 でも、その魔剣を持ってるのが例えばザークレーだったら? 全く怖くないだろ? むしろ頼もしいだろ?


 そんなノリで、俺は口にしたつもりだった。



 こいつはフェトラスだぞ、と。


 ――――例え月眼だとしても、何だと言うのか。その力が俺達に向けられるはずなんてないのに。



 しかし俺の仲間達は、一斉にフェトラスに向かって鎮圧行動を試みた。


 なんで? どうして??


 少しの間呆然としてしまう。


 ミトナスが二つに折られ、ネイトアラスは上空に飛ばされ、演算の魔王はブッ飛ばされた。そして、俺が一番心配したのはカルンだった。


 左手が千切られたのだ。他のメンバーとは一線を画する重大なダメージだ。


「お、おいカルン! 大丈夫か!」


「……ええ」


 生気が抜けたような顔でカルンが返答する。意外と平気そうだが、それにしたって。


「って、そういえば義手だったか……」


「ええ……」


 見れば出血してる様子もない。どうやら綺麗に義手だけを切り離されたようだった。やや離れた所に落ちている黒いグローブ。ちらりと中の水色が見えた。独特な色の義手だな。


「えーと……とりあえず、みんな無事か?」


 全員に声をかけてはみたが、返事はもう無かった。


 カルンも気だるそうに横に倒れ、顔面には「もうどうでもいい」と書かれていた。月眼の魔法にさらされて、義手だけでなく魂までぶった切られたような、そんな有様だ。


【抗うな】という命令。それにどこまでも従っているような。


 俺は落ちているミトナスに近づいて、それを拾い上げた。綺麗に分断されている。


 えい、と断面を貼り合わせてみたが戻るはずもなく。


(……ミトナス……ロストしちまったか……いやでもこいつ、溶け落ちた状態から復活した事あるしな)


 とりあえず放っておいたら人間の骨折みたいに、くっつくかもしれない。俺は丁寧にミトナスを地面において、少しだけ祈りを捧げた。


 それから俺はもう一度全員の顔色をうかがい、無事が確認出来た後でようやく彼女に目を向けた。


「フェトラス……今の魔法はなんだ?」


[……やり過ぎたとは思わないけど?]


「ああ、いや、別に怒ってるわけじゃない。襲われそうになったらそりゃ自衛するよな。異論はない。というか殺さないでやってくれてありがとう」


[それならいいんだけど]


「俺はただ、今の魔法の解説が欲しかっただけだ」



【抗うな】と、彼女はそう命令した。


 ただそれだけで、結果が訪れた。


 折る、放る、切る、吹き飛ばす。


 単一の呪文で、四種の効果……ある意味では『宮廷料理』を凌駕する異常な魔法だ。


 ルール無視にも程がある。マッチで火を付けたら空からニンジンが降ってきたってぐらい意味不明だ。



[今の魔法は……別に意識して唱えたわけじゃないよ。単に私の願いを口にしただけ]


「願い?」


[きっと魔法って元々そういうものなんだと思う。願いを叶える・・・・・・という事が、魔法の基本にして真髄なんじゃないかな]   


「……魔法ってのは、基本的に何かを壊すモノってのが人間の中じゃ通説なんだが。でもまぁ確かに。空を楽に降りたり、釘をたくさん造ってもらったりしてたもんなぁ」


[そういうこと]


「それにしたって、たった一つの魔法でどんだけ器用なことしてんだよ」


[一つの呪文に、たくさんの意味を持たせることは可能だよ]


「…………分かりやすく説明してほしい」


[大目標のために小目標を重ねる必要はないの。欲しい結果を想定して、それをよこせと、命令するだけ]


 ダメだ全然わかんねぇ。


 とりあえずメチャクチャなのはよく分かったが。

 しかしそれを信じるとなると、今のフェトラスの願いは何でも叶うことになってしまう。


 まぁ月眼だしなぁ。


 そして裏付けの一つとして、その頭から生えている双角。


 魔王ギィレスの何倍もあるその双角は、いったいどれほどの魔法を可能にするというのだろうか。



「それで、お前は何を望んでこんな所にいるんだ?」


[……別に長い話をするわけじゃないけど、せっかく椅子を作ったわけだし、座ったらどう?]


