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我が愛しき娘、魔王  作者: 雪峰
第四章 All for the one
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4-36 事実が導く敵意



 平野には最早一本の矢さえ残っていない。


 けれども地面に穿たれた穴はしっかりと存在しており、それは何とも不気味な光景だった。地面の下にうじゃうじゃと虫がいそうな。


 視線の先には二人の人間。距離はそう離れていない。


 立派な王国騎士の装備を固めている。だが騎士剣は所持していないようだった。どこからどう見ても英雄サマだ。


「……よう。いきなりなご挨拶どうも」


 俺が片手を上げながら声を掛けると、俊敏な動作で白い弓がこちらに向けられた。


「……ふむ。人間か」


 ぴったりとしたオールバック。俺よりだいぶ年上に見えるが、その佇まいは精悍せいかんだった。なんというか――――そう、聖人君主に見えるわけではないが、とても穏やかで紳士的・・・な男のように見える。爽やかな年の取り方をすると、あんな風貌や目つきを得られるのかもしれない。


 対してもう一人の男。


 地面に膝をついて、こちらの様子を伺っている。


 髪質が細いのだろう。少しウェーブがかかったような乱れ方。顔色は悪く、そして自信の無さそうな目つきをしていた。俺より年下か? だが年は若くても、活力を感じない。俺が兵士をやっていた頃にいたが、イキがってる小心者に近いオーラを感じる。手にしているのは……ハサミ、か?


 俺が観察をしたのと同時。相手からの観察も終わったようだった。


「聞きたいことは少ない。そこにいるのは魔王だな?」


「何の話だよ。いきなりブッ放してきやがって。よくも俺の馬を殺してくれたな」


「……ああ。それは悪いことをしたね。それで、どうして君は魔王を匿っているのかね」


 どうやら『魔王がいる』ということは確信しているらしい。まぁ、そうでなければいきなりあんな殲滅行動に出たりはしないだろう。


 それでも俺はシラを切ってみた。


「だから、何の話だよ。魔王なんて知らないぞ」


「ふむ。嘘をつくんだね、君は。さてさて、聞きたいことが増えたが、あまり時間をかけるのもどうだろう。いつ木陰から必殺の魔法が飛んでくるのだろうかと、少しヒヤヒヤしているのだが」


 弓は相変わらずこちらに向けられている。言葉遣いは穏やかだが、その姿勢は俺の命を絶つことに何の躊躇いもないことを表している。


「というか、ジンラ様……どうしてこいつらは無事なんですか?」


「そうか。リッテルには見えなかったか。……おそらく、テレッサだ。アレが私の矢を打ち落とした」


「クラティナが?」


「違う。テレッサが・・・・・、だ」


 瞬間、リッテルと呼ばれていた男の顔色が変わった。


「まさか――――まさか!」


「ライアグルに対する対処が正確で、行動も早い。人影が四つ見えたが、どういうことだろうか」


 ここで俺は気がついた。あれほど問答無用の攻撃をしておきながら、ジンラは俺を殺そうとしてこない。


 ジンラが持っている白い弓。天瀧弓ライアグラと言ったか。


 あれは聖弓だ・・・・・・


 即ち、人間には使えない――――!


 先ほどの攻撃は「魔王に対する攻撃」の一環だ。故に俺は巻き込まれそうになったが、明確な殺意を俺に向けることは難しいのだろう。……不可能ではないのだろうが。


 そんな事を考えていると、リッテルが立ち上がった。少しフラついてはいるものの、その視線は敵意を持って俺を真っ直ぐに射貫いていた。


「貴様……クラティナをどうした!」


「どうと言われてもな。誰だよそれ」


「しらばっくれるつもりか……! というか、何故人間がここにいる!」


「旅の途中だよ」


 そう答えた瞬間、スッ、とリッテルの表情が無機質な物に変化した。


「ジンラ様。どうやら魔王崇拝者のようです。ここまで会話が成立するのは珍しい事ですが、その分異常です。討伐・・の許可を」


「落ち着けリッテル。その前にいくつか確認をしておこう。――――君の名前はなんだい?」


「……ロイルだ」


「ロイル氏。さて、君の背後にいるであろう魔王の名前を教えてほしい」


 正確な動作で、矢が放たれた。それは神業のような精度で、俺のつま先ギリギリの所に突き刺さった。


「でなければ、君の背後にいるであろう魔王諸共、君は死んでしまうかもしれない」


(そういう攻撃はアリなのかよ!?)


