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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

誕生日だけに訪れる年に1回のデレ祭り

作者: 永進
掲載日:2026/04/25

喜んでほしい話。

〈メール〉


『今日が何の日か、覚えてる?』


「…そういや恋人だったな、私たち」

いわゆる百合というやつ。と言っても、キスしたりしたことはないんだけど。

デートはあるけど。


年に1回の、『あの子』からのメッセージ。

相変わらず絵文字なし顔文字もなしの、堅苦しい文章。『あの子』らしい、そう考えると少し微笑んでしまう。

メッセージが入ったことによるスマホの振動で目が覚める。


今日は特別な日、だからか、朝の目覚めも特別。


確か、『あの幼なじみ』は真面目な子だったはず。進学校で、偏差値も高い。高校生になったばかりの彼女が今何をしているのか、私には分からないけど。


だから、ちょっと空いても催促のメッセージが連続で入っては来ないけど、


『もちろん覚えてるよ、私の可愛い恋人(フェアリー)さん』

すぐにメッセージを返した。




〈ケーキ買う〉


『あの高校生』は今頃1時限目でも受けているのだろうか?


『専業作家』の私は、なんとなくそう考えながら、外を歩く。


14歳でプロデビュー、高校には行かず、専業の道を。


人気は、そこそこ。親の仕送りがなくても生きてるレベル。


作家、といっても色々あるけど、私はライトノベル作家。

そもそも、小説家になろう、という基本ライトノベルを投稿するサイトで受賞したのだから。

運よく受賞、運よく1人でも生きている。


「いや、彼女がいるな」

1人だって言うと、彼女に失礼。


年に1回しか会わないけど。


てか、そもそも私たちは恋人だっただろうか? 真面目な少女と適当な私、

…、

「不安になってきた」


スマホでメッセージを見直す。

恋人再確認をし、ケーキ屋に入る。


何が好きだったか、そもそもケーキで喜んでくれたことはあったか。

分からない。


私の気分で苺のショートケーキを2つ買った。やっぱりケーキの王道は苺のショートケーキのような。


『真面目な生徒会長』と『適当な私』、きっかけは『本』だったと思う。


小学校の昼休み、場所は図書室。

いたのは、私とあの子。

2人きりの図書室。外からはサッカーをする男子たちの声とか。


なんとなく、私から話しかけてみた。

すると、気が合い。


中学生になると2人きりで『図書館を巡るデート』とか『本屋で一緒に本を選ぶデート』とか。結構デレデレだったと思う、雰囲気が。


けど、それも14歳の途中まで。

私がプロ作家になり、私は『作家』に専念、彼女は『勉強と生徒会役員』に専念。


熱の冷めた夫婦みたいな。

恋人だけど。


年に1回、『彼女』の誕生日の日だけ、『デレデレな恋人関係』に戻る。


七夕みたいな。


「…でしたっけ?」

どうも、『真面目!』て印象が。中学校では生徒会長だったし、あの子。

デレ…デレ…?


ケーキ、喜んでくれたらいいなー。




〈こんな感じだったっけ?〉


「…」

「…」

「…」

「…」

「…」

「あの、そろそろ力、弱くしてくれません?」

「やだ」

「わあ、力がもっと強くなってしまった」


てか、こんな子だったっけ?

私は傾げる。


夕方、チャイムが鳴ったから確認してドアを開ける。


すると、いきなり無言で抱き締めてきた。もちろん私の彼女が。


年に1回しか会わないからかな? なんて、ぼちぼちの胸を感じながら、ぼんやりと考える。


『真面目』だったはず。


抱き締めをやめると、


「会いたかったよ、可愛い専業作家の恋人ちゃん」

顔を赤くし、微笑んできた。


『真面目』だったはず。

こんな百合全開! だったっけ?


私はなんて返したらいいかわからず、


「ケーキ、食べる?」

「うんっ!」


笑顔になった。

『真面目』とは。


その後、2人きりの部屋で年に1回の『恋人関係』をたっぷり味わった。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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