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第23話

 そして、お腹もだいぶ大きくなり、あと数ヶ月で産月になるため、私はそろそろ伯爵領に帰ろうと思っていた。


 領民たちと一丸となって復旧、領地改革を進めた。山側の方を開拓していくと、見知った植物があった。ゴムの木とコーヒーとカカオだった。そして海側は貝殻やヤシを使って農地改革、化粧品に力を注いだ。この領地も徐々に収入が増えていき、融資を考えなくても良くなった。


 ロイド様も領主としてしっかりした。もう頼れる領主だ。領民と向き合い困難にも立ち向かえる心強い領主だ。


 もう大丈夫だろう。


 屋敷の者、領民みんながロイド様と復縁し、ここで産むようにと願っていた。


 愛着があるか領地だけど、そろそろ関係を戻さないといけない。ここにいる間、一緒に食事、お茶、仕事全て一緒だった。誰が見ても、愛し合ってある夫婦に見えるらしい。


 疲れてソファーで寝ていた時、ロイド様がベッドに抱き抱えて寝かせてくれた。


 ロイド様はそのまま私の隣に寝転んだ。そしておもむろにお腹に手を当てて、赤ちゃんに喋りかけていたようだ。私はぐっすり寝ていたのでわからなかったが。


 毎日毎日、ロイド様はお腹の赤ちゃんと会話し、3人で会話もした。


 楽しかった。これがあの時の結婚当初の時なら本当に幸せと感じていたのだろう。


 また別の女性に心を寄せてしまうのではという不安、疑念。心の奥底のケイトリンの不安が感じ取れる。


 ロイド様が徐に膝をつき、私の両手を握り、真剣な眼差しでプロポーズをしてきた。手には庭に咲く、一輪のバラを添えて。


「お願いだ、俺はケイトリンとこの子と、それから今後生まれてくる子どもたちと一緒にこの領地で仲良く楽しく、時には大変なことがあるだろう、それをみんなで乗り越えて助け合って、共に生きていきたい。どうか、もう一度私にチャンスが欲しい。始めから結婚のやり直しをしたい。結婚してください」


 心が跳ねた。ケイトリンの気持ちだろう。そういう私も嬉しい。ああ、キャリーに怒られるんだろうなぁ。絆されるな!と言ったのに、と言われるだろう。


「今度浮気したら絶対許さないんだから!とことんあなたと浮気相手に地獄を見せるわよ。それでいいなら考えてもいいわよ」


「浮気というか、別の女性なんか考えられない。ケイトリン、愛している。これから一緒に過ごして欲しい。寝室は同じ部屋、これは絶対。子供はたくさん欲しいな。頑張るよ」


「そうですね、子供がたくさんいるということは、領地経営頑張りましょう」


「いや、そういう意味じゃないんだけどなぁ。それから、この子が産まれる前に結婚したい。みんな、この子の誕生を心待ちにしている。父さまは頑張るからきらいにならないでね」


 お腹の子にも了承をとっているわね。


 ポコポコ。


 2回目の結婚式は領民の前で誓い合った。領民が証人だ。それから、ロイド様に似た女の子が産まれた。


 出産の時旦那様はうるさかった。


 立ち会う、手を握る、お腹を擦ってあげる、水を飲ませてあげるなどそれはそれはめんどくさかった。


 集中させて!と怒ったくらい。結局、手を握り、この世界で珍しい、お産の立ち合いをした。産まれたばかりの赤ちゃんを愛しそうに見つめ、恐る恐る抱っこしていた。その後母乳をあげる私を女神のようだ、といって見つめてくる。恥ずかしいからやめてほしい。いつでも母乳の時間は一緒に居る。


 ”こんなかわいい子を産んでくれてありがとう、愛している”


 言われて口づけときには、胸がドキドキしたわよ。


 その後私に似た男の子。双子の女の子。その下に男の子。その時も常にお腹の子に声がけしていたわね。


 そして私は肝っ玉母さんになったわ。ロイド様もいい領主、いい父親になった。


 我が領地の特産物などを作り、領地を活性化させた。


 そのうち、実家の伯爵家とこの領地に鉄道を作る予定だ。いろいろなアイデアを商品化するには、実家の両親、兄に矢面に立ってもらい丸投げしなければいけない。そして子供たちを連れ楽に実家に帰りたいので鉄道を計画中。両親も孫に会いたいがため、早急に進めているが、国家規模になってしまったので、両親、兄とそして旦那様に頑張ってもらおう。


 はじめは残念な人だったけど、私、家族、領民を愛する旦那様になった。うざいぐらい。


 こうして旦那改革、領地改革を成し遂げた私。これからも領民のために、そして愛する家族のために頑張りますわ。




 でも旦那様、いつでもわたしの考えは変わらないですわ。




 ”旦那様、離縁の申し出承りますわ”          




                               ~Fin~


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