 クソ、ちょっと目論見が外れた。そうか、弓矢だからか。剣と違って、あれは遠距離武器だ。つまり俺は人間ではなく、魔王の前に立ち塞がる「障害物」として認識されているに等しい。俺ごと貫く・・・・・のならば、それは「魔王に対する攻撃」なのだから。


 いったいどれぐらい時間を稼げば演算の魔王は復帰するのだろうか。


 俺は今更死の恐怖を覚えながら、足下に突き刺さった矢を蹴飛ばした。


「いきなり失礼すぎるだろ、英雄サマよ。人間に聖遺物を向けたらダメだった教わらなかったのか?」


「魔王崇拝者は人の理から外れている。故に、それを処理することは討伐・・と呼ばれるんだよ。ついでに言うなら、魔王の存在確認は済んでいる。こちらとて確証の無いまま攻撃を仕掛けたわけではない。だから君がつく嘘は、滑稽にすら聞こえる」


 どうやら誤魔化す事は不可能らしい。まぁもっとも成功率の低いプランだったのでどうでもいいが。


「…………演算の魔王に何か用か?」


「演算の魔王。……よし、クリア」


 それはクラティナが呟いたものと全く同じ台詞だった。


「何なんだよ」


「まぁ今のでいくつか分かったことがある。君には関係の無いことだがね……さて、演算の魔王は現在戦える状態ではないようだ」


「……クッ」


「現時点で我々が攻撃に晒されていないのがその証左だ。ああリッテル。引き続き警戒はしておけよ。何かあったときはお前が頼りだ」


「……了解です」


 リッテルは下唇を噛みながら、俺を睨み続けた。今にも俺を殺しにかかってきそうな気配だが、動くつもりは無いらしい。


 その手に握られているハサミに俺は注目した。


 聖遺物。――――魔鋏まきょうだ。


(とても武器には見えないが……魔のモノか)


 即ちあれは容易に俺を攻撃しうる聖遺物だ。ジンラの「警戒しておけ」という言葉から、攻撃がメインでなく、何か特殊な能力を駆使するスタイルだと推測される。まぁそもそもハサミだしな。武器じゃない。


(つーか、英雄二人と対峙するって何の冗談だよ)


 俺は魔王かっての。


 フゥーと深呼吸して、俺は意識を切り替えた。


 誤魔化すことは不可能だった。


 ならば次案。最も時間が稼げそうなプラン。


 それは兎にも角にも、『説得』だった。



「オーケー。腹を割って話そう。俺達は演算の魔王を保護している」


「魔王を、保護しただと? …………筆舌しがたい魔王崇拝者だな」


「お前等ホント失礼だよな。俺がじゃなくて、ザークレーって英雄が保護してんだよ。知ってるか? 翠奏剣ネイトアラス使いだ」


「は?」


 ジンラが少し目を丸くした。


「ああ、そういえば馬車に置いてあったな……どれ」


 俺はゆっくりと足を動かし、馬車を目指した。


 血塗れの馬。痛々しくて胸がうずく。


(後で埋葬してやるからな……)


 ひっそりと祈りを捧げつつ、俺は荷台に置いてあったネイトアラスを手に取った。


「ほれ。ネイトアラスだ」


「…………確かにそれは翠奏剣ネイトアラス。ザークレー、そこにいるのか?」


「出てこいザークレー! お前もお話ししようぜ!」


 そう声をかけると、心底嫌そうにザークレーが木陰から出てきた。


「――――久しいな、ジンラ」


「ザークレー……お前……」


「――――痛かったぞ」


 灼き塞いだ傷を見せながらザークレーは苦笑いを浮かべた。


「何故、なぜお前がここにいる。ザファラに来なかったと思ったら、何故……」


「――――複雑な事情があってな。無論、私は魔王崇拝者などには墜ちていないぞ?」


 ギリッ、とジンラは歯を食いしばった。


「これがヤツ等の言っていた、演算の魔王の異常性か……?」


 それは独り言だったのだろう。彼は頭を振って、やがて言葉を紡いだ。


「そうか。先ほどテレッサを使ったのはお前だったのか」


「――――その通りだ。もう使えないだろうがな」


 ザークレーはローブの影に隠していた多斬剣テレッサを取りだした。


「――――ちなみにクラティナだが、英雄としてあるまじき行動に出たので制圧した。無論殺してなぞおらぬ。テレッサは徴収させてもらった」


 ザークレーは慎重な足取りで俺に近づき、そしてテレッサを地面に突き刺した。改めて見たが美しい剣だ。視線を奪われそうになる。たったそれだけの事で演算の魔王には怒られそうだが。


「――――ネイトアラスを返してくれ」


「ん」


 手にしていたネイトアラスを手渡す。彼はしっかりとそれを抱きしめ、やがてローブの中に収めた。


 それを見ていたリッテルがたまらない様子で声を張り上げる。


「クラティナは無事なんだろうな! 怪我とか、させてないだろうな! 英雄としてあるまじき行動って何だよ!」


「――――。」


 ザークレーは応えない。代わりに俺に耳打ちをしてきた。


(――――私をこの場に呼んだということは、どういう意図があってのことだ?)


