第九話、ギリム山の親子
ギリム山、ドワーフ王の部屋で、ドワーフの王ドラムと、腹心のムコソルがいた。
「閣下、エルリムの町を落としました」
「そうか、犠牲は」
「ドワーフの兵が八十人ほど」
「して、人間側は」
「四百は下らぬかと」
「どういう結果であれ、あまり喜べんな」
「負けるよりは、よろしいのでは」
「そりゃそうだ。しかしまぁ、正直言って、沸き立つものはある」
「それだけですか」
「どうだ人間ども、これがドワーフの力だ! とでも言えばいいのか」
「ええ、それでよろしいかと」
「人間はわしらのことをなめておるな。エールさえ与えておけば言うことを聞く陽気なおじさんだとな」
「あながち、見当違いだとはいえませんが」
「まぁ、そういう面もある。わしもエールが好きだ。皆で陽気に騒ぐのもな。だが、なめられるのは好きじゃない」
「誰でもそうです」
扉が開いた。
「父上! 何をなさっているのですか!」
「やっときたか」
「ロワノフ様、勝手に入られては困りますよ」
ロワノフはドルフの長男である。
「だまれ、ムコソル! おまえがいながらなぜ止めん! 父上、なぜ、軍を動かしたのです。そのようなことを、なぜなさるのです」
「もう、決めたことだ」
「今からでも遅くありません。人間側と話し合いの機会を持ってください。きっと、わかってくれます」
「人に頭を下げよと、なめられるのは好きじゃない」
「そのような些細なことをこだわっている場合ですか! 我ら山のドワーフの命がかかっているのです! どうか、お考えを改めてください」
「困ったものだ。どうしたものかの」
「ご自由に」
「ふむ、衛兵を呼べ」
「なっ」
二名の衛兵が部屋に入ってきた。
「このものを牢屋に入れろ」
二名の衛兵は戸惑った顔をした。
「父上、なぜです。ご再考を、違うやり方があるはずです」
「聞こえなかったのかロワノフを引っ捕らえて牢屋に入れろ」
二名の衛兵は困った顔をした。
「王の命令ですよ。従いなさい」
ムコソルが言った。
二名の衛兵は戸惑いながらも王子であるロワノフをつれ牢屋に入れた。
「あと何人か、牢に入れておかなくてはな、その後は戦だ」
王は筆をとった。




