リアル・オタクの部活動
この作品はオタク以外の人が読むと、正常な日本語として読解する事が困難になる事が予想されます。
ご注意下さい。
ってな感じでこんにちは、作者の五円玉です!
今回は痛い作品です。
マジでご注意下さいね!
春風に舞う桜の花弁。
暖かい風が吹き抜ける春、空は快晴。
清々しい天気だ。
まず始めに自己紹介でもしておこうか。
俺の名前は阿井 剣士。
名前が剣士って、多分世界中探しても数人しかいないだろう。
まぁ、変わった名前なんだ。
俺は現役高校二年生。
学校はこの聖アリアマンヌ学園に通っている。
西洋感プンプンの白い外壁の学校。
西洋の宗教を信じる者達が通う、聖教の学校だ。
俺の両親は熱狂的な宗教信者。
そりゃまた凄い熱狂加減で、家には十字架があるほどだ。
ちなみに俺は両親とは真逆で、宗教には全く興味なし。
キリストなんて信じない。
リアリスト俺。
……しかし、両親は息子である俺を半ば強引にこの学園に入れたのだ。
息子にも宗教の教えを学ばせたかった……ってのが両親の口実。
当の俺は本当に宗教興味無し。
俺はどちらかと言えば音楽やスポーツの方が好きで、ミサとか礼拝とか、正直どうでもいい。
一応学園の決まりだから週一の礼拝には参加しているものの、不真面目ながら礼拝中は雑念多し。
正直言って、この学園は俺に合ってない。
そもそも宗教信じてない奴がいてはイケない学校だ。
この学校には校門に立派な彫刻があり、昇降口前には噴水、校内には芸術作品が沢山。
非宗教な俺はこんな宗教学園に通っているのだよ。
皮肉な話だよな。
「私は思うの! 恐暴竜相手に片手剣で5分内討伐が出来るハンターこそ、真のハンターなのよ!!」
聖アリアマンヌ学園、文芸部。
この部活は俺が今所属している部活だ。
今日は朝から神に対して礼拝し、宗教の勉強をし、聖典を暗記し。
一日中神様神様神様の勉強で、特に信者でもない俺は精根疲れ果てていた。
そんな中の、放課後の部活。
聖アリアマンヌ学園一階のはしっこ、図書室。
ここが文芸部の活動場所でもある。
文芸部、それは文学に対して研究する部活。
文学の歴史を学んだり、有名作品を読んだり。
それがあたり前。
しかし、この聖アリアマンヌ学園の文芸部は違うのだ。
「やっぱり片手剣よねぇ! 私的にはチュクチュクなんて魅力的!」
図書室の端の席。
見た目は普通の女子生徒がそこに座っていた。
ショートボブの黒髪、活発そうな瞳。
文芸部部長、楯矢 妃子。
俺と同じく二年生。
「楯矢さん、今は部活中ですよ……」
俺は椅子に座ってゲームをしている楯矢さんを注意。
「うるさいなぁ! 今金レイア狩ってるんだから黙ってて!」
凄い尖った口調でいい放ち、真顔でゲームに向かう部長楯矢さん。
「はぁ……」
俺はため息。
一方、反対側の席では……
「ねぇ薙沢さん、貴女はおジャ魔女派? それともまどマギ派?」
「あたしはなのは派!!」
何語だあれ?