(めいっぱい時間を稼ぐためには、話題があった方がいいだろ?)


(――――せめて方針を教えろ)


(演算の魔王は、銀眼討伐のために一時的に味方になってもらった、というストーリーはどうだろうか)


(――――馬鹿馬鹿しすぎて泣けてくる)


 ザークレーは深いため息をついて、ジンラに向き直った。


「――――現在、演算の魔王は無害であると申告する」


「無害。魔王が無害、ね。ふむ……時にザークレー、我々が共闘して倒した魔王の名前を覚えているか?」


「――――ダスティールだ。思い出したくも無いが」


「どうやら偽物というわけではなさそうだ。そして応対の仕方から洗脳を受けているとも考えづらい」


 弓を構えたまま、ジンラは質問を重ねた。


「先ほどロイル氏が演算の魔王を保護していると言ったが、どういう理由からだ?」


「――――演算の魔王は特殊な魔王だ。人間に対する殺戮心が薄い。私が知る限りまだ誰も殺してはいない」


「ザークレーの中で優先順位・・・・はどうなっている?」


「――――優先順位? まず第一は民の安寧だ。魔王討伐も、聖遺物保護も、全てはそこから発生する」


 その言葉で何を得たのだろうか。ジンラは少しだけ弓を下げた。


「……リッテル。お前はどう思う?」


「どうもこうも。この人、あの・・ザークレーですよね。死神とか呼ばれてる」


 リッテルは変わらず俺達を憎悪の目で見つめており、その気迫は衰えることが無かった。


「戦い過ぎて頭がイカれたんでしょう。ジンラ様、魔王崇拝者などと言葉を交わしてはいけません。いいですか? 『魔王を保護した』とコイツ等は言ってるんですよ? ――――問答無用で討伐対象でしょうが!」


 叫び声と共に、攻撃の意思が発露された。魔鋏を構えたリッテルが、低い姿勢のまま俺達に迫る。


「ツッ!」


 防具はあっても武器が無い。盾もない。


 どのような攻撃方法かは知らないが、俺は迎撃のポーズを取った。


(相手のリーチは短い……腕を極めて、取り上げるのが安全かもな!)


「シャァッ!」


 魔鋏が振り上げられる。だがそこで、俺は違和感を覚えた。


 腕のプロテクターで攻撃を受け止め、流す。


(……?)


「ツッ! おらっ!」


 今度は突きだ。先ほどよりも攻撃っぽい。


 だけどどこを狙っているのだろう。それは俺の命を奪うものではなく、戦いに勝つためのものでもなく、ただ傷つけよう・・・・・・・とする、駄々をこねる子供のソレに似ていた。


 動きも遅いし、力も貧弱だ。


(なんか弱ってないかコイツ)


 突きをいなし、腕を巻き上げ、関節を極めようとする。だが俺は嫌な予感がしたので、そのまま距離を取った。


「おいザークレー。なんだコイツ。何か変だ」


「――――私も知らない英雄だな。切られるなよロイル。相手は聖遺物だ。どんな効果があるかも分からん」


「天瀧弓ライアグルが無限に矢を放てるのなら、空を飛んできたのはコイツの能力だよな」


 正体不明の不気味さがある。俺とザークレーがジリジリと距離を保っていると、ジンラが動いた。


「リッテル。あまり無理はするな。ただでさえお前は病み上がりなのだから」


「しかしジンラ様! こいつら、クラティナを……!」


「私怨で聖遺物を人に向けてどうする」


「こいつらはもう人じゃない! 魔王に隷属する人類の敵です!」


「それに関しては否定しないがな」


 あんまりだ。せめて人間扱いしてくれ。


「まぁ待て待て待て! 落ち着けよお前等! ちょっと話し合おう!」


「話し合い? 狂人と言葉を交わしてなんの意味がある?」


 その冷たい物言いに、俺は悔しさを覚えた。



 仕方が無いのか。


 だがこれでいいのか。


 しかし真実は重く、確かにそこに存在する。


 俺は話しを聞いてもらうために、演算の魔王の有用性を伝えるために、ひいてはフェトラスのために、ジョーカーを切ることにした。



「……あんた、べらぼうに強い英雄なんだってな。だったら聞いて欲しい事がある」


 俺の顔つきが変わったことを悟ったのか、ジンラは再び弓を構えた。


「……なんだ、魔王崇拝者」


「このムール火山には」


「――――ロイル」


「いいんだザークレー。どっちみち、さっきの鬼畜めいた矢の雨でヤツ・・には気がつかれているはずだ」


「……何の話しをしている?」


「このムール火山には、銀眼の魔王がいる」


 王国騎士。そして英雄の悲願。絶対に達成しなければならない案件。即ち銀眼の魔王。そんな切り札をブチ撒けた俺だったが、予想に反してジンラの顔つきは変化しなかった。リッテルだけは顔色を変えたのだが。


