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第14話

 教会を通して、クララさんは純潔ではないことを公表し、旦那様とは不貞がないことを証言をしたが、世間は不貞があったことととらえた。そのことでルメニエール信仰に反した行いをした侯爵様に対し、口さがないものまででた。逆境に立たされてしまった。


「君はなぜ黙っていたのだ!隣国の移民だったなんて。そして、別の男性と通じていたのだな。またこの侯爵家の評判が悪くなってしまったではないか!ルメニエール信仰に反していないのに、世間では不貞行為をしたとみなされたのだ。こんな状況では融資が受けられない。なんとかしなければ」


 落ち着きなく歩き回るロイド。


「私は、私はどうなるのですか?私と結婚してくれるのですよね?ロイド様」


「こんな状況で、よく結婚なんていえるