予選と完封
最初の頃よりは少しは戦闘描写がうまくなってると………いいなぁ。
≪誠二視点≫
この世界の貴族の数は多くはないが少なくもない。それぞれの家から一人ずつ武力の部に人を出すのでかなりの数になる。そのためまず予選を行うのだ。予選を勝ち抜けるのは32人。16回の試合で最後まで残った2人が出場権を得る。一試合はだいたい30人ほどだ。
『それでは予選第一試合。1から30までの番号の選手は壇上におあがりください!』
ちなみに俺は77番。ラッキーセブンってやつだ。この試合に用のない俺はさっさとお嬢様にあてられた観客席に移動した。
「自信のほどはどうです?」
「あ?一位になるに決まってんだろ。俺は最強だぞ?」
「ふふ、期待してますよ」
お嬢様とも随分と仲良くなったな俺。
「それよりも第一予選の方を見ようぜ」
「はい」
「お嬢様、この試合にはAランクが2人いるそうです。ほかにも名をはせた騎士や傭兵が何人か」
アリシアが前もって調べたのであろう内容を話す。
「Sランいねえの?じゃあ寝てる。Sランか、俺の番が来たら起こして」
「主、膝枕をいたします。こちらへ」
「ん?おお、ありがと」
「主かSランクの方の出番になったら起こしいたします」
「せんきゅ」
ルナの膝枕は俺のものじゃあ!!と心の中で奇声を上げながら静かに頭を下ろす。ああー、頭なでられて夢心地・・・ぐぅー。
「主の出番ですよ、起きてください主」
「んーん?出番?」
「はい」
いつのまにか寝てたのか。さすがルナさんの膝だ、ぱねえっす。
「じゃあ行ってくるな」
「頑張ってくださいセイジさん」
「まあ、怪我するなよ?」
「ご健闘を、主」
「殺しちゃだめだぞ?」
みんなの激励を受ける。うう、みんなありがとう。
「ずいぶんと楽しそうだなモテ男」
「ん?あたりまえだろ?いい女に惚れてもらえるための顔だ。それ以外にはあまり使った事ねえよ。なぜなら俺は欲望に忠実なんでね」
「ぎゃはははははは!!欲望に忠実ときたか!そりゃあいい!」
俺の返しがつぼにはまったのか爆笑するおっさん。武器はハンマーか。
「お前がモテモテだから嫉妬してお前を狙う奴が大量にいるだろうから注意しろよ」
「おー、忠告あんがとよおっさん。おっさんは俺のこと狙わねえのか?」
「俺には素晴らしい嫁さんがいるからな。尻に敷かれてるけどな!ぎゃははは!!」
気持ちいいおっさんだな。よし、こいつは狙わないでおこう。
「じゃ、おっさんも頑張れよ。何かあったら助けてやるぜ?」
「ふん。俺は強いから平気さ」
軽口をたたき合っていると司会者が試合開始のアナウンスを流し始めた。
『それでは第3予選開始!』
「うらあああああ!」
「いきなりかー」
いきなりこちらに向かってきて剣をふるう青年。だれ?ま、いっか。
「よっと」
どごおおおおん!!
「あれ?飛ばしすぎた?」
剣をよけ腰をひねるように拳を打ち込んだんだが。威力高すぎたか?
『傭兵アルンが一撃!?すさまじいぞ!トウドウ選手!!』
「あたりまえだ。よし、気分がいいからいいの見せてやろう」
今俺がいるのはリングの端の方。そこから反対側まで、最大スピードで突っ切って行った。
『な、なんだあ!?』
端から端まで走りぬけただけでぶつかった選手が弾丸のように弾き飛ばされる。もちろん無事では無い。骨の一本ぐらいなら軽い方だ。もしかしたら死んだ奴もいるかもしれない。
「これが俺の究極スキル《光を導くもの》だ!」
『すさまじい戦闘力!一瞬で8人の選手を無効化したトウドウ選手!!すごすぎて何が何だかわからない!!!』
「何なんだよてめえ!くそがっ!!」
恐怖にとらわれながらもこちらに剣を向けてくる者もいたが全て封殺する。つーか邪魔だ。
「《風神よ、我に御力の片鱗をお貸しください。その力は渦となり我が敵を打ち滅ぼすでしょう。≪渦風≫!》」
「《風神よ、我に御力の片鱗をお貸しください。その力は刃となり我が敵を打ち滅ぼすでしょう。≪風斬≫》」
二人の魔法使いが魔法を打ってくる。くそっ、魔法いいなあ。
竜巻に風の刃を含めて飛ばすことでこちらを切り刻もうとしてるらしい。
「ばっかだなー」
Bランク並みの実力を持つ二人の渾身の一撃を、バカにしながら右手をふるうだけで打ち消す。
「なに驚愕してますって顔してんだ当然だろうが」
「ど、どういう」
「お前らは神に頼んでちっちゃな竜巻を生み出したわけだ。でもそんなのは小さな惑星の小さな竜巻だ。俺をなんだと思ってる?俺のスキルである《光を導くもの》は」
そこで言葉を切り、唖然としている二人の後ろの回る。
「太陽そのものだぞ?」
回し蹴りをたたきこんで二人を同時に潰す。
ラーとはエジプト神話では太陽を表す。最高神なのだ。
だからそのスキルを持っている誠二自身も太陽の力を使える。他にも色々な特殊能力もあり、最強の名にふさわしい力を持っていた。それにくわえて他の二つの強いスキル。普通に考えて負けるわけがなかった。
試合前に話していたおっちゃんと観客と司会者が茫然としている中で光のスピードで飛びまわり、数を減らしていく。それはあまりにも圧倒的で、究極スキルも持っていない人間に耐えられるものではなかった。
「はい、さいなら」
そういって最後の一人を吹き飛ばす。おっちゃん以外はもう一人も立ってなかった。
『あ、ああ、あ、ああ、圧倒的!!!!実に圧倒的実力!!これがセイジ―トウドウ!!強すぎる―――――!!そんなわけで予選通過選手はトウドウ選手とロギス選手!!』
司会者のセリフが終わるのと同時に歓声が爆発した。
まあ主人公ですから。強くても仕方ないですよね?




