Partner light17
自分を
写すもの
見た目より
心は綺麗でなかった
Partner light #17
だから
それは嫌いだ
飾っているわけでもないのに
ひとは
自分を綺麗だという
否定したくて
傷付けた
自分をそれを
本日は一試合。
準決勝というものだ。
俺は髪を弄びながら戦闘の文字が出ている掲示板を見た。
後ろに振り向くと結んでいない青い髪がついてまわった。
「・・・邪魔だ。」
どうしてゴムを置いてきてしまったんだろう。
「まあ、自業自得ですわね。」
・・・あんずの言う通りではあるが。
「なんかボーっとして返してくれなかったからさあ・・・」
「その姿を見ているとボーっとしたのもお姫様だったのも肯けるがな。」
「うるへー」
慰めにならんぞ、それは。
「似合ってるからいいですよ。」
レンも慰めになってないって・・・。
とぼとぼと会場に向かうのだった・・。
扉を抜けたらそこは
・・・ミラーハウスもどきだった。
鏡というだけでも嫌なのに、魔力が込められているのにもうひとつ嫌悪を感じた。
「意味道理のマッジクミラーかな・・・」
ぐわーん
相手の姿も確認できぬまま試合が始まった。
「<有よわが友よ、我ソラリスファに力をかしたまえ>」
俺はすぐに構える。
「<シューティング>」
ドガっとミラーにあたる。それがすぐさま跳ね返ってくる。
俺は1歩右に出てそれを避ける。青い髪が遅れてついてくる。
「やはり・・・」
迷惑な代物だ。今回は余裕でよけれたが・・・・
はっと、魔力を感じ体を傾けながら振り返る。
すぐに元頭のあった場所を雷の矢が通り抜ける。
「さすがにできるようね。」
矢を放った張本人が少し離れた鏡のうえに立っていた。
20歳くらいの女性だった。いかにも魔導士という感じの服装だった。
しかも過激系。
「可愛い容姿をしてても、準決勝まで進んだだけはあるみたいね。」
「・・・可愛いって言われても全然嬉しくないけどな。」
俺はすぐに構える。
「<プレス>」
ぐしゃっと鏡が上から潰された。
女は寸前で飛び上がっていたらしく無傷だった。
「<ライトニング>!」
「<ソード>」
飛んだときに打った雷を俺は魔力の剣で散らした。
すたっと俺の目の前に立った。
「可愛い上に強いのね。<スパーク>!」
ばりっと体に電気が走ったが、寸前で前の戦いの男が張っていたように、魔力防御を張ったため大したことにはならなかった。俺は余裕を見せるようにニヤリと笑った。
「お姉さんもかなりやるね。<メテオ>!!」
俺は右手のソードを下げながら思いっきり後ろに飛びつつ、隕石を呼び出した。
かなりの数のガラスが散った。
それで倒せるとは思っていない。
俺は走りながら剣を構える。
あー、髪が邪魔だ!!
女がいるだろう場所に、姿はよく見えないがそこに剣を振るった。
血が散った。
同時に俺は来た方向へと爆風で吹っ飛ばされた。
衝撃でソードが消え、雷に焼かれ右腕が痛かった。
体勢を整えつつ俺は次の魔法を唱える。
「<光よわが友よ、我に力をかしたまえ><ヒール>」
まばゆい光の後、火傷は完全に治っていた。
「傷を治すなんて洒落た考えだけど、攻撃はしない気??」
女は雷の剣を構えた。
「ライジングストーム・シフトソードか・・・」
「ええ、切られたら意識が飛ぶでしょうね。」
にっこりと微笑みつつ握るその剣が、じじっと音を立てた。
「体勢も私のほうが有利。魔法属性からしても、光では大した魔法は使えないでしょう。」
「どうかな・・・・。」
「その綺麗な、強がりな顔が血に濡れるのは壮観でしょうね。」
ふふっと女は色っぽく笑う。
俺は次の魔法のために魔力を練る。
「やぁああ!!」
「<白蝶>!!」
女が手にする剣が振り下ろされるのと、俺の魔法の発動は同時だった。
まばゆい光の後、俺は無傷でそこに立っていた。
今のところ、女も無傷だが。
「まさか・・・。」
女の蒼白な顔が見えた。
「その魔法まで取得しているなんて!!」
俺の掌の上にいる3匹の白い光の蝶を驚いた目で見ている。
光魔法の最高位魔法、白蝶。
その名の通りの白い蝶が現れる。
その蝶ひとつひとつが光魔法の全ての魔法を使うことができる。
さっき俺を守ったのは鉄壁という魔法だ。
俺は女と距離を取る。
蝶達は俺の手から飛び去っていく。
「ふん!・・・精神力がどこまで続くかしらね!?<スパーク>!」
雷の塊が蝶に当たる。
俺にも少しだけ衝撃が来るが、たいした重さではなかった。
蝶もびくともせずにそこにいた。
「そろそろ終わりにしようぜ・・・。」
俺は右手を上げる。
3匹の蝶と俺とのシンクロ率を最大にまで上げる。
息を吸いこむ。
女が最後の抵抗とばかりに魔力を練った。
俺も最大の力で臨む。
「ノヴァ!!!」
「<サンダボルト>!!!!」
3匹の蝶から発された白い圧力は
女の魔法をかき消した。
そして鏡の大半を瓦礫の山へと変え、
立っているのは俺だけだった。
俺はくるりと回り入ったドアへと向かった。
俺の後ろを、青い髪、白い蝶がついてきた。