あの席で話をしているのは文芸副部長の矛町さんと、書記の薙沢さん。
「なのはねぇ……やっぱり私ならまどマギね。魔法少女になりたいわ私!」
「先輩、マミられたいんですか?」
矛町さんは二年生、薙沢さんは一年生。
ここは聖アリアマンヌ学園文芸部。
部長、楯矢妃子
副部長、矛町七織
書記、薙沢彩希
そして一般部員、阿井剣士
これが文芸部の実態なのだ。
「はい部活始めます!」
元気よく椅子から立ち上がる楯矢さん。
「今日の活動内容は……」
午後4時。
部活開始。
図書室のはしっこにて、楯矢さんが仁王立ち。
「まずこれからメイト行ってグッズの新作チェック、次にとらで同人チェック、最後に劇場行ってトワノクオン見ます!」
今日の予定が書かれたプリントを、バシッと机の上に叩きつける楯矢さん。
「部長、今日はメイトじゃなくてゲマズじゃないんですか?」
ここで挙手した彼女は一年生薙沢さんだ。
「本来はね。けど今メイトでははがないフェアやってるから、今日はメイト!」
ニコッと笑顔で答える楯矢さん。
その間、俺は一人ため息をつくのみ。
この文芸部は、いわゆる普通の文芸部の活動ってのをしてはいない。
文芸部とは名ばかりで、実際は他三人の部員の趣味をとことん満喫する部活と化している。
今年から部活を始めた俺はそれを知らずに文芸部に入部してしまい……
「はがないですか……私、FMなら剣舞ですかね。ああいうラブファンタジー大好きなので。矛町先輩は?」
「私は……そうね、倉田くんとか好きね。二股とか、身震いするわ」
「みんな分かってないわね! FMなら変態王子よ! やっぱり月子ちゃんは可愛いわ!」
……ちなみにだが、俺は二次元に興味がない。
だから知識がない。
今の会話、日本語に聞こえない。
「ね、剣士もそう思うわよね? 月子ちゃんよね?」
「えっ!? あ、ああ……」
楯矢さんに会話をふられて、あたふたする俺。
「ってか楯矢さん、この部活って文芸部ですよね?」
「そうよ? 文芸部」
真顔な楯矢さん。
「だったら文芸らしい事とかしないんですか? 例えば芥川龍之介の作品を研究したり、夏目漱石の作品読んだり……」
「夏目? 友人帳? ああ、そういやアレ、4期決まったわね」
「…………」
話が噛み合わない。
「ってかこんな無駄話している場合ではないわ! 矛町、薙沢、メイト行くわよ!」
楯矢さんはめっちゃ笑顔。
いそいそと荷物をまとめ、外出の準備。
「確か今日はJCの発売日だったわ。今月はテニプリ出るから買わないと……」
矛町さんも荷物をまとめ、準備。
ちなみに矛町さんのスクールバッグには何かのキャラクターのキーホルダーが。
「待って下さい先輩っ! まだメイトの特典調べてませんよっ!」
唯一の後輩薙沢さんも準備。
みんな自由過ぎる。
「剣士、何ぼさっとしてんのよ。あんたも早く行く準備しなさい!」
楯矢さんはもうスタンバイ完了。
「え、俺も行くんですか!?」
「当たり前よ。荷物持ちでしょ?」
「……はい」
仕方なしにのたくさ準備する俺。
……俺は楯矢さんだけには逆らえないのだ。
ちょっと昔、いろいろあってね。
「うわぁ……うさみんのストラップ入荷してる!!」
現在アニなんちゃらって店。
俺は半ば奴隷(荷物持ち)として同行中。
そして、客で賑わう店内で跳び跳ねる楯矢さん。
超笑顔。
うわっ、他の客凄い迷惑そう……。
「ねぇねぇ剣士っ! 見てみて、うさみんストラップ!」
「あーそうですかよかったですね」
ストラップには紫色の髪をしたキャラクターが印刷されている。
どこがいいの?
