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令嬢なるもの

ちょっと、おみまいしてみた。

作者: 浮月重月
掲載日:2026/08/31

突然思いついて勢いで投稿。

「すまない。ヨワッチーナが寝込んでしまって心細いと泣くのだ。

 家に帰って側にいてやらねばならない。埋め合わせはする。

 わかってくれるか、タクマシーナ」


ごりっ。ごりっ。ごりっ。


「またですの、フラツキー様。

 ご両親と離れ離れの従妹を思いやるお気持ちは分かりますが、

 これでもう五度目ですのよ?約束を反故にされるのは。

 埋め合わせとやらは、一体いつになればなされるのでしょう?

 わたくし達は婚約者同士なのですよ?」


ごりっ。ごりっ。ごりっ。


「きっ、君は人の心が分からないのか!

 彼女がかわいそうだとは思わないのかっ!」


ごりっ。ごりっ。ごりっ。ぴしっ。


「まあ、心外ですわ、フラツキー様。

 わたくしはお伺いしているだけだというのに。

 ヨワッチーナ嬢のお話が今の質問に関係あります事?


 なぜこの場で明言なされないのですか?

 それともわたくしとは約束など出来ないとでも?」


ごりりっ。みしっ。みしっ。みしっ。


「そっ、そんな事は…と言うか、

 さっきから握っているクルミで音を立てるのをやめてくれっ!」


ぱきゃんっ!


「ひいいっ!」


「ふう、そんなにこの音がお嫌ですの?

 まあ今粉々にしてしまいましたから、もう音は出ませんわ。


 よろしいですわ。約束の件は一先ず置きましょう。

 その代わりと言ってはなんですけど」


「なっ、なんだっ?」


「ヨワッチーナ嬢のお見舞いに同行させてくださいませ。

 ちょうどフラツキー様も向かわれるのでしょう?

 わたくし、励まして差し上げたいのですわ」


「は、励ます?」


「ええ。

 そうですわね、ヨワッチーナ嬢が心細いのであれば、

 わたくしがお友達になるのはいかがかしら?


 寝たきりではお気持ちも晴れませんわよ。

 せめてお話し相手になって差し上げたいのです。


 ご療養のお手伝いをさせてくださいませ」


「えええ…」


「さあ、ご一緒にまいりましょう」


フラツキーの襟首を片手で猫のように引っ掴み、

タクマシーナは特製の椅子から立ち上がる。


◆


フラツキーの屋敷では、ヨワッチーナがごく自然にくつろいでいた。

が、フラツキーをぶら下げて入室してきたタクマシーナに固まる。


「あら、あなた様がヨワッチーナ嬢かしら?

 はじめまして、フラツキー様の婚約者、タクマシーナですわ。


 寝込んでいらっしゃると伺ってお見舞いに参りましたのですが、

 ご体調が戻られたようでなによりですわ。


 わたくし、あなたとお友達になりたくて、

 こちらへお伺いさせていただいたのです」


フラツキーをソファに放り投げて見事なカーテシーを披露する。

居間の扉をかがんで入って来た、ドレスを来た筋肉巨人が。


ヨワッチーナは声も出せない。

顔が良く、なんでも自分の言う事を聞いてくれるフラツキー。

婚約者がいるという話だったが、自分が横取りしようが構うまい。

などと考えていた彼女だが、フラツキーから聞いていた話とは、

「桁が違う、格が違う」。


「これ」から、フラツキーを奪う?どうやって?無理だ!

物理的にかなわない。絶対敵対したくない。


青い顔をして成り行きを見守るフラツキー。

ああだめだ、この男助けてはくれない。つか絶対出来ない。


この巨人から悪意は感じないが圧は感じる。とてつもない圧が。

息苦しさを感じ、ヨワッチーナは意識を失った。


◆


療養に来ていたという話だったヨワッチーナだが、

タクマシーナがお見舞いに来た翌日には全快したとして帰郷した。

生物として勝ち目がないと悟ったらしい。

タクマシーナは友達になれず残念がった。


フラツキーも半ば分かっていてヨワッチーナを口実にしていたが、

これでもはや逃げ場はなくなってしまった。

もう恐ろしくて婚約破棄など言い出せない。


あと半月ほどで、フラツキーとタクマシーナは夫婦となる。

二人の未来に幸多からんことを。

Q:またこんな名前ですか?

A:またこんな名前です。


こういう、勢いで投稿したものの方が、ウケを取っちゃう現実…

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