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第22話

~~ロイド視点~~

 

 ケイトリンのことを俺は愛している。


 あのクララの傾倒していたが、自分の不甲斐なさによって逃げて、クララの言葉に縋っていたことに、今は気づいている。本当に情けない男だった。これから、ケイトリンの横に立つために、しっかりとした領主であり、男でなくてはと思っているが、なかなか挽回の予知がない。やっぱり情けない男だな。


 ダメンタール男爵のその後だが、今は男爵の位を剥奪され、鉱山へ送られたようだ。一生そこで働き暮らしていくしか道はない。一生出ることがない鉱山の労働。囚人しかいない場所。


 この領地があの違法薬物の拠点になりそうだったところをケイトリンの洞察力によって助けられた。貴女は本当に領民を大事に思っている。


 ああ、できる事なら結婚当初に戻りたい。しかしそんなことはできないので、地道にケイトリンに頼られ、自分を見てほしいと思っている。


 ケイトリンが疲れてソファーで寝ていたのでそっと抱き上げ、ベッドに運んだ。


 ケイトリン、妊婦なのに軽いのだが、大丈夫なのか?きちんと食べているのか?もう少し食べているか見てあげないとダメだな。これからはいつも一緒にご飯を食べよう。


 やはりケイトリンは綺麗だな。なぜ俺はクララにあそこまで執着したのだろうか?ケイトリンに比べたら、全くクララは平凡だったし、仕事もそれほど、だめだ、ダメだ、クララのことを考えてもしょうがない。


 このお腹に赤ちゃんがいるのか。不思議なものだな。俺も母上のお中で育ったのだな。両親は私を愛情いっぱい育ててくれた。そうだよな、両親がいつも揃って見守ってくれ、俺は育ってきた。この子に俺はなんてことをしてしまったのだ。本当はこの子のことを見守っていかなければいけなかったのに。


 手をそっと置き、赤ちゃんに話しかけた。


 元気に生まれてくるんだよ、産まれる時お母さまを助けてあげてね、と、お腹の赤ちゃんに向けて言ったら、ポコと何か手に当たった。えっ?なに?


 また、不甲斐ない父親でごめんと謝ったら、また、ポコポコと二度手に当たった。お腹の子が反応しているのか?


 この子天才なのではないか?そのままお腹の赤ちゃんと話をし、そのままケイトリンのお腹に手を置き隣で寝込んでしまった


 ケイトリンには朝、なぜ一緒のベッドに寝ているかと怒られた。


 いつもケイトリンは早めに寝てしまうので、毎夜その隣で寝てはお腹の赤ちゃんに相談や今日の出来事を話していた。ケイトリンはよくわけのわからない言葉を発する。


 ”あなたはストーカーなの?””あなたはMっ気があるの!”"ウザい"なんて言われた。


 ストーカーってなんだ。あとMっ気とはなんだ?ウザイって。


 悩みやその日あった出来事、反省などおなかの赤ちゃんに相談している。なんとなく叱責されたり、励ましてくれているような気がする。


 だんだん私は、大胆になり、ケイトリンに朝の挨拶で口づけをした。真っ赤になるケイトリンは可愛い。


 そして、またお腹の赤ちゃんに相談や今日あったことや反省点を話していたら、ケイトリンが起きたので口づけして挨拶した。もう、慣れたものである。


 ケイトリンは口づけで真っ赤な顔をして、目をウルウルさせて見つめる顔が可愛くて、毎日繰り返していくと、諦めたのか慣れたのか、返してくれるようになった。嬉しい。


 そして自分の思いが強くなった。


 この子の父親になりたい。俺の子なのに父親と名乗れないのは辛い。この子は俺の子だ!一緒にカフェに行ってケーキ食べたいな。一緒に手を繋いだり、抱っこして歩きたい。一緒にお絵描きしてもいいな。結構、俺は上手いぞ。ケイトリンは絵心がなさすぎる。教育上良くない。抱っこしたり、手を繋いで遊びに行こうな。


「いつも言っているけど、なぜベッドにいるの?そして何しているの?いつもお腹に手があるのですが」


 ケイトリンにそう言われても、隣にいたい。そしてこの子を感じていたい。


「いつもお腹の赤ちゃんに、今日出来事や、嬉しかったこと反省点などを話しているのだよ。そして叱咤激励をしてくれるんだ。この子は天才だよ。私たちの子供は天才なんだよ、ケイト」


 まだあなたの子供と認めていないけど!なに私たちの子供と言っている、この人は、と言われるが諦めない。


「ロイド様、お腹の赤ちゃんになにをしているのですか?赤ちゃんが叱咤激励って。ロイド様、ふふふふ。私が話しかけてもポコポコお腹を蹴って反応してくれるので、本当にこの子は天才ですよね。この子はロイド様に叱咤激励してくれるのですね。頼もしい子だわ」


「そうなんだ、この子はしっかりした子だよ。君に似たのだな。私はダメダメな父親だから、ごめんと謝ったら2回反応があったので、怒っているのだなとかんじたのだ」


「わたしが寝ている時に何しているのですか、全く。それと父親の自覚があるのですか?」


「当たり前だ!こんな愛しい子に嫌われたらショックだ、というか嫌われているかもしれない。ああ、それが怖い。おとうさま、きらいなんて言われたら立ち直れない」


「まだ産まれておりませんし、産まれててすぐは喋れません。なに妄想しているのですか、バカじゃないですか」


「そう言われても、毎日会話をして、無事生まれてきて欲しい。そして街のおかみさんたちに出産は女性にとって大変だと聞く。ケイトに負担をかけないようにとこの子に言っているんだ。おかあさまが苦しまないように頼むよとお願いしているんだ。そして早く会いたいというと、ポコと反応するから、私もと言っているのかな、ふふふ」


 俺は完全に親バカだな。この子にも認められたい。君の父親だよと心から言いたい。

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