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辺境に飛ばされました  作者: 海鳴り
辺境に飛ばされました
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蟻退治をしよう

ちなみに《紅蓮》を使うにも魔力を必要とします。

 すぐさま撤退しようと思った誠二だったが少し思い直していた。家に置いてあった本の内容を思い出したからだ。本に書いてあった内容は複合魔法についてだった。曰く「いくつかの魔法がうまく重なりあうと、すごい威力の魔法が生まれる」とのこと。


「つーわけで試すぞ」

「まじかー」


 今俺たちの前には蟻の巣が広がっている。距離にして500mといったところか。これ以上近づくと蟻に群がられるのでこの位置にいるのだ。


「俺とフェイとルナとドライグとゴムレスでぶっ飛ばす。いくぞ!」

「は~い」

「がう」

「ぎゃう」

「ゴオオオ!」

 

 それぞれが俺の言葉に答え、全力の魔法を発動する。そうして放たれた複合魔法に《紅蓮》を付与する。今の俺たちにできる最大の攻撃だ。俺たちの放った紅い光線は巣にまっすぐに飛んでいく。しかし敵の親玉はかなり賢かった。着弾する寸前に大量の働き蟻ワーカーアントが壁になったのだ。


「・・・まじか」


 光線が着弾し生じた砂煙が晴れると、そこには傷一つない巣と大量のアイテムが落ちていた。


「まあ今ので2000は減ったか。それでもしばらくは俺らも戦えないな」


 正確に言うなら俺とハットリは戦うことができる。しかしどうするべきか。


「いくのだーせいじ~すすめ~」


 フェイが魔力切れでだうんとなりながらも声援を送ってくる。他のメンバーも目でこちらに訴えかけてくる。『行け』と。


「・・・みんなが戦闘ができるようになるまではハットリが護衛してくれ。俺は行ってくるよ」

「シュ!」


 そうして魔物達を残し俺は巣に向けて走り出した


   *   *


「邪魔だおらっ!」


 横からかみついてこようとした蟻に拳骨を落として、その硬い甲殻で守られた頭をへこませる。


「ぎぃっ」

「釣りだ、取っとけ!」


 そう言って足で思いっきり蹴りあげる。音を置き去りにするほどの一撃。音速を超えたあかしだった。


「くそっ!広いな」


 今俺は蟻の巣の中を走り回っている。女王蟻クイーンアントを探しているのだ。巣の中は思っていたよりも明るく、広かった。少なくとも戦闘に困るほど狭くはない。しかし意外に進むのに時間がかかっていた。一匹一匹は弱くても集まればめんどくさい蟻たちが約200匹と、オークを超える強さを持つ騎士蟻ナイトアント300匹が相手だからだ。ちなみに残りは外にいる。


「くそがっ!どけっ!」


 今度はナイトアントが襲ってくる。その大きい顎を掴み、背負い投げの要領で地面にたたきつける。そして比較的やわらかい腹を思いっきり踏みつける。ぐちゅぐちゅと音を立ててナイトアントは腹を潰された。ナイトアントはワーカーアントよりも牙が鋭く大きくて、甲殻もかなり硬い。そしてその強さはオークをしのぐ。


騎士蟻ナイトアント

LV15

中級━2

牙術Ⅴ・剛力Ⅴ・麻痺毒Ⅲ


「じゃ・ま・だ!」


 襲いかかってきたワーカーアントの顔を掴み《紅蓮》を発動させ、反対からやってきていた集団に投げつけ爆破させる。


「次はこっちか」


 俺がこんなに蟻にからまれるのにはわけがある。それは俺が一番蟻が多い道を進んでいるからだ。なぜかって?そんなの蟻の気持ちになった時に自分はどうするか考えた結果だよ。自分に通じる道にはいっぱい兵を置いとくだろ?


「どけえええ!」


 こちらに向かってくる蟻をぶん殴り、蹴り飛ばし、壁にたたきつけ、走る。


「俺の・邪魔を・するなああああ!!」


   *  *


「広いな」


 そこはかなりの広さを持つ部屋だった。東京ドーム一個分か?めっちゃ広いな。そして一番奥には女王蟻の姿が見える。そこに到達するにはこの部屋にいる400匹ほどの蟻を倒さなければならない。それは実に、心が躍る殺し合いゲームになるだろう。


「いいぜ。殺ってやるよ。買ってやるよ。その喧嘩をなぁ!」



フェイ達はしばらくは魔力切れで動くことができません。

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