「お言葉に甘えるとするかね」


 ちらりと仲間達を見る。


 ちゃんとみんな生きてる。


 吹き飛ばされた演算の魔王も、大したダメージを負ったようではないし。


 ただ漏れなく全員呆然としている。椅子に座るよう促しても無駄だろう。


(恐慌状態に陥られるよりはずいぶんとマシだけど……ま、いいや)




 今の俺にはフェトラスしか見えてないのだ。





 俺は椅子に座って、ふぅとため息をついた。


「それで、何してるんだお前?」


[この世界の仕組みを殺戮するの]


「……何のために?」


[もちろんお父さんのために。そして私のために]


「そうかい」



 俺達のために頑張ってたというのなら、頭ごなしに叱るのはやめておこう。


 俺の教育方針は「褒めて伸ばす」なのだから。



「んじゃあ次の質問な。それで、世界の仕組みってなんだよ? 世界そのものを滅ぼすってわけじゃないんだよな?」


[この世界が変だっていうのはさっき言ったよね。偏っている。バランスが悪い。当たり前すぎて誰も気がつかないけど、そもそもこの世界は前提からして奇妙なのよ]


「前提って言われてもな……」


[昔、お父さんが教えてくれた考え方があるじゃない。植物がいて、動物がいて、人間がいて、一番上にモンスターがいて。そして離れた所に魔王がいる]


 食物連鎖の話だな。ちょっと懐かしい。


「それがどうかしたか?」




[まず、人間と魔族が争っているっていうのが、一番意味不明だよね]




「は?」


[どうして人間と魔族は争っているの?]


「どうしてって……そりゃお前……人間と魔族なんだから、当たり前だろ」


[それはどうして当たり前なの?]


「……色々なものが違うからだ。文化が違う。住む所が違う。生態系が違う。そして何より、思想が違う」


[それ全部、人間同士も当てはまるんだけど]


「……む」


 確かに。


 都会に住む人と、山岳部に住む人は文化が違う。食べる物も違う。きっと眠る時間も違う。かかる病気にも違いが出るし、体つきも違う。もちろん価値観が、つまり考え方も異なる。


[人間と魔族……使う言語が同じで、食べて、遊んで、寝て。好き嫌いがあって。命があって、死があって――――私には共通点の方が多いように思えるよ。だったら、争わずに交流すればもっと世界は平和になるんじゃない?]


「そりゃそうかもしれんが、決定的に相容れない部分がある。魔族は――――魔王を崇拝している」


[だから?]


「お前相手に言うのはちょっとイヤなんだが、一般的な魔王は全てを皆殺しにする習性を持っている。そんな殺戮の精霊を信奉している魔族と仲良くやるのは難しいだろ」



[つまり、魔族が人間に敵意を持ってるから、仲良く出来ない?]



「……まぁ、そういうことになる」


[ではこの話題は一端保留にして、次の話題に。殺戮の精霊である魔王は、どうして魔族を皆殺しにしないの?]


「……ぶっちゃけあんまり考えたことは無いが……誰だって『好きです!』って言ってくるヤツを無碍に扱ったりはしたくないだろ。そんな理由なんじゃないのか?」


[統べて、全てを殺す者。殺戮の精霊なのに?]


「……………………」



[じゃあ、人間も魔王を崇拝すれば、魔王に殺されないのかな?]



