変わらない日常
ジリリリリリリ!
耳元で破壊的な、朝を告げる爆音が鳴り響く。
眠りの世界に片足を突っ込みながら、目覚まし時計を殴りつける。
見事に目覚ましはぶっ飛び、自分の指はゴキリと不吉な音を立てた。
二度寝しようとしたのにもかかわらず、手の痛みで完全に目が覚める。
今日は土曜日なのに。
ケータイを取り、予定を確認する。
今日は幼なじみのユリノと、駅前の大型デパートでショッピングをする日であった。
痛む手をプラプラと振り回しながら、勢いよくベットから出る。
待ち合わせまで、後20分。7分で約束の場所に着くとしても、家を出るまで13分しかない。
秒単位で淡い黄色のワンピースを着て、薄手のカーディガンを羽織る。
長い髪に軽く櫛を入れながら、用意してあった朝ごはんのパンを口に押し込む。
ふと、どこかで聞いた「忙しい時には朝ごはんを食べないという奴がいるが、それはおかしい。そういう事をするから交通事故が増えると、言えなくもなくもないと思わないでも無い。」というような、やけに自信なさ気な話を思い出す。
くだらない。
その言葉と一緒にその内容を横に投げ捨てた。
茶色い合成皮革のショルダーバックを取り、ゴタゴタと色々な物を入れる。
髪をササッと高い位置のポニーテールにすると、残り9分になった。意外と余裕を持って行けそうだ。
「行ってきま~~す!」
声と同時に外に飛び出した。
どこまでも青く広く、晴れ渡った空。
そんな空の下で、運命はもう、狂い初めていたのかもしれない。