1/16
レイナード・ラズウェル
この世の出会いは、何ひとつ無意味なものはない。それは、お前の大いなる人生を動かすための、大切な部品となる―― 時計職人だった僕の父親が、かつて贈ってくれた言葉だ。
ほんの少し前、僕の心は固くなっていた。いつの間にか動かなくなっていた。
そんな僕が心の奥底に仕舞い込んでいた、あたたかいものを思い起こさせ、揺り動かしてくれたのは彼女だろう。
僕は出会った。出会ってしまった。
そのひとは、まるで花。しかし、花というにはあまりに鋭く、刃物のようで……まるで剣。それでも、剣というには、酷く可憐で、美しかった。
残念ながら、僕は最後まで彼女を見届けることが出来なかったけれど、その一瞬にきらめいた、あの想いは忘れることのない人生の宝であり、僕自身が生きた証なのだ。
そう、僕、レイナード・ラズウェルは、間違いなく生きていたのだ。




