表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/61

第六話、エルリムの壁内、斧槍


 南の壁が壊されたと聞き、指揮官であるフロスは兵とともに南に移動した。

「東はおとりか」

 フロスはつぶやいた。東の門でドロワーフがハンマーで扉を叩く音がする。

 ドワーフの兵が半数ほど南に移動し始めた。

 残っているドワーフの兵の動きは鈍かった。人間の兵の様子を見ながら無理にのぼろうとはしなかった。ただ、ドロワーフだけは元気に扉をハンマーで叩いている。

 石壁を作ったのはドワーフであると言う報告は受けていた。だからといってどうしようもなかった。石壁は信用できないからといって、石壁を使わずエルリムを守ることは不可能だった。ある程度壊されるという前提で、フロスは補修の部隊と壁の内側にも守りの部隊を用意しておいた。

 フロスは東の壁の指揮を部下に任せ、やぶられた南の壁へ急いだ。




 くずれた南の壁にはドワーフが屈んで通れる程度の穴があいていた。すぐ近くに大きな木があり、それを避けながら、穴から這い出た。その穴を広げようとドワーフの兵がハンマーを振るい石を削り、瓦礫をどかしていた。

 崩れた石壁から入りこもうとするドワーフを、人間の兵が大盾を手に押し返そうとしていた。

 ドワーフは斧を手に、斬り込んだ。人間の兵は大盾の影に隠れながら、槍で突いた。ドワーフは鎧でそれを受け止め、斧で切り返す。盾は木製で、二度三度、ドワーフが斧で切りつけると盾は壊れた。すぐに別の盾が押し返してくる。槍が四方から飛び出す。鎧で受ける。切り返す。

 ドワーフの斧はミスリル合金ではなく鋼で、できている。ミスリル合金は硬度と耐久性が高くよく切れるが、何度か使うと切れ味が落ちるため、使い続けると鋼の斧との差はそれほどない。補修の効く防具とは違い、武器は消耗品であると考えているため、基本的に、ドワーフの使う武器は鋼の武器であった。

「密集して押し返せー! 奴らを中に入れるな! 奴らは女子供も町の人間を皆殺しにするぞ! 火を放ちすべてを灰にするぞ! エルリムを守るんだ!」

 指揮官のフロスが兵を鼓舞した。

 盾の圧力が増える。押す。盾の隙間から槍が飛び出しドワーフの体を少しずつ削り取っていく。盾ごと切られた人間の腕が転がっている。人もドワーフも死んでいる。血の臭いが吹きだまる。

 ドワーフたちは押し返される。盾を切り裂いても、また別の盾が現れカバーする。なれてきたのか連携ができている。ドワーフたちにも疲労の色があった。

「斧槍隊いくぞ」

 先端に槍と斧がついた長柄武器を持ったドワーフの部隊が前に出た。

 先頭に立つ灰色のひげのドワーフは自身の倍ぐらいの長さがある斧槍を、盾の壁へ、高々と上げ飛び込んだ。振り下ろす。盾を切り裂き、その下の腕をも切り落とした。斧槍で突く。人間の兵の胸に突き刺さる。新たな盾の壁ができる前に、こじ開けるように何度か突きを入れる。ドワーフの王ドルフの次男、ダレムである。

 斧槍を持ったドワーフ兵が盾をはがすように切りつけながら、できた隙間に斧槍を突き入れる。斧では突くという動きができないため、どうしても攻撃が少し遅れてしまうが、斧槍は盾を壊しあるいは崩し、その後、突くことができた。大盾の連携が崩れていく。

 斧槍部隊を先頭に、後を続くドワーフの兵が左右に広がりながら、徐々に入り込んでいく。

「下がれ。立て直すぞ!」

 フロスは兵を下げた。ドワーフは逃げる兵を何人か斬り殺したがその数はわずかだった。足が遅いため、追い打ちを掛けても逃げる人間に追いつけなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