「楯矢先輩、こっちにはあの花のクリアファイルありましたよ?」
遠くからは薙沢さんの声。
「え、本当!? じんたんファイル!?」
楯矢さんの瞳は超キラキラ輝いていた。
「ねぇ阿井くん」
「ん? なんですか矛町さん?」
ジト目で楯矢さんを見ていた俺に話し掛けてきたのは矛町さん。
「阿井くんならどっちがいい?」
そう言う矛町さんの手には2枚のビックポスターが。
「こっちのセバスチャンのか、伊達政宗のか、どっちがいい?」
「あの、俺アニメとかよく分からないんで、どっちがいいかと聞かれても……」
そもそもこんな店に来た事すらねぇし。
「そう……ここは男の子の意見が欲しかったのに……」
ちなみにポスターに書かれているキャラクターは黒スーツのシャープな男性キャラと、兜被った青い服着た男性キャラ。
「すみません……俺マジで分からないから」
「なら……仕方ないわね」
そう言って残念そうに去っていく矛町さん。
ちょっと申し訳ない事したかな……
まあ実際分からないから仕方ないんだけど。
一方、あっちでは
「先輩、一方通行のキャラソンありましたよ!!」
「きゃあああっ! 木ィィィ原クゥゥゥン!」
「先輩、こっちにはぬら孫のドラマCDも!」
「首無さいこぉっ!」
……なんかあの二人が危ない人に見えた。
「いやぁ〜、今日は凄い収穫だったね!」
その日の夜。
結局あの後、お店で予想外に時間を喰ってしまい、映画に間に合わなかったというハプニングもあったが、まあ一応の活動を終え帰宅中。
今日はアニなんちゃらって店を出た後、映画に間に合わない事を察した楯矢さんに半ば強引に引きずられながら東池袋を散策してきました。
「うふふ……今日は大量よ! 軽く五千円は使っちゃったわ!」
楯矢さんの両手には買い物袋がいっぱい。
笑顔もいっぱい。
「私も結構な出費でしたが、政宗様フィギュアを買えたので満足です!」
矛町さんも笑顔。
一方の薙沢さんは、
「やっとましろ色原作買えた……帰って早速プレイして、アニメ放送までに予習しとかないと!」
やっぱり笑顔だ。
ちなみに薙沢さんの袋の中をさっき見たら、R指定がかかれたモノが沢山入っていた。
「……はぁ」
みんなの笑顔をよそに、俺はため息しかつけなかった。
翌日。
「神の教えを説きましょう」
相変わらずの宗教授業。
教卓では教師がイエスキリストうんちゃらを講義中。
正直しんどい。
毎回毎回神様神様、いい加減飽きてくる。
「カトリックとイスラム教の関係とは……」
本当に面倒だな。
俺は暇に耐えられずあくびをしようとした
その時、
「♪♪♪♪♪」
クラスのどこかから、携帯の着メロが。
教室内ざわざわ。
「ん? 誰だい携帯鳴らしているのは?」
着メロを聞いた教師、宗教の教科書を教卓上に置き、音元探し。
相変わらず教室内ざわざわ。
すると、
「すみません、私です……」
ざわめきが凄い中、おどおどと挙手したのは楯矢さんだった。
ちなみに楯矢さんと俺は同じクラス。
「楯矢か? なんで携帯の電源を切っていないんだ!」
教師怒りモード入りました。
「すみません……」
素直に非を認める楯矢さん。
「とりあえず携帯は没収だな」
教師は楯矢さんの席まで行き、携帯に手を伸ばす。
「えーっ、携帯の着メロは神様ドォルスOPだったんだから、神様関連として許してくれませんか?」
なんだよ楯矢さん。
あんた勇者だよ。
「神様ドォ……ん? なんだ? と、とにかく没収だ!」
「だから、キリストもカトリックもドォルスも神様なんだから、神様関連として許してよ!」
「駄目だ!」
「えーっ……じゃあ神様のメモ帳OPだったのなら許してくれてたんですか?」
「神様が着けばなんでも許してくれると思ったら大間違いだぞ!?」
「今期1のOPはシーキューブのゆかりんソングですよね矛町先輩?」
「いいえ、今期なら君僕でしょ?」
「先輩は分かってませんね。シーキューブのあのぬるぬるしたOPアニメは最高なんですよ!」
「君僕だって、男の子の素晴らしい日常を描いていますよ!」
矛町さんはイケメン男の子が主役のアニメ好き。
BLもいけるらしい。
薙沢さんは希望美少女モノが好き。
GLもいけるらしい。
俺はノーマル。
今日も残念な方向に向かって進んでいる我ら聖アリアマンヌ学園文芸部。
今日の活動内容は今年のアニメを振り返る、
だそうです。
俺はアニメなんて基本見ないから分からん。
ちなみに、部長の楯矢さんはと言うと……
「はぁ……携帯取られた……まさに不完全燃焼よ……」
図書室のはしっこでメチャクチャ落ち込んでいた。
「じゃあ先輩はゆかりん否定派なんですか!」
「いいえ、否定はしないけど……私、今期はWORKINGとか真剣とか、まさに神谷さんが来てるから……うふっ!」
「神谷さん……いや、あたしなら福山さんです! ホライゾンとか、まさにWORKINGとか!」
……何語?
