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Partner light  作者: しんる
11/20

Partner light11

あのことを

今笑い話にできる

自分が

とても良い事だと


Partner light #11


ぐっと身に感じる

あの時は

それだけが

自分の存在だった

自分の過去だった

自分の現在だった

今はもう

なんでもないもの


例の傀儡鎧が出てきた道のほうを行き始めてもう結構歩いている気がする。

次にどんな魔物が出てくるかわかんねーし。気を付けてねーとな。

順番は相変わらず同じ。つまり俺がまかされたのは後ろってわけだ。・・・後ろだけってわけにはいかないのかなー。

・・・なんか来てるよな、前から。

真珠はいまいち気付いてないかなぁ。しゃーねぇ。

「真珠、前」

それだけでわかったらしい。剣を構える。

「何が来る?」

じりじりと近づいて来てはいるが・・殺気は感じる。音は無い。

「生物、かな?」

そうか、と言って真珠は短剣を構えるその手をしっかり握る。

にゅいん、と右からの殺気を感じる。あーあ、こりゃきたなー。

「あんず、レン横・・右を気をつけろ」

二人は構えたまま右を向く。

壁から来るってことは・・・魔法生物か廃棄生物だろう。

「レン、魔法を使う準備をしたほうが良いぞ」

こくんと頷きレンは普通魔法を使う準備をする。風が無いから風の精霊を呼び出す事はできないらしい。普通魔法はどこでも使える分楽ではある。

・・前から2匹横から2匹後ろから2匹が妥当なところか。

「真珠、前の2匹分なんとか絶えてくれ。あんず、レンは横の2匹を頼む」

言葉と同時に前、右、後ろから2匹づつの生き物が出てくる。

「前は魔法生物一体と廃棄生物一体だ!」

「右は廃棄生物が2体ですわ」

「後ろは下等魔法生物一体と廃棄生物一体!真珠、無茶はするな!!」

俺は前と同じくモントヴァン+ヒートブレイドをかけた剣で廃棄生物の核を狙う。

コイツは楽なんだけどなー。

いつやらのように気体化して消える廃棄生物を横目に魔法生物に向かって刃を向ける。

奥義で蹴散らして真珠を助けるのが妥当かなー。それとも第3必殺を使うか・・・。消耗が少ないのは第3必殺なのだが・・。馬鹿らしいんだよな。

「くっそ・・」

真珠はだいぶ苦戦してるらしいし誰も聞いてねーだろうし腹くくるかー。

「<その刃はいつまでも素直な線>」

エッジがぐぐっと直刀となる。つまりクレイモアに戻る。

そして俺はその次の詠唱に小声で入る。

「<氷よわが友よ、我ソラスリスファに力を貸したまえ>」

構えるクレイモアに力が集まるのがわかる。

そして魔法名も唱える

「<アイスストーム>」

クレイモアの刃身が青白い光を放つ。

魔法剣という術である。

ある一定の・・って説明は後か。目の前の倒して真珠を助けねーと。

「はあ!」

アイスストームのかかっている状態とかかっていない状態では攻撃力がだんちである。

核を切る云々の前に下等魔法生物程度ではその身体が核をひっくるめて全て消滅してしまう。あいつ等防御がなっとらんから。

完全に2匹ともが消滅したようだし、真珠の手伝いかな。

右からの廃棄生物は一匹に減っていた。前の方も廃棄生物のほうはもうそろそろ倒せそうだ。

前まで行くよりこっから魔法を放ったほうが早いかな。そうしよう。

「あんず、レン、それ以上下がるとあぶねぇからな。」

「?わかりましたわ」

あ、無理やり納得した・・。

まあ、いっか。説明は長くなるし。

俺はクレイモアを床にぶっさし、以外と軽く入った・・。そしてロングボウを引くかのような前体制を取る。

じじっとその右手に氷でできた矢が伸びる。同時に左手の構えから魔力のみでできた弓が伸び弦を張る。矢をつがえそれを引く。

「<アイシクルアロー>」

唱えながら矢を放つ。解説は長いけどここまでの動作は結構時間がかからない。

光でできた矢は一直線に魔法生物へと飛ぶ。これでも一番魔力の強いところ、核を狙ったつもりだ。

当たる。そして魔法生物が霧散した。

ちょうどそのときには他の廃棄生物達も殺られたらしい。

俺は魔法の弓を消し床に刺さっているクレイモアを抜いた。

「終了だな」

顔を上げてみてみるとみんながこっちを見ている。

「どした?」

「おまえの本職は魔法使いか?」

「違うけど」

「並の魔法使いより強いのでは・・・?」

「そうか〜?」

ふと気付いたが、俺の知っている魔法使い(?)を基準に比べている事が間違いなのかもしれない。アイツ色々異常だったらしいからなぁ・・

「だって普通の<アイシクルアロー>一発では魔法生物を倒す事はできませんわよ」

・・・俺の基準が間違ってたのかなぁ、やっぱり。

でもあれは・・

「魔力の一番強い核を狙って貫通力を強くして放ったからさ」

「その程度でどうにかなる相手だとはおもえんし、第一最初の魔法生物はどうやって倒したんだ?魔法を使っているようではなかったし」

「あれは魔法剣で・・・」

「魔法剣?」

レンがよくわからないとでも言うように首をかしげている。

「剣に魔法をかけてそれで戦う技、とだけは知っていますが・・・」

普通は知らないものなんかな〜?