 ……違う気がする。根拠が無いので、口にすることは出来なかったが。


[どう考えてもおかしいじゃない。無理がある。矛盾がある。どこかに嘘がある]


 フェトラスの話は難しいな。


「……うーん…………」



[魔王っていうのも変なのよ。殺戮の精霊。全てを殺す者。でも、統べる必要・・・・・は無いでしょう]



「あ」


[皆殺しが習性のくせに、王様になりたがる? なんなのそれ?]


「【殺戮の精霊と魔王は……同じじゃない】のか?」


 チリ、と頭の奥がうずいた気がした。


[今の私はそう確信してる。だから、私はまた自分が分からなくなったよ]


「いや、お前は俺の娘だろーが。そこ見失うな」


 そう言うと、ようやくフェトラスは微笑みを浮かべた。


[もちろん。私はお父さんの娘だよ]


 微笑みが消える。


[でもそれは私の全てじゃない。私は魔王でもあるし、殺戮の精霊でもある]


「それは否定はしないが……。でも、俺にとっちゃお前は大事な娘だ。そしてその事実さえあればいい。だからお前には悪いけど、魔王云々ってのは些細な問題としか思ってないんだよな」


[うん。これは私の問題だからね。そして問題であると同時に、権利でもある]


「……魔王の権利」


[私の敵は、お父さんの敵――――そしてこの世界には、お父さんの敵が多すぎる。それはイコールで、私の敵が多い・・・・・・ということ]


「…………」


[お父さんを島流しにした人達。悪い人間。大型の肉食獣。モンスター。魔族。魔獣。危険な道。物騒な嵐。突然の雷。いつ落ちてくるかも分からない流星]


 ぞわ。


[私はそんな全ての敵を、殺戮したいの]


 ぞわ。


 さっきから鳥肌が止まらない。なんだこりゃ。




[私はお父さんの娘。お父さんを護りたい]


[私は魔王。この世で最も強く、傲慢であっていい王]


[私は殺戮の精霊。殺す事が、私の存在理由]


 そしてフェトラスは、殊更はっきりと述べた。



[私はお父さんの敵を殺す。人も、魔族も、魔獣も。

 ――――そして、この世に存在する全ての魔王を、殺戮する]



 目の前の月眼さいきょうが謳う。



殺戮それが……お前のやりたい事、なのか」


[やりたい事ではないかな。本当はお父さんとお家でゆっくり過ごしたいよ]


 曖昧な願いだ。だけど全面的に同意する。


「じゃあ、そうしようぜ。何なら今すぐにでも」


 そう提案してみたが、彼女は小さく首を横にふった。


[殺戮は、私に出来る事・・・・だから。そして同時にすべき事でもある。私の願いは、その後に叶えるよ」


 フェトラスは淡々と言い切った。


 心にほんの少しだけ不安が生まれる。


 もしフェトラスが全ての敵とやらを殺戮しきったら、この世界はどうなってしまうんだろう。


[少し話を戻すけど、魔族が人間に敵意を持っているから仲良く出来ないんだよね」


「あ、ああ……」


[でもこの世の中には、カルンみたいな魔族もいるし、アリセウスみたいな魔族もいる]


「……ありせうす?」

[カフィオ村で私が殺した魔族だよ]


 俺はそうか、と小さく返事をした。


[みんな個性的。性格もてんでバラバラ。なのに行動は似通ってる。そんな魔族が日夜産まれてくる]


「……?」



[ねぇお父さん。魔族を根絶やしにするのと、魔族が人間を嫌わないようにするの、どっちが簡単・・だと思う?]


「……!?」


[根絶やしにする方が、私にとっては簡単ではあるけれど]


「…………」


[魔王がいるから、魔族は人間に敵意を持つ?]


