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Partner light  作者: しんる
18/20

Partner light18

誰にでも

過去はあり

誰もが

思い出を持つ


Partner light #18


常識にとらわれなかった

あの頃

無茶しても

進めた

今は立場が変わって

今は

今で

面白い


上から見た闘技場は他人事としか思えない雰囲気だった。

「・・・こんな風に見えてるんだ。」

砂地の闘技場。

最初の試合で使った闘技場だ。

これから始まる試合には出ないので、実際他人事なのだが、何か不思議な感じがする。

双方の扉が開き二人の男が現れる。

二人ともいかにも魔導師といった風貌だ。

だが、実力は大きく開いている。

左の扉から入ってきた20代前半黒髪の青年の方が明らかに勝っている。

そして

いつもの鐘がなる。

双方とも詠唱を終えた。

黒髪の青年の方が放った雷の魔法<スパーク>が炸裂する。

だが、アレが本気ではないようだ。

対する男の業火<ブレイズ>で打ち消されていた。

畳み掛けるように男は炎の爆発<エクスプロージョン>を唱える。

青年のほうは・・・・

・・・打ち消した。

どんな魔法だろう。特殊系だとは思うが・・・。

驚いている相手にさっきとは段ちの<スパーク>を叩き込み

あっという間に試合は終わった。


掲示板を見る。

「見覚えがありますわよね?」

あんずが隣から声をかけてきた。

掲示板には俺の名前「ソラス・エイプリル」と、さっきの黒髪の青年「レイドール・レイス」の名前が並ぶ。

「まあ、本名とは限らないし。俺は略称だしさ。」

お家の都合上俺の本名は結構長い。

「あなたが本名を使うとロクな事にならないと思いますけど?」

「んー、正体ばれると厄介だしね。」

知ってか知らずかあんずも同意してくれた。

それにしても・・・

「見覚えがあるなあ。」


夜。

やっと髪ゴムを買い、いつものように後ろで束ねた後、俺は剣を背負い酒場へと繰り出した。

久々に、酔わない程度にだが飲もう。

ばん、とドアを開ける。

・・・。

見られてる。

そりゃそうか、明日決勝戦で、その出場者だもんな。

当たり前か。

俺は視線を抜けカウンター席につく。

「えっと・・・。モルト・ウィスキーを・・。」

なんかやりにくい。

ほどほどの銘柄のウィスキーを飲みつつ、ほどほどで切り上げようかと迷っていると

「お嬢ちゃん、魔法大会の子だろ?」

また、お嬢ちゃん・・・。

「魔法大会には出てるけど、お嬢ちゃんじゃないよ。」

下手なイザコザは起こしたくない一心で俺は怒りを押さえた。

声をかけた男は意外そうに、ほう、と言った。

そんなに女に見えるのか、俺は・・・。

「明日の自信はどうだい?相手は暁の星の魔道士だからなあ。」

別の男が言う。

「ああ、なるほど。聞いた事あるわけだ。」

俺は感心しながら言った。

「君の名前もどっかで聞いたことあるような・・・」

ああ、昔取った杵柄・・。

「あー、5年ほど前に?」

そうそう、と男は頷く。

「3人組のメッチャ強い奴等だろ?」

「デーモンを一捻りにしたとか、賊を数組壊滅させたり、って奴等だろ?」

ああ、耳がいたい。昔はそういうのが日常茶飯事だったけ。

周りが盛り上がってきたし、ほどほどにお茶を濁して帰ろうかとしたとき・・・。

ばたん。

入ってきたのはレイドール・レイスだった。


何でだ。

なんでまだ飲んでるんだ。

「いやー。ホントにあのソラスなんだな?」

「だから、何度も言ってるだろ!」

右に暁の星の戦士ウィド、左に魔道士レイドール。

逃げられない。

「一回手合わせしようぜ〜。その剣、あのモントヴァンだろ?」

「明日は僕との試合だから、ウィドはまた今度なー」

俺ぬきで話しが進むなら帰らせろよ・・。

しゃあない・・・。

「手合わせしたら帰らせろ。」

俺はウィドにそう言い、カウンターに金を置いて剣を持ち、店を出る。

後ろを二人がついてくる。


街の中でも住宅が少ない地域の公園。

俺はクレイモア状態のモントヴァンを抜き、構えた。

相手も大剣を構えた。

相手が走る。

左から来る一撃をモントヴァンで受けようと思い剣を構えたが・・・。

俺は上に飛んでいた。まともに食らったらモントヴァンが折れていただろう。

「オレのプレシューズの一撃を避けるとはな・・。」

「食らったら剣が折れるだけじゃすまねえだろ。」

そう言いながら俺は構え直す。そして左手に魔力を込める。

走る。相手の攻撃範囲に入る、とたんウィドは剣を横に薙ぐ。

俺はその剣のブレイドに左手の中指薬指を置き、その多めのフォアブルを感じつつ相手の背後に飛んだ。

首筋にエッジを感じたらしくウィドは右手を上げた。

「強いがその剣を活かしきれてないな。」

「ああ、修行中だ。」

俺はぶっきらぼうに答えた。

お互い剣をおろす。

「いやー。面白かった。」

「お前は良い御身分だな、レイドール。」

ウィドの一言にレイドールはひらひらと手を振りながら答える。

「まあ、明日は僕の番だし。」

「俺は2戦もやる羽目になってるじゃねえか。」

モントヴァンをシースに収めながら、俺は言った。

「じゃあ、ひとつだけ。」

レイドールは少し離れる。

「<闇の力よ、僕レイドールに力を貸して、全てを飲み込む力を>・・・何か魔法を唱えてよ。L12くらいで。」

「急だな・・・。<氷よ我友よ、我ソラリスファに力をかしたまえ>」

弓を引く体制を構える。

「行くぞ。<アイシクルアロー>」

「<スワロウ>!」

黒い闇が俺の放った氷の矢を食った。

「・・・俺はそれより昼間の奇跡魔法が見たいかな。」

あの、魔法を打ち消したやつのことだ。

「あれは、相手の魔法が弱くないと難しいんだー。L1くらいで。」

「了解。<アイス>」

氷の塊が俺の手から打ち出される。

レイドールの手に当たる。

「よっと。」

消えた。

「魔法を分解したのか・・・?錬金魔法・・?」

「ちょっと違うけど・・・今日はここまで!あ、僕は明日、魔法防御を上げる装備で行くから、あしからず〜」

「ちょ、卑怯じゃね?」

「そっちもそのつもりで〜〜。」


明日は大変になりそうだ。

とりあえず、ほどほどに起きて、

革袋の中から探し物だ・・・。


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