「まあ大雑把にはそうだよ。あとは色々、並の剣じゃ魔法に耐え切れないから名のある剣しか使えないとか、一回かけてその魔法を放つともう一回かけ直さないとただの剣に戻っちゃってるとか、いろいろ面倒だから使わないんだよなー。モントヴァンと心を切る技さえあれば平地では十分だし」

「へー」

「それにしてもいつ氷の詠唱をしたんですの?」

「・・っと小声でいつのまにか」

本名を知られたくないんだよなー。ソラスならまだしも正式名のほうはどうもなれねぇ。

「・・・大量の雑魚のときにはなぜ魔法をつかわなんだのだ?」

本名を知られたくなかったからです。

「お兄ちゃんなにか隠してるよね」

レンにまで言われるとは・・・

「呪文は聞こえてもよいらしいな」

「詠唱を聞こえないように言った、と言う事は・・・」

「詠唱の全部もしくは一部に何かある?」

掘るな!えぐるな!!

って言ってやりたいけど言ったら墓穴だ!!いえねぇーー!!!!

「詠唱・・詠唱・・・」

考えるなー!!

「!」

レンがなんか思いついたー!!

「お兄ちゃんソラスって名前だよね」

キター!!

「ああ」

「詠唱してみてよ」

・・・・

「ああ!」 「なるほど」

真珠、あんずもわかったらしい・・

「さあ!」

「・・・」

「できないの〜」

「・・・」

「ねぇ〜」

「・・わかったよ、やりゃ良いんだろ!」

昔は正式名で無いとできなかったが今ならできるかも!!期待!!

「氷よわが友よ、我ソラスに力を貸したまえ」

失敗・・・か。いちお唱えるけど・・・

「アイシクル」

しーん、だ。

『・・・』

「で本名は?」

「・・・」

「わかるまで聞きつづけるわよ〜」

こいつら・・・声が笑ってやがる〜!得にあんず!!

いつかばれる事、だったのかも知れねぇが・・・う〜。肩に手を置くな!!

「<聖なるものよわが友よ、我ソラスリスファに力を貸したまえ>」

へん!そのうち笑え無くしてやるぅ〜

「<ケア>」

全員の体力をある程度回復させる魔法である。

「女性の名前ですよね」

レンは控えめだなあ。

「まあ、おまえ性格と度胸と身長以外はその名前で行けるな」

「うるせー」

あんずはなんか考えてるな・・・。やべぇ。ぽん、って手ぇー打ったし。

「エイプリル家のソラスリスファというと、あの・・」

「ストップ!いうなよー」

って時は遅しだったようで。

「亡国のお姫様・・っぷ」

「いうな、笑うな、ばっきゃろー!!」

「お姫様」

「あのころは王子って発表されてたら俺暗殺されてたのー!!」

「お姫様」

「女だったのは餓鬼のころのみだ!!」

「今でも綺麗な顔してますものねー」

「るせぇ!これの所為でかなり困らされてんだよ、俺は!!」

「で、今はこれなわけか」

「良い家育ちだとは思えませんものね」

「・・るせぇ。城の記憶なんてほとんど無くしたよ。覚えてんのは家教の顔としつけ云々の話のみだよ」

「・・四月?」

やっぱ雰囲気変わってンのかな・・。

「こんな俺でも一緒にくるなら来い。俺は進むだけだ。」

昔から家の、あのころの話だけは触れたくなかった。記憶のかなたにはあるが思い出すのは億劫だ。そして怖い。一人になった餓鬼の俺を拾ってくれた人もそれだけは触れるといやがったといっていたっけ。

「亡国の王子様が一緒なんて楽しいな」

とんと真珠が頭に軽くチョップを入れる。

「馬鹿が、あの国には姫さんしかいなくてその子はもういないよ」

あの人に拾われてこの道を歩み出したときからあの子はもういない。

国の無い姫なんてどっちにしても笑い話にもならない。

「国の事は話せないけどその後の事はいずれ話してやるよ」

「それは面白いんだな」

「つまらなかったら蹴飛ばしますわよ」

「楽しみにしてるよ」

こんな暖かいところは2度目、かな

「今度はおまえ等の過去もえぐって見せるからなー」

ニッと笑って見せた。



あとで考えてみるとこの面子すごい組み合わせなのだ。

破壊の女神の化身、を筆頭に。それ考えると俺なんてたいしたことねぇじゃん、そう思ってた。


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