計画を立てよう
「お前ら、作戦を立てた。よく聞け」
「は~い」
「がるる」
「シュ!」
誠二はみんがしっかりと自分の話を聞いていることを確認し、話し始めた。その作戦の概要を。
「らっ!」
「ぼっかーん」
「がるるる」
「ゴーーーー!!!」
誠二が立てた作戦は単純明快。ドライグが進化するまでレベルを上げ、進化したら誠二と魔物達とで別れて狩りをする。というものだ。理由はいくつかあるが、一番大きいのは移動時間の短縮である。ゴムレスなどのスピードが遅い方に合わせていると作業効率が下がるからだ。なので誠二は二手に分かれるという方を選んだ。
誠二がそんなことを考えている間にドライグのレベルが25に達したようだ。
【ドライグが進化条件を満たしました。進化しますか?】
「進化on!」
【進化を開始します】
アナウンスが終わるとドライグの体が発光し始めた。進化が始まったのだ。
「・・・おお!?こ、これは!?」
Name:ドライグ
LV:1
NO,1:鎧竜
Rank:中級━10
Skill:火魔法中級・牙術Ⅳ・龍魔法初級
Ability:炎無効
STATUS
HP:C-
MP:D-
At:C+
De:B-
SP:F
Mi:E+
Hi:D-
Next:LV50
その姿は今までとは全く違うものだった。全身を甲殻でおおわれた三メートルほどのそいつは、どこか地球のコモドオオトカゲに似ていた。たくましい筋肉、鋭い牙、長い尻尾。それはいかにも強そうで、誠二の心を揺さぶった。
「かっけええええ!!」
誠二の眼はもう少年のそれだった。キランキランしている。しかしそこで何かに気がついたかのように首を勢いよく振って、ポーズをきめた。
「ぼん・のう・たい・さん!」
・・・どうやら正気に戻るにはもうしばらく時間がかかるようだ。
「ふう落ち着いたぜ」
やっと心の中の中二病精神が静まってきた誠二は、すでに二手に分かれていた。魔物達のほうはもう少し蟻たち巣に近づいて狩りをするのだろう。誠二が転移をすれば魔物達も一緒に転移するので帰り道も安心だ。
「さて、俺も狩りを始めますか」
そういうと誠二はアイテム袋から石を取り出した。
石
レア度1
そこら辺に落ちてる唯の石
『え?石やん』と思ったら大正解だ。この石は昨日誠二が特訓していたところから大量に持ってきた石だ。今回はこれに《紅蓮》をまとわせて投擲するつもりなのだ。
「よっしゃ、《紅蓮》発動!」
右手に石を持ってスキルを発動させる。すると石はブゥゥゥンと音を立てて紅く光りだした。
「目標確認!そりゃっ!」
そういって、誠二はあらかじめ決めておいた標的に向かって石を投擲した。石は超スピードで飛んでいき、蟻の右目に突き刺さって顔の形をぐにゃりと変形させた。そして・・・爆発した。
「爆発ぅぅぅぅぅぅぅ!!??」
かなりの爆発が起き、蟻がいたところにはドロップ品と小規模のクレーターができていた。
「すげえ威力だな。これは周りにもう二三匹蟻がいるともっと効果的かもな。あ、それと蟻の巣を見とかないと」
そういって誠二は移動を開始した。周りにいる蟻たちをすべてぶっ殺しながら。
「やべえな、こりゃあ」
何匹もの蟻を倒して巣に近づいた彼だったが、一つ問題があった。それは・・・
「いくらなんでも多すぎる」
そう。多いのだ、なにが?蟻である。その数は本に書いてあったものよりも圧倒的に多かった。
「3000匹はいるんじゃねえか?くそがっ!」
何にしろこの数は予想外だった。すぐに作戦をたてなおさなければならない。
「・・・いったん撤退だな」




