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プロローグ
----どこまでも暗い闇が包んでいる
音も光も届くことが許されない、黒い黒い世界。
この黒は--絶望の色。
叫ぶことも、泣くことも、助けを呼ぶこともできない。
冷たくて、残酷な恐怖がじわじわと苦しめる。
どうしても何かを掴みたくて、手を伸ばす。
だが、その手は空を切り自身の無力を示した。
悔しい。そう思った。
ただただ、無性に悔しくて、無駄だと知りつつ彼女の名を呼んだ。
その行動は徒に空気を消費しただけだった。
----闇に吸い込まれていく。
突如として、脳裏に凛とした声が響きわたる。
---ちゃん、あの時の事覚えてる?
今度は・・・・・私の番だよ。ありがとう。それからバイバイ
----視界がホワイトアウトする。
オヤエハ、ナカマヲ、イノチノダイショウニシタ---
そうだ、私は・・・・・犠牲にしたんだ。絶対に見殺しにしない事を分かっていて・・・・・・・利用したんだ。あの子を。
苦しい。胸が強く強く痛む。
私があの子を殺したんだ。
----咎ヲ背負ウ者ヨ・・・・・。