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Partner light  作者: しんる
8/20

Partner light8

望んでも

望みつづけるだけで

終わってしまうのか

命とは

 

Partner light #8


他の命によって

維持するものか

誰が否定できるか

たくさんの命が

調和して生きる

それがもし崩れたならば

またいつか

調和が始まる


「あんにゃろー。こんな微妙なのを持ってきやがった」

俺はクレイモア片手に悪態をついた。

「おまえの脅し方が悪い」

真珠ー。ひどいよおまえ・・・

「確かにあれは脅しでしたものね」

「脅したつもりは半分ぐらいしかないんだぜ」

「半分はあったていうことですわね」

・・・まあ

「ぼくはこれぐらいでぴったしですよ。初めてですもん」

「そういっても・・・これはなあ」

・・・

もうやめてくれー、と叫びたかったり。

「まあ、ひとつづつ片付けていきましょう」

そう言ってレンは目の前のうざこいものをひとつ片付けた。

「仕方がないな」

そう言って真珠も剣(光で作られたもの)で目の前のそれを切る。

「体力勝負ですわね・・・」

体力に自信のないあんずがげんなりと言った。


――――――四半時ぐらい前

「四月、こっちであってるんですわよね?」

「ああ、確かだぜ」

朝日が眩しい中俺は少し遠くに見える城壁を見る。この当たりの街は城壁の中に城はもちろん街までも入っている。だから白壁の城壁は見えても街は見えないのだ。あれのせーで駆込み入国ができないときがあるんだよなー。

「四月、仕事内容を読んでくれんか」

真珠がこっちを見ながら言う。確かになんも言ってねーな。俺はデータボードに視線を移す。

「スライムやゴブリンを中心とした雑魚退治みたいだ。確かに楽そうな仕事だぜ」

「もう近くまで来てるの?」

俺の顔を除きこみながらはしゃいだ声で言うのはレンだ。

「ああ、もう目と鼻の先って奴だぜ」

「あれではありませんか?」

先行して歩いていたあんずが指を指した。

「そう・・・みたいだな」

真珠が同意してあんずに近寄っていく。

そこで俺は剣を抜く。

「じゃ、いっちょやるか」

隣にいたレンに話し掛けると

「うん!」

と、また元気のよい返事が返ってきた。


今俺の前ではスライムとゴブリンがごちゃ混ぜで蠢いていた。

数くらい書いとけよ、データボード!普通ここまで多いとはおもわねーって。

その数、およそ100.雑魚も多いと大変なんだって。何回も言ってるだろー。

あんずは無駄に数の多いスライムを片付ける事に専念していた。

ここまで数がいると真珠も人の事を気にする余裕があまり無いみたいだ。

レンは俺のすぐ側にいた。実践慣れしていないレンは、はっきり言って背後を取られがちだったのだ。それではさすがに危ないため俺の近くにいてもらうことにしたのだ。レンは苦無を握り締め一匹ずつスライムを切っていく。

俺はと言うと・・レンが近くにいるため大技が繰り出せない状況が続いていた。ま、こんな雑魚相手に大技もなぁ。俺の相手は主にゴブリンだったが。

着実に数を減らしていく。1/3ぐらいは倒したつもりなんだが。

大技が繰り出せない以上一匹ずつ確実に殺って行くことが重要だ。てことで俺は首だけを狙って突いていた。奴らは別に集団行動を取ってくるわけじゃ無し・・回れ右前へ進めとかやってくれると楽しかったんだが・・見え見えのフェイントは個人でかけてくるだけだった。俺にとっては怖くないんだが、

「うあっ」

「レン!?」

スライムの一個がレンに体当たりし、レンがこけそうになる。

「やべっ」

俺は何とかレンを支えたのだが、

「っう!」

左腕、浅い切り傷。

そのまま相手を確認せず無理な体制からレンの金票を抜き相手に投げる。切り傷を作る奴はこの場にゴブリンしかいない。

「ちっ」

この世界で鎧をつける剣士は王宮お抱えか二流である。魔法の普及した現代では重くて動きがさえぎられる鎧など不必要なのである。なぜなら魔法はいとも簡単に鎧を貫くからだ。

