第六十一話、和平案
北の方では、ザレクスとジダトレの親子とリザードマンと国軍は、北から南下するドワーフを抑えていた。
ヘドリル山方面から、さらにドワーフの援軍が千人ほど送られてきていた。千人の援軍を得たハイゼイツは、ドルフ王を助けんと、猛攻を続けた。
ザレクスとジダトレの親子とリザードマンと国軍は、まともにぶつからず、後ろに下がりながら、ドワーフの足止めをした。
足の遅いドワーフは付き合わざるを得なかった。
国軍と領軍を救うため、山岳部隊が出たため、山岳部隊の居場所はドワーフに特定された。山岳部隊はアリゾム山の中腹の窪地にいた。
山岳部隊には、へレクス率いる斥候部隊が張り付き、カプタルには引き続き、山頂の廃墟とかした砦を任せ、オラノフは部隊を率いて山岳部隊のいる中腹にやってきた。
「山に溶け込んでいるな」
オラノフが呟いた。
一見するとどこにいるのか全くわからない。よく見ると人の姿が木々の間に見えた。
「道理で見つからんわけです」
部下のノードマンが言った。
「罠がありそうだな」
「ええ、へレクスがすでにいくつか見つけています。
「なにをしてくるのか。まるでわからん」
オラノフは山岳部隊が隠れ潜んでいるであろうあたりを見ながら言った。
「しかし、どういう方法であれ、我々を仕留めようとしているのは間違いなさそうです」
静かだが、殺気に満ちていた。
「そいつは怖いなぁ」
オラノフはヒゲをしごいた。
ガロムは自ら先頭に立って、泥と焦げた森の中、道を探し、泥の上に木材を敷き、馬車が通れるようしにした。二千の兵と食糧や物資を詰めた馬車が移動した。
「やっと抜けそうだ」
焦げ付いた森と汚泥が途切れ、草原が見えた。
草原には人間の兵がいた。
「そりゃそうだよな」
ガロムは武器を構えた。
ペックスは、ドワーフの援軍が森を抜けようとしていると報告を受け、バリイ領の騎馬隊と国軍の騎馬隊すべてを東にまわした。プロフェン、バナック、カルデは、騎馬隊を率い、二千五百のドワーフを足止めに動いた。
その間、ペックスはリボルが率いる領軍と国軍で牧場跡にいるドワーフに対して一斉攻撃を仕掛けようとしていた。これで倒せなければ勝機はない。そう考えていた。
出撃の合図を出そうとしたところ、使者が来た。
和平案を持った使者であった。
一時休戦となった。
人間側の使者が牧場跡のドルフの元へ訪れた。
「悪くない条件だ」
使者が持ってきた和平案を見たあとドルフはつぶやき、それをムコソルに渡した。
「ええ、二、三交渉し直さなければならない点がありますが、悪くはありませんね」
ムコソルは和平案を食い入るように見つめながら答えた。相当数の年数、賠償金を支払わらなければならないが、避難場所やアリゾム山の採掘権、ドワーフが求めているものが含まれていた。
「ソロンが、この和平案に関わっているそうだ」
「そのようですね」
和平案には書かれていないが、領主からの手紙に書かれてあった。
「いい友を持った」
「ええ」
「これで終われる」
ドルフは顔を両手で覆った。
了




