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第16話

クララさんがいなくなり、しばらくして新興貴族ダメンタール男爵夫妻と娘がやってきた。3人はだいぶ横に広い方々だった。奥方様は全ての指に宝石をつけていた。首にはひちきれそうなネックレスをしていた。娘の方はフリフリの可愛らしいドレスだった。ドレスはかわいい。しかし、色合いが余計膨張させていた。いかにも成金という出立を御三方はしていた。


ニコニコしているが、態度のでかい男爵だった。


「やあやあ、ランザフォート侯爵殿。愛人だった女の醜聞や災害復興、融資などが芳しくないと聞きましたぞ。いい話を持ってきました。我が娘と結婚をお勧めしますぞ。我が娘はそれはもう、気立てが良く、あなたを助けるでしょう。あの愛人だった女のことは気にしません。そして我が男爵家もあなたを支援します。親戚になれば、我々が融資と言わず、お金を出しましょう。いい話だと思いますぞ。ほら、未来の旦那様に挨拶せんか。かわいい娘です」


「ふふふっ、ロイド様。私はターニャと申します。いつも晩餐会の時にあなたのことを見つめておりましたのよ。あなたの助けたい。あなたと一緒に人生を過ごしていきたいのです。そ・れ・に、私は純潔よ。あなたに捧げるわ。いいお返事をお待ちしておりますわ」


 ブクブクとした体を捩らせて迫ってきた。慌てて躱した。


「まぁ、ロイド様はいままで愛人がいたからやり手だと思ったのにウブな方だったのね。ますますいいわ!」


「まぁまぁ、ターニャ。そういうことは結婚してからだぞ。結婚したら思い存分甘えなさい。侯爵殿、あなたを救えるのは我々だけですぞ。そのことをよく考えて、娘に求婚してください」


「まぁ、お父さまったら、求婚なんて、恥ずかしいわ。ウェディングドレスを用意しなくては、あなたのために美しいドレスを作るわ」


 誰もがゾッとした。男爵はどんどん話を進めていく。


 男爵夫妻は娘自慢や自分がいかに優れているか、自分を義父に持つことの利点などをして帰っていった。


「旦那様、どうされるおつもりですか?まさかあの女性と結婚しなければならないと考えていらっしゃいますか?」


「いや、全く考えていないというか考えつかない。私はムリだ」


「あの男爵は多分吹聴すると思われます。また醜聞が社交界に蔓延してしまいます」


「ああー」

旦那様は頭を抱え込んでしまった。


 ダメンタール男爵と娘はあれから侯爵領に来訪する度、結婚を迫っていった。社交界でも、ダメンタール男爵令嬢と結婚が決まりそうだ、という噂が広まっていった。もちろん出所はダメンタール男爵が吹聴していた。


「今、娘とランザフォート侯爵殿との婚姻話が進んでいるのですよ。わはは、ランザフォート侯爵、いやロイド殿は娘のターニャをいたく気に入ってくれているんですよ。ロイド殿はまだ離縁調停中ですから、半年~1年後にはターニャとの婚姻が楽しみですわい。まあ、あの愛人騒動がありましたが、我が娘ターニャはすべてを受けとめる心優しい娘なのですよ。健気な娘です」



誰もがびっくりしていた。そしてダメンタール男爵の娘に目をつけられてしまったかと哀れんだ。


ランザフォート侯爵は見目麗しい出立だ。


あのダメンタール男爵令嬢は嬉しいだろうことは想像がつく。


そしてランザフォート侯爵様がいかにかっこよく、旦那様になったら私だけのものよとどこの社交場でも吹聴している。


ランザフォート侯爵は領地で忙しいため、社交界に欠席している間にどんどん噂が大きくなっていった。


侯爵様に呼ばれてガゼボでお茶をして楽しかった、領地を見て回った、侯爵家の執事、侍女、メイドが私に傅いてくるなど、様々なことをみんなに吹聴していた。


実際は、無理やり来訪し応接室でお茶を出され飲んだだけ、領地を勝手に見て回った、執事メイド達はお客様として対応をしていた、ということだ。


しかし噂を鵜呑みにするものもいたのは確かだ。侯爵様本人が王都にいないことをいいことに話が広がって行った。





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