だが、この混戦では

「鎧が合ったほうがよかったかも・・」

いまさら遅いけどな

そのまま無理やりレンをかばいながら戦いの輪の外に出る。かすり傷くらい、どおってことねぇ

「お兄ちゃん」

「大丈夫か、レン」

「お兄ちゃんが・・・」

心配そうにレンが俺を見つめる。

「大丈夫」

それだけ言って俺は立ちあがる。

「あれじゃ、真珠に負担がかかりすぎる。ここにいろ。俺が戦ってるあいだは敵もここまでこないから。」

こくんと、さびしそうに頷いた。

「・・回復したら、また俺の近くまで来て戦ってくれよ。」

今度は前より少し元気そうに頷いた。

「いってくる」

それだけ言って俺は戦地へと舞い戻るため走り出した。

走って行くと敵さんもすぐに俺の存在に気がついたらしい。またゴブリンどもが個々の攻撃を繰り出す。前の奴は自分の右ストレートを囮に、右後ろの奴は前の奴を勝手に囮にし、それぞれ攻撃する。

「よし、・・」

左後ろにはいない。

その左後ろに一歩後退しぎりぎりのところでよけておく。どちらのゴブリンの攻撃もあたりやしない。

こっちの攻撃は奴らの腕よりリーチがある。

薙ぐ

撥ねる

攻撃態勢のまま2匹は倒れる。右から左へとやったクレイモアを少しだけ切っ先を上げ左からの敵の頭を陥没させる。

なんかいやな音がしてそいつが倒れたのを見た。

「・・・剣がやばい」

多対一の基本を守りきれなかったぜ。こういう時は切るんじゃなくてつかねえとどんどん切れ味が悪くなんのにー。

すでに時遅し、だな。普段の半分ぐらいになっちゃってるもんなー。しゃあない、第2必殺を使うかー。あれ使うと疲れるんだよな―。

少し多めに間合いを取る。そしてかっこよく詠唱する。

「・・・<その刃は・・・」

このクレイモアはある有名な剣士から譲り受けたものである。

「・・炎のごとき美しい波を打つ・・・」

心を切る技は並の剣では負担がでかすぎて使えない代物なのだ。

「・・波は美しく・・」

その剣士ともいろいろあったのだが・・

「・・かたく波打つ」

まあ、兎に角譲り受けたんだ

「炎の魔剣、ルノー・ド・モントヴァン>」

剣のエッジがぐにゃりと曲がる、波打つ。いつ見てもきれいなんだよなー。

形が定まったとき、普通の剣なら“フランベルジュ”と呼ばれるのだが、

「ふっふっふ。モントヴァンは一味違うぜ」

詠唱が終わったころには周りにスライムもゴブリンも大量に集まってきてた。

俺はその間を走り抜けつつ集まってた奴の一部だけを傷つけていく。

そう、この魔剣ではこれで十分なのだ。

「・・<苦しみより死を>」

その一言だけで、少しだけ傷つけた部分が黒変して奴らはばたばたと倒れていく。

「これぞ、奥義『ラーズスヴィス』」

うっしゃ!きまったー!!

心の中でガッツポーズをしながら俺は次の敵にと向かう。

走りながら敵を傷つけていく。・・20ぐらいたまったかな?

「<苦しみより死を>」

この技の参入によりだいぶ有利になったぜ!

「次は・・・」

「うわっ」

・・・真珠か!?

俺はその声がしたほうを見る。・・・真珠が相手をしきれなくなってた事に気がつかなかった!前後左右からの攻撃により体制が崩れきってる!!

「やば・・・」

「<旋律を造りし風の精霊よ、ぼくの仲間を守って>」

ぎん、とゴブリンの持つ刃がはじかれる。

「・・風の守りか」

真珠を救ったのはレンの召喚魔法である。

「・・・なんとかなりそうじゃねーか」

うっしゃ!ここから巻き返しだぜ!!

 


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