Partner light13
私達は
いつまで待てば良いのでしょう
その役目を
いつになったら
Partner light #13
実行できるでしょう
風化する事も
消える事も
できないのです
次に開かれたとき
私という
存在は
理解してもらえるのでしょうか
魔法傀儡と戦った次の部屋は祭壇がある部屋。そしてその次は宝物庫だった。
お宝を持てるだけもって・・・・全部なんだけどさ。
魔法の革袋につめたのだ。
革袋の入り口に通ったものを圧縮する魔法をかけてあるものだ。実際は圧縮とは名ばかりで一部だけをこの世界に残し残り大半を超物質界四次元以上にとばし、残った一部のほうにはもともとの姿を縮小したグラフィックを上にかけている・・・と大雑把にはこうなる。他にも質量問題だとか保存問題、圧縮回復問題とかいろいろ細かいのだ。
そういう難しい原理のため本来は値の張るものなのだが俺自身が魔法をかけたため革袋代だけの出費にしかならない。
「そんな魔法のかけ方何処で知ったんですか?」
「『最新魔法科学』なんかに論文がのってんじゃん」
「・・・あの本は何語で書かれてましたっけ?題目は世界標準文字ルーンで残りはばらばらだったと記憶しているのですが・・・」
「毎回ルーンの論文も2〜3個はあるぞ。ちなみに今月発売したから買いにいかねぇとな」
「・・・」
「戻るぞー」
「四月、この先どうする?」
俺達はあの分かれ道まで戻って来ていた。
「んー。行ける状態じゃねえだろ」
こくこくとレンが頷いていた。初めてならこたえるわなぁ。
「では戻るぞ」
「ああ、でも探りだけは入れとく。ちょっと待ってろ」
魔法はホントに便利なものである。
「<生活に使えしわが友よ、我ソラスリスファに力を貸したまえ>」
俺は呪文を唱える前に帰る方向の通路へと進む。
「走る準備しとけよー」
「へ?」
3人の声が重なる。
「<サーチビルディング>」
俺の掌から離れた光が進んでいない方の道へと入って行く。建物の中に何があるかをあの光を通して見る魔法だが、少し危険も伴って・・・
「ってー!きたーー!!走るぞ!!」
即ダッシュ。
「へ?なんで走るのだ?」
「って、何をやらかしてくれたんですの?!」
「あわわわ・・・」
そりゃ怒るわな、前後左右から廃棄生物が襲ってくりゃ。
「探索の魔法をかけたんだけど・・欠陥があってさ〜」
走りながら微妙に後ろを振り返りつつ言う。
「魔法系の生物の探索網に引っかかっちゃうんだよねー」
「ほんのり言うな!」
珍しく真珠が怒ってるな〜。
「ほれ、先行って」
3人が先に行くように止まって待つ。その間に風系普通魔法の詠唱をしておく。
「みんな行ったし・・<ウィンドストーム>」
後ろに向けて放つ。そこで止まったままにしておく。
前に振り返る。前からも来ているらしい。
「頭下げろよー」
弓を構えるようなポーズを取る。
「<ウィンドアクト>シフトアロー」
ウィンドアクトとは風属性の小爆発技だ。それを矢として飛ばしたわけだが・・。
前から来たのも一掃できたらしい。
真珠の目の前にはすぐに外の森がある。
3人とも無事に出れたらしい。
俺も後を追って走る。その間に再度生活用魔法の詠唱を行う。
すぐに外の夕焼けの中へと出る。
そしてその地下への扉を閉める。
「<封印>」
ぎっちりと魔法による蓋ができていた。
「・・で、何かわかりましたの?」
あんずが疲れた声できいてきた。
「何も、って言ったら怒るよな」
「殴る」
「真珠の意見に賛成ですわ」
こえーなー
「・・・どうもあっちのほうが本筋だったみてーだな」
「・・どうして?」
「色々いるからな。中等魔法生物が数匹・・魔法傀儡、の配備は異常だな。黄金製が2体もいるしな・・・」
「そんな豪華なものを魔法傀儡にするのか・・・」
「強いんだぜ、黄金製は。剣で切ろうとしても剣が溶かされるし、近づくだけでこっちは大火傷だ。」
「なんでですか?金属の魔法傀儡なんでしょう」
「黄金は太陽の属性だからなー」
ああ、なるほど。とレンがうなずいた。
「で、そこまでして何を守っているんですの?」
「ちっとまってよ・・・」
俺は無言で魔法を進める作業に入る。
そしてある部屋に行きつく。そこにあるのは・・・
「行こうって言ったら嫌か?」
「当たり前だ」
「何があったんですの?」
「・・呪文書が・・・」
「・・・そんな惜しそうな顔をするな」
そんなに惜しそうな顔をしてたんだろうか?真珠の声が心なしかうんざりしているように聞こえる。
「あれ一冊が高いんだぜー」
「・・死んだらお金は入ってきませんよ」
レン、そのとーりなんだが・・・
「諦めが肝心ですわね」
「う〜」
結局、その入り口には俺以上の魔力があるものしか開かないような封印をかけて去ることとなった・・・。
・・良いなー呪文書・・・。
「ちょっとの間金持ちですね」
楽しそうにレンが言った。
あの遺跡から持ち出してきたものの大半をこの街で売った。
遺跡にあったのは古代金貨やら魔法具やら武器などだったし、俺達に必要なものは無かったから宝石以外全てをうっぱらいそれらも大半を宝石に変えている。
宝石と言うのは何処でも何時でもあまり価値は変わらない。傷なんかは、高温の熱を発する魔法を当てたらふさがるし、宝石に魔法を閉じ込め魔法石とし一回きりだが魔法が使えない人でも閉じ込めた魔法が使えるように細工できたり・・と重く価値の変わりやすい金貨より好まれる。
と言う事で、この世界の旅人の大半は金より宝石を好む。傷をふさぐための魔法も存在するし、専門の業者もいたりするのだ。3割現金残りは宝石、これは旅人の基礎知識にすらなっている。
「しばらくの間は仕事を探さなくても良さそうだな」
「ですわね〜」
女性陣二人もうれしそうに言う。
「重量が無いと楽だしな〜」
その大切な宝石は入っている袋(の一部)を除き全て超物質界へと移転させられている。
その変わり・・になるかは怪しいが俺の右手には『最新魔法科学』の最新号がある。背表紙で殴ったら撲殺する事が可能かもしれない太さで、いつもより数個論文が多いのはたまたまだ。ちなみに今回の目玉は『宝石に半永久的に魔法を閉じ込め何度でも使える魔法石を造る方』・・と言っても閉じ込められるのは小さな回復魔法ぐらいのようだが・・。
「この本は今日明日とかけて大方読んじゃうから出発は明後日以降ってことで」
「・・そんな太いのを1日半ですか?」
「興味が無いのは読み飛ばしだ」
ニヤリと笑って答えておいた。