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第二十七話、騎馬隊


 ドワーフ


「まさか、こんなところに石垣があるとはのう」

 ドワーフの王はドルフは、小麦とふかしたジャガイモをバターと練り込み、焼いたものをほおばっていた。ジャガイモのほっこりとした食感にバターの塩味がいい。

「いやな高さですな」

 ムコソルは言った。

「そうだな、そちらの方はどうだ」

「やはり馬はやっかいです。馬でかき回され歩兵で押し込まれています。馬は、ここで、できる限り減らしておきたいところです」

「そうか、頼んだぞ」

「承りました」


 翌日、ドワーフの軍は兵を再び二つに分けた。ドワーフのドルフは守りを固めるリボルを攻め、ドワーフのムコソルとボリジはレマルクに対峙した。


 ドルフは少し攻め方を変え、石垣の手前に土嚢を投げ入れ、足場を作り高さを解消しようとした。それをさせじと人間側も土嚢を防ごうとするが、徐々に土嚢が積み上がっていく。ある程度積み上がり足場ができたところで、斧を持ったドワーフが石垣に向かって駆けた。

「来るぞ! 突いて突いて突きまくれ!」

 スタミンが声を張り上げる。ドワーフは槍に突かれながらも、土嚢の上をのぼり石垣を乗り越えようとする。徐々に石垣を乗り越えてくるドワーフが多くなっていく。中に入り込まれるとドワーフは強い。斧を振り回し鎧ごと人間を切り刻む。

「下がれ!」

 リボルは命じた。

 石垣の内側には土嚢と木材を組み合わせた壁がある。人間の兵は壁の内側へ下がった。石垣を乗り越えてくるドワーフに対して、クロスボウによる斉射を行った。ミスリルの鎧を着たフエネ平原のドワーフと違い、ここのドワーフは鋼の鎧か鎖帷子を着用している。至近距離から放たれたクロスボウの矢はドワーフの鎧を貫通し肉に突き刺さった。

 分厚い肉を持つドワーフは、矢に射られながらも、斧を顔の前に、前進する。壁に近づいたドワーフをスタミンの部隊が槍で突く。壁の手前には溝が掘ってあり、ドワーフの身長ではよじ登れないようになっている。ドワーフは斧を振り上げ木材で作られた壁を斬り叩くが、容易には壊れない。その間に槍で突き叩かれる。ドワーフの兵がうち取られていく。

 しばし攻撃をした後ドワーフは引いた。

 石垣の前に積まれた、ドワーフがおいた土嚢を人間の兵は急いで取り除いた。


 北、レマルクの軍は、盾を持った歩兵を前に出しドワーフを押した。薄い鉄板をつけた盾である。動きが止まったドワーフの軍をレマルクの騎馬隊が横から刈り取っていく。クロスボウをもったドワーフの兵が騎馬隊を狙うが、騎馬隊はすぐに距離を取る。

 ボリジの部隊が盾を持った人間の歩兵を攻撃する。盾持ちが対応する。ボリジの戦鎚には先端が尖った器具が付いており、盾に貼り付けてある薄い鉄板を貫通し、中の木の部分を破壊する。盾持ちの歩兵はボリジの攻撃により徐々に崩れて行く。

「第二歩兵隊前へ」

 別の歩兵隊がボリジの部隊を攻撃する。その中にはゴプリとプレドがいた。

 ゴプリとプレドは前に出すぎず、真ん中辺りに陣取った。前方で血しぶきが飛んでいるのが見える。おそらく人間の兵のものだろうと、プレドは恐怖を感じた。

 歩兵隊の攻撃に、足が止まったボリジの部隊を、レマルクの騎馬隊が襲う。無理に中に入らず、外側をなでるように槍で突いていく。ボリジの部隊の圧力が弱まる。そこを歩兵が押し込んでいく。

 第一歩兵隊は隊列を整え、ムコソルの部隊を押す。それに合わせ、今度はレマルクは、ムコソルの部隊を攻撃する。騎兵の攻撃と歩兵の圧力に負け、ムコソルの部隊は南に押されていく。

「下がれ! 体勢を立て直す!」

 ムコソルの部隊は体勢を立て直そうと後に下がる。

「突撃!」

 後ろに下がるムコソルの部隊にレマルクの騎馬隊が襲いかかった。ムコソルの部隊は大きく崩れる。

「いけるぞ! ドワーフどもを散らして、囲み込んでしまえ!」

 レマルクは、騎馬隊を使って、ムコソルの部隊を割り、歩兵で取り囲んだ。ドワーフの兵はいくつかの塊に分かれながら後ろに下がる。


 このままムコソルとボリジの部隊を潰せば、ドルフの背後を討つことができる。そう考えていたレマルクの目に騎馬隊がうつった。銀色の派手な鎧を着ている。傭兵団のようだが見たことのない騎馬隊であった。南の林の中から出てきた。

「あれは」

 どこの部隊なのかわからなかった。

 槍を構えこちらに向かってくる。レマルクの背筋が氷った。

「敵だ!」

 レマルクは叫んだ。銀色の鎧を着た人間の騎馬隊はレマルクの騎馬隊にぶつかった。

 兵が突き落とされる。人間側の兵の反応が遅れた。騎馬隊が分断される。

 レマルクは立て直しを図ったが、二度三度と銀色の鎧を着た騎馬隊の攻撃を食らい、兵は減っていった。

 レマルクは脱出をはかろうと槍を振り回すが敵の防具にはじかれる。

「ミスリル! 馬鹿な、たかが傭兵が、なぜそんな」

 レマルクは驚いた。七十騎程度、全員がミスリルの鎧を着ていた。これだけの数の高価なミスリル鎧を着た傭兵団など聞いたことがなかった。

「覚悟!」

 傭兵団の団長らしき男が剣を振るった。ミスリルで、できた剣だった。レマルクの首は、はね飛ばされた。


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