 この子は。


[だったら、魔王がいなければ、魔族は人間を襲わないのかな? まぁ、どちらにせよ魔王という存在が不要であることは間違いない]


 この子は、世界を滅ぼさない。



[――――ねぇ、お父さん。突如発生する魔王を今後一体ずつ殺すのと、そもそも魔王が産まれないようにするの。どっちが確実・・だと思う?」



 けれど、この世界の仕組み・・・・・・を殺戮するつもりだ。



 俺は今更、フェトラスの目的を知ったのだった。



「魔王が産まれないようにする……そんな事、可能なのか?」


[私に不可能はない。だけど、やっぱり時間はかかる。魔王達を殺戮するためにずっと呪文を唱えていたんだけど、中々に難しいの。あと一ヶ月はかかるかも]



 不意に俺はとあるエピソードを思い出した。


「そういえばお前、歌ってたよな」


 歌う銀眼――――呪文を唱え続ける、さすらいの魔王。


[ええ。殺戮の魔法を、歌っていたの]


 呪文は単語数が多ければ多いほど、威力を増していく。


 ダブルワード、フォースワード。それ以上の単語数ともなると、成立したモノは真実味の無い伝承にしか残されていない。



(それなのに、そんな伝承なんざゴミに思えるくらいの長い呪文だと……!?)



 成立すれば、まさしく一瞬でこの星は太陽みたいに燃えてしまうのだろう。


 ――――だがコイツの魔法は、そもそも最初から常識外の魔法だった。


「夢の宮廷料理フルコース」


 最早呪文ではない。ただの願望・・だ。


 俺の中で色々とピースがはまっていく。



 この子は俺の娘。


 月眼の魔王フェトラス。


 殺戮の精霊の先を行く者。



[魔王の次は、魔族を殺す。その次は魔獣。魔女とは会ったことないけど、危なそうだから殺す。モンスターも殺す。そして悪い人間も殺しましょう。そして造り上げた敵のいない世界。楽園・・。私はそこでお父さんとずっと楽しく平和に暮らすの]


 楽園を夢見る彼女が浮かべたのは、笑いなのか、嗤いなのか。



 俺はたまらずに、叫んだ。




「いや、ささやかな望みの割には、手間暇かけすぎだろ!!」




 全力で突っ込んだ。



「俺とダラダラ過ごしたいから、殺戮する!? そこまでする必要あるか!?」



 マジで心からの咆吼だった。



「あのさぁ……お前バカなの……? もういいや。帰ろうぜ?」


[どこに?]


「俺達の家にだよ」


[カフィオ村?]


「いいや。俺達が出会ったあの大陸だよ」


[……モンスターを絶滅させてからね]


「お前がいたらどんなモンスターも近寄ってこねぇよ」


[あ。そうか]


「やっぱお前バカだろ」


[でも、もしも私がお父さんから離れたら? 急に錯乱したモンスターに襲われて、うっかりお父さんが転んでしまったら? そういうのが私はすごく気になる]


「心配性の過保護か。あんまりお父さんをナメんなよ」


[突然魔王が発生したら? カルンみたいに魔族が訪れたら? お父さんみたいに誰かが島流しにあって、それがとんでもない極悪人だったら? 魔獣が襲来したら?]


「そん時は、戦えばいいだけの話だろうが。このテレッサもあるし、俺だってそこそこ自衛出来るわ。まだ完全に使いこなせてるわけじゃないが、普通の魔王ならお前の力を借りるまでもないと思うぞ」



[その前提・・がおかしいって言ってるの]



(……なんの話?)


 首を傾げたが、フェトラスは真面目な顔をしていた。


[この世界は魔王のためにある。私達だけが、異常な力を持っている。はっきり言えば魔王は異物なのよ。この世界のスケールに合っていない]


「…………確かにな」


[でも私はここにいる。何でも願いが叶うこの世界に]


「…………」


[だけど、この世界の異物に対して、更なる異物がある。それこそが聖遺物・・・。魔王のための世界で、魔王を殺すモノ]


「………………」


[何故、ただの武器・・・・・が、魔王を倒せるの?]


「神様が……授けてくれて……」


[でも今の私を倒せる聖遺物なんて、この世には絶対に存在しない。何故なら、いくら強い聖遺物だとしても使うのはただの人間・・・・・・・・・なのだから]


「ツッ」


 俺は消失剣パラフィックを使っていたドグマイアのことを思い出した。


 そうだ、ヤツは一瞬にして聖遺物を奪われ、無力化された。


[そう考えると聖遺物は、弱い魔王・・・・しか倒せない]


「…………」


[そもそも、なぜ神様は人間に武器を与えたの? 神が有能ならば、最初から魔王なんて存在を許さなければ良かったのに。魔族には何も与えないの? 人間だけが特別なの?]


「…………」


[聖遺物は、魔王と戦うための武器。でもカミサマが授けたはずのそれは、あまりにも限定的にしか使えない。使える人と使えない人がいて、何かを消費したり、大切なモノを代償にして動く、奇妙な道具。お父さんはそのテレッサで自衛するって言ってたけど、仮にこの場にミトナスしかなかったらどうするの? 魔王を追って殺すだけの槍で、全ての脅威から自分を護れるの?]


「……難しいだろうな」


[魔王のための世界で、弱い魔王を倒すための武器。それこそが不可解な前提。――――魔王を倒すための武器って、この世界に必要なのかな?]


「…………」


[人間が特別なのならば、人間だけの世界を創れば良かったのに]


「…………」


[神は世界を創った。神様は人間に武器を与えた。だけどこの世界は魔王のもの。――――ねぇ、カミサマは一体何がしたいの?]


 俺はもう何も答えることが出来なかった。


[本当に不可解。……もう一度、似たようなことを聞くね。魔王のための世界。その魔王を倒す聖遺物。使えるのは人間だけ。魔族とは殺し合うばかり。だけど最終的には、やっぱり魔王が君臨する――――ねぇ、この世界って変じゃない?]



 ああ。


 今ならその言葉の意味が、俺にも分かるよ。


 だけどそれは。



「お前が、ちょっと特別ってだけで、月眼だけが……特殊なわけで……」


[お父さん詳しくは教えてくれなかったけど、この世界にはかつて月眼がいたはずよね?]


「伝説の大魔王……テグアだな」


「その大魔王ってのは、どうやって倒したのかしら]


「……伝説によると、かの大英雄ジェファルードが分身剣シルベールを使って討ったと」


[ねぇお父さん。少しだけ、本気を見せるね]



 彼女は遠くの山頂を眺めた。


 ムール火山。この辺一体でも最大級の火山。


 山頂まではまだ遠く、離れた所では白煙が上っている。



[【切断し、塵と化し、炎は死に絶えて、痕跡を残すな】]



 ザンッ、という音が聞こえた気がした。


 ややあって山頂が斜めにズレ落ちる・・・・・


 山の三分の一だ。岩石と呼ぶにもおこがましい巨大な崖が、落下していく。


 かと思いきやそれは灰色のチリと化して消滅。同時にむき出しになった山岳部に灼熱のマグマが這い出る。


 そして、すぐに真っ黒になって止まった。あふれ出た溶岩だけではない。荒れ狂う爆発の兆候は瞬時に停止し、煙すら途絶えた。



 おそらく今、この火山は殺された・・・・・・・・・のだ。



[ねぇお父さん]


 俺の娘は。


[こんなモノに勝てる存在って、いるのかな]



 強い弱いという次元を超えている。


 この力は計測不可能だ。


 人間が何人分とか、聖遺物何本分とか、そういう単位では間に合わない。



 いよいよ俺は恐怖を覚えた。


 流石の俺も、怖ろしくて震えた。


 月眼の魔王がこちらを見ている。



 月眼の魔王が近づいてくる。



 月眼の魔王が。



 月眼の魔王が。



 ――――フェトラスに、見えない。





  

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[良い点] あー、確かにこれは殺せる存在では全くないのか… 主人公スラも脅えてしまった
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