表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

海賊版

作者: 出島優

皆さん、「海賊版」ってご存知ですか?

映画の始まりとかでよく「違法と知ってダウンロード...」とかって言うの流れますよね。

今回はそんな「海賊版」にまつわるお話です。

とある男の話です。

男は貧乏というわけではありませんでしたが、ものが安く手に入るならそのほうがいいと思うような人間でした。男は映画や音楽はだいたい、インターネットのいわゆる違法サイトというものから海賊版をダウンロードして過ごしていました。そういうところではほとんどの製品が安く、またはただで手に入るので、男はとても重宝していました。

ただ男にはどうしても納得いかないことがありました。それは、海賊版が一般的に悪とみなされていることでした。だって同じものが安く手に入るなら、そちらのほうがすぐれているはずです。消費者も経済学的な原理から言えば、効用最大化に従い、安いほうを求めるはずです。それなのに、法律は海賊版を規制し、メディアもパントマイムするカメラマン(?)を使ってマイナスプロモーションを積極的に行っています。これでは自分のような海賊版を愛する人間の人権がありません。

男は科学者でした。男は研究に研究を重ね、「海賊版と本物を入れ替える」マシンを開発しました。

手始めに男は、有名な映画の海賊版と本物を入れ替えました。するとどうでしょう。今まで違法サイトとして肩身狭くあったサイトが、一瞬で公式サイトになり、その映画の監督が「新しく映画を作った罪」で捕まってしまいました。

男は気をよくして、次々と本物と海賊版を入れ替えていきました。音楽のデータはもはやフリー状態になり、誰もが”元”違法サイトからダウンロードしました。たくさんの芸能関係者が「新しい作品を作った罪」で捕まっていきました。しかし一つ問題がありました。海賊版ができるのはあくまでコピーだけで、作品ができなければコピーもできません。でも、「新しい作品を作る」ことが罪になってしまった今では、作品が生まれることはありませんでした。一時は浮かれていた人々も、次第に退屈し始めました。




ある日、世界にこんなメッセージが届きました。

「世界はあと300文字で終わります。」


男は驚き、焦りました。とはいえ、これは当然です。「新しいもの」が生まれない世界では、当然新しい命も生まれません。そして、いくらマシンでも命をコピーすることはできません。

男には「300文字」が何のことかはわかりませんでしたが、おそらくカウントダウンなのだろうということは理解しました。


「あと159文字」


気が付けばもう半分に迫っています。

男は助かる方法を必死でを探しました。

そして男はひらめきました。男は血走った目でこちらを見て言いました。


「お前、お前だよ!今画面を見てるお前の世界と、俺の世界を入れ替えればいいんだ。俺の世界はお前ら空想、いわば世界の海賊版なんだから可能なはずだ!さあいくぞ、このスイッ


おやおや、惜しかったですね。いや、危なかったかな?彼がもしカウントダウン以内にスイッチを押していたら、今頃僕たちの世界は終わっていましたからね。

しかしやはり、因果応報というか、悪いことをしたらどこかにしっぺ返しが来るものですね。少なくとも世界が滅びるくらいのしっぺ返しは。


評価、感想いただけたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 脈絡もなく唐突にカウントダウン始まってなんのこっちゃと思いました。オチのためだけにこしらえた感があって微妙
2015/07/07 14:50 退会済み
管理
[一言] あとがきにて作者様が悪いことをしたら因果応報だと書かれておりましたが、作中で何が悪いのか、どうして悪いのかまで触れていたら説得力が増していたと思います。本文を見る限り、そのような描写がなく、…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