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第3話

 そして目の前に2人がいる。

 

 クララさんは普通の方だった。旦那様は貴族然とした女性ではなく素朴な感じが癒されるタイプなのね。これでは私のことは嫌いなタイプとなるわね。なるほど、旦那様の好みのタイプが全く違う、私を疎うのは仕方のないことだったのね。


「旦那様、お久しぶりです。クララさん初めまして。そして、旦那様のお申し出通り離縁いたしましょう。こちらに離縁状のサインをお願いします。今すぐ記入してください」


 私は矢継ぎ早に事を進めようとした。旦那様の顔を実際見ると私は苛立ち、心のケイトリンは悲しい感情が膨れ上がってきた。私の苛立ちとケイトリンの悲しみを抑え、旦那様にサインをすぐ求めた。


「えっ、今すぐなのか?本当に離縁していいのか?それになんだか雰囲気が変わったか?」


 あら、いままでのケイトリンと雰囲気違うかしら?それに何言っているのでしょう、離縁はあなたからの申し出でしょう!


「ええ。離縁はあなたがはじめに仰ったことですわよ。それに雰囲気が変わったのはあなたに見切りをつけただけのことですわ。早くサインをしてください。そうすれば、クララ様と早めに結婚できますわよ」


「見切りをつけた・・・。あ、ああ。そ、そうか。ではサインしたらこれで離縁ということなんだな」


 少しの間はなんだったのだろうか。でも、すぐサインをしていた。


「はい、ありがとうございます。こちらは預からせていただきます。早速提出しますわね。そうすれば半年から1年後にはクララ様とはれて結婚できますわね。希望が叶ってよかったですね。クララさんもおめでとうございます。心から祝福します」


「ああ。この領地を出ていくのか?」


 あまり離縁承諾に嬉しそうではないような気がしたが、どうでもいいわ。今後のこともまくし立てて伝えた。


「ええ、すでに領民にはロイド様とクララさんのことを伝えてあります。今後はお二人でこの領地を盛り立てていくことをになるので協力していくようにとお願いしましたわ。そして、今後のクララ様の侯爵夫人としての教育などは、執事のルーデンスや侍女長のライナや旦那様いえ、ロイド様でできるでしょう。クララ様、今度はあなたが侯爵夫人として、愛するロイド様を支え領地を正常化してください。私のやるべきことは終わりました。あなたはロイド様に愛されているのですから、どんな困難でも乗り越えていけるでしょう。それからロイド様、今まで私の実家の後ろ盾がありましたので融資など受けてもらえましたが、これからはロイド様とクララ様の御二方の信頼で融資などを受けてもらえるように頑張ってくださいね。先の融資などはすでに返済してあるので大丈夫です。これからは御二方の時代です。ロイド様、私のワガママにより結婚していただいてありがとうございます。では、この離縁状は私が父の弁護人に頼み出しますので安心してください。そして、こちらが御二方に対する慰謝料の請求です。婚姻関係にありながら、別の女性との生活をし、領地経営を全て私に丸投げしていたのですから、その責務は取っていただきます。証拠も提出いたしますので、後ほど慰謝料請求が御二方にくると思いますのでよろしくお願いします。では、私はこれで失礼します」


「ま、待ってくれ、慰謝料とはなんだ?クララとは肉体的関係はない。本当だ。生活と言っても、クララの部屋で寛いでいただけだ。どうして慰謝料を払わなければいけないのだ?」



「何をおっしゃっているのですか!それは、あなたが婚姻関係にある私以外の女性を愛し、その方と結婚したいための離縁の申し出ですよ。そして、私のところに戻らず、クララさんのところで生活していたという事実。体の関係があろうがなかろうが有責ですよね?まぁ、それは離縁の時に教会が調べるでしょうけど。私はこの領地で領民を飢えさせないように仕事をしておりましたわ。旦那様はクララ様と王都で劇や食事に行かれ楽しんでおりましたわよね?お二人で!仲睦まじい夫婦のようだったと聞いておりますわ。それに対する慰謝料です」


 旦那様、何を生ぬるいことを言っていらっしゃるのかしら。あなたは、愛するクララさんと結婚できるのだからありがたいと思ってちょうだい。


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