そして楯矢さんは、
「神様神様……今年の夏は神様ばっかり……ああ、私の携帯……」
もうこの部活だめだ。
なんかもう終わってるよ。
「……ねぇ剣士」
その時、楯矢さんがこっちを向いた。
「……なんです?」
「妃子のお願い、聞いてくれる?」
「お願い?」
「うん。とりあえずコレ着て秩父の山奥でも走ってきて」
「…………あ?」
楯矢さんから渡されたモノ。
白いワンピースに白いカツラ。
……何コレ?
「こういうモヤモヤした時には笑いに限るわ! 早くそれ着て秩父へゴー!!」
「…………」
「行け行けゆきあつ!!」
「…………」
「今日からあんたは松雪集よ!」
楯矢さんは壊れると、基本無茶ぶりしてきます。
「矛町、モノは試しにヴィクトリカのモノマネやりなさい!」
「え、えぇ……」
あれから10分。
楯矢さんの無茶ぶりは度を増していた。
「いいから早く、部長命令よ!」
「と、突然ヴィクトリカのモノマネと言われても……」
矛町さんは困りぎみ。
しかし、何故だか彼女の身体はウズウズしているぞ?
「いいからやる!」
「う……で、では……」
コホンと咳払いし、喉の調子を整える矛町さん。
そして……
「GOSICK、ほーそーちゅーなのだ」
「きゃーっ、まさかのコマーシャルネタできたかっ!!」
何故だか暴れだす楯矢さん。
ってか今の何?
「どうかしら……私、声質的に自信あるのだけれど……」
「クリソツだよクリソツっ! マジでヴィクトリカだった!!」
※この部長は携帯を没収されたがために脳内が一部破損しています。
「……この部活、よく生徒会に潰されずにやっていけてるよな」
「私は携帯を職員室から奪取してきます! ちなみにスーパーダッシュならカンピオーネ!が好きです!」
その日の部活終わり。
突然楯矢さんが発狂しだした。
「……どうしたんですか楯矢さん。頭でも打った?」
「黙りんしゃい剣士! 私はちょっと職員室へ携帯を取りに行ってくるわ!」
今朝没収された楯矢さんの携帯電話。
楯矢さんはそれを無謀にも奪ってくるらしい。
「何言ってんですか、そんな無茶な事を……」
「大丈夫、私は昨日緋弾のアリアを全巻読破したし! 武偵の領分は心得ているわ!」
「いや、そういう問題じゃなくて!」
この人はバカだ。
「なら、私も手伝うわよ楯矢さん」
すると横から、矛町さんが登場。
「矛町……なんだ、あなたも来てくれるの……?」
楯矢さん、何故だか瞳がうるうる。
「当たり前よ、仲間なんだから。……もし生きて帰ってこれたのなら、その時はデュラララの最新刊おごってね」
ウィンクする矛町さん。
何コレフラグ?
すると反対側からも……
「あたしも一緒に戦うわ! 共に藍染を倒しましょう!」
薙沢さん乱入。
「薙沢さん……」
「百十年前の復讐の時が来たわ。ともに崩ぎょ……携帯を奪還しましょう!」
何故だか薙沢さんの手には物干し竿が。
「みんな……ありがとう。私にはこんなにも心強い仲間がいる!」
どうしたお前ら?
なんか携帯奪還の件がとんでもなく盛られているぞ?
「矛町さんっ!」
「分かったわ! ギア2っ!」
「薙沢さんっ!」
「いくよっ! 卍解っ!!」
どうした二人っ!?
「私も行きますっ! 変身っ!」
なんか楯矢さんのだけ古いよっ!!
「矛町、薙沢、行くわよっ!」
「「はいっ!!」」
―――私達の戦いはまだ始まったばかり。
私達の戦いは、まだまだこれからよっ!!
応援ありがとうございました!
五円玉先生の次回作にご期待下さい。
なお、コミックス1巻(完結)は11月4日の発売予定です。
「なんだこの短期で終わる漫画みたいなシメはっ!?」
この作品内に出てくる元ネタの8割以上分かったそこのキミ!
キミは手遅れだ!