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其の1

初投稿です。

薄暗く、外界からの光を遮断された空間に黒い影が円を作っている。

その中心にいる女は傷を負いながらも、影に叫び続けている。


女と影が幾度かの語らいをすると、影達は女へ向かい魔法の様なものを放つ・・・女は既に動く事が出来ず直撃してしまう。


煙が晴れ、そこにあったのは女が着ていたマントの破片と血溜まりのみだった。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ッ!?」


とあるアパートの一室で眠いっていた 藤堂 龍 は、悪夢にうなされ目を覚ます。


「・・・何だったんだ?今のは?」


リュウは先程の夢を思いそうとする・・・が、アラームにより遮られる。


「ヤバッ!!遅刻する!!」


時刻は午前8時05分、家から学校まで徒歩で約30分程・・・自転車は持っていない。


つまり、ダッシュ決定である。


「クッッッソォォォォォ!!」


制服のボタンを雑に留めて靴の踵を踏みながらアパートを出る・・・別に遅刻をしても気に留めるものはあまりいないのだが、目立ちたくないリュウにとってはあの一瞬こちらへ目が向く瞬間が耐えられないのだ。



・・・ ・・・ ・・・


なんとか遅刻せずに今日も1日何事もなく終えると。

今朝の夢の事など忘れてベッドへ入る。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


(ああ、またこの夢だ。)


女は影に囲まれる・・・何時もの夢と同じだと思ったが今回は少し違う・・・


「何故だ!!何故私を!!」


今までとは違い、しっかりと声が聞き取れる。


「それはあなたがーーーーーーーーからです。」


「な!?ーーーーーーーーーーのどこがいけないというのだ!!」


「それは・・・ーーーーー!!」


プツン・・・・と目の前の景色が真っ暗になる。


「は?・・・なんだ?え?」


突然の事にリュウは辺りを見回す・・・すると、夢に出てきた女が目の前に現れた。


「うわ!?」


リュウは驚き尻餅をついてしまう。


「・・・はぁ、全く人の記憶を覗くとは不届き千万な者だな。」


女はため息を吐きながらリュウを見下ろす。

対するリュウは、いきなり現れた女へ不思議な顔をする。


「その顔は・・・そうだな、こうやって話すのは初めてだからどう話したらいいものか・・・」


女が悩んでいると、リュウが起き上がり質問した。


「えーと・・・どちら様で?」


今まで年上と話した事がほぼゼロのリュウは、何時になく緊張した様子で女へ問う。


「そちらの世界で言う所の名前は無い、好きに呼んでくれ。

職業は・・・魔王をやっていたのだがね・・・」


女の答えに対し、リュウはさらに質問する。


「えーと・・・ナナシさんはゲームとかでよくある魔王なんですか?」


「ああ・・・と言っても昔の事だ。あと敬語は使わなくていい。」


「は・・・わかった。それでその魔王がなんで俺の夢に?」


リュウの質問を聞くとナナシは真剣な表情になり、その場へ腰を下ろす。


「・・・話すと長くなるがいいか?」


「大丈夫だ。」


そう言って腰を下ろすリュウ


「そうだな・・・まず私の世界から話そうか・・・



人族の他に亜人族と魔族が存在し、魔族と人族は仲が悪かった・・・亜人族は中立だったな。


私の先代・・・父の事なのだが、彼は人間を塵のように扱う者でな・・・彼の代では戦争が絶えなかった。


人族の国も魔族の国も戦争の影響で作物などが不作で市民にまで被害が出てしまってね、このままではまずいと思ったんだよ。


だから私は先代を殺した。勿論苦しかったけど、戦争を無くすために仕方ない事だと割り切った。


先代を殺して王位についた私はまず人族との関係修復から入った。


これが大変だった・・・魔族は人族より魔力が優れているから下に見るものが多くてねかなり反感を買ったけど何とか納得させたさ


そして、やっと戦争の無い世界になったんだがやっぱり人族を対等に見るのが難しかったんだろうな。


私は部下や知人に殺されかけた・・・それが貴様の見た夢だ。」


「なるほど・・・確かに殺されそうでした。」


「ああ・・・だがあの魔法を食らう直前に、私は禁忌の霊体化という魔法を使った。


魔法自体は成功して、私は霊体となったのだが肉体は消滅、さらにあいつらの魔法により次元に穴が開いてな・・・そこに吸い込まれてしまい、気づいたらこの地球という世界にいたのだ。


それから私は戻る策を探したのだが、霊体では限界があった。


そこで人間に憑依しようと思ったのだが・・・どうやら私の魔力量より多い者でないと憑依できないみたいで、私は腐っても魔王だ、魔力量が多い人間が見つからなくてな・・・


そうして、世界中で探しているうちに貴様を見つけたんだ。

今考えても、貴様の魔力桁違いだと思ったよ。」


それまで黙って聞いていたリュウが突然立ち上がり大声を上げる。


「まじ!?俺って魔法使えるの!?」


リュウはアニメや漫画などはよく読むのでそういうファンタジーな事に興味津々だった。


スゴくはしゃぐリュウを見て、ナナシはとても微妙な顔をしている。


「・・・確かに使える・・・んだがな・・・」


リュウはナナシの言葉に対し、これは何かあると悟ったようではしゃぐのを止めてナナシへ向き直る。


「・・・だが?」


ナナシは目を逸らしながら答える


「私の魔力が君のと混ざってしまってな・・・普通の魔法は恐らく1日3発が限界だろう。」


ナナシの言葉を聞くとリュウが首を傾げ質問する


「混ざったら使えないのか?」


「そんな事はないんだがな、私は魔族だから平気だが人間のお前が使うと・・・恐らく五分使えば正気を失うな。」


「そうか・・・」


明らかに落ち込むリュウ・・・それを見てナナシが必死にフォローする。


「で、でもほらお前は ユニーク+3属性 だから3回でも十分だって!」


「ユニーク?3属性?」


「あ、ああ・・・そういえば説明してなかったね。」


ナナシの説明を要約すると


魔法には火、水、風、土、光、闇、無 の7種類あり

あちらの世界の人族は基本的に無属性+6属性のどれかの二属性持ちらしい。


他にもユニーク魔法などの個人の魔法がある。


「俺は何を使えるの?」


「えっと・・・無、火、闇の3属性は分かるけどユニークは専門の所に行かないと・・・十分強いと思うよ。」


「よくわからないけど・・・」


しばらくの沈黙の後、リュウの口が開く


「所でさナナシの目的って何?」


リュウは一番気になっていた質問をナナシへ投げかける。


「そ、それは・・・」


「それは?」


「私と異世界へ行って、魔族達を止めて欲しい。」


そう言って、ナナシは土下座をする。


「行くわ。」


リュウは即答した。

次回から一人称で書きます。

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