「ジンラ様、こいつら……!」


「ああ。私も段々と怖くなってきたよ。……ロイル氏。なぜ、その事を知っている?」


「…………」


「確かにな。我々もすでに認識済みだ。あのムール火山には銀眼が住み着いている。だが、なぜそれを知っているんだ?」


 冷静な顔つきのまま、ジンラは矢を引き絞った。


「演算の魔王は、一体何をしようとしている?」


「……お前等、銀眼がいるって分かってるのに、こっちを優先して来たのか?」


「演算の魔王討伐は、優先順位・最高位なのでね」


「なぜだ。なぜそこまでして演算を付け狙う。あいつは無害だぞ!」


「聖遺物ごと英雄を拉致しておいて無害もクソも無いだろう」


 あ。


「い、いや。その拉致されたシリックもそこにいるんだが」


「………………………………」


 初めてジンラの表情が、分かりやすく歪んだ。

 理性の塊みたいな男のようだが、少しだけ身近に感じられる。


「………………………………」


「な、何なら呼ぼうか? もちろん魔槍ミトナスも無事なんだが」


「…………そうだな。被害者の安否確認は、重要だ」


「シリック! お前も出てこい! いやこっちには来るなよ! そこから顔だけ出せ!」


 俺がそう大声を張り上げると、ジンラの視線が俺の後方へと移った。俺は振り返ったりしない。視線はジンラに向けたまま。すると、シリックの声が耳に届いた。


「……どうも、お久しぶりです」


「本当にいるとは。魔槍ミトナスは無事か」


 返事は無かったが、おそらくシリックはミトナスを彼に見せつけたのだろう。ジンラは深々とため息をついた。


「魔王殺害特化の聖遺物が、魔王と共に過ごしている……?」


「そうだ。そこにはちゃんと理由がある。演算の魔王は無害だし、俺達に協力してくれているんだ。銀眼の魔王を、止めるために」


 全てが真実だった。


 だが、全てを伝えているわけでもない。フェトラスと合流したらとっとと逃げ出すつもりだ。それにこいつらだって二人で銀眼と相対する度胸は無いだろう。一旦は引いてくれるはずだ。


 ここまでの異常事態が並んでいて、けれども俺達は言葉を交わしている。


 ジンラが苦笑いを浮かべたのを見て、俺は少しだけ緊張感がとけた。良かった。目論見通りに話が進むかもしれない。



「リッテル」


「……はい」


「ここから離れろ」


「えっ」


皆殺しにする・・・・・・



 ジンラは空へと向けて矢を放った。放たれた一本の矢は上昇と共に分裂を始め、やがて墜ちる頃には雨へと変化していた。――――それは俺たち人間に対する攻撃ではなく、ただ空を射ったという事実が導く結果。


「ツッッッ!!」


 慌ててザークレー諸共、馬車の荷台の影に隠れる。やじりが貫通してくるが、身体にまでは届いてこない。


「おいおいおいおい! いきなり物騒なこと言い出したぞアイツ!」


「――――ジンラ、何故だ! 話しを聞け! こいつが言っていることは全て事実だ!」


「残念だよザークレー。君とは良き同胞でありたかったのだが」


 矢の数は脅威的だが、一発一発の矢は普通のそれと変わらない。俺達は身を隠したまま叫び続けた。


「話しを聞け! だいたいこんなトコでやりあってたら、銀眼の魔王が飛んでくるかもしれんぞ! たった二人で銀眼を相手にするつもりか!」


「その時はその時だ。いま私の前にいるのは、銀眼よりも怖ろしい存在だと断定する」


 矢が降り注ぐ音が途絶え、ジンラの声が静かに響く。


「演算の魔王の異常性。おそらくそれは、知ってはいけない事・・・・・・・・・なのだろう。英雄二人がそろって狂うとは。まさしく世界の敵だな」


 知ってはいけない事。ああ、そうだな。この世界にはそんなんばっかり転がってるな。


「銀眼は君たちを皆殺しにした後だ。取り急ぎ、始末させてもらう……!」


 猛烈に嫌な予感。


 俺が脳裏に描いたのは、先日戦ったクラティナの技だった。


 多斬一閃。無数の剣閃を束ねた・・・一撃。


 木陰に隠れている演算の魔王を打つために必要な、高威力の一撃。


「おいザークレー、なんかデカい一撃が来そうな気がするんだが」


「――――正解だロイル。こうなっては命を賭けるに他ない。左右に分かれて飛び出すぞ。この馬車は、もうダメだ!」


 指示の通り、互いが逆方向に飛び出す。


 カウトリアの能力ほどではないが、世界がスローになった。


 視界の隅。白い弓から放たれる、白い矢が見えた。


 無限と評されるそれが収束し、まるで魔法の奔流のように俺達に迫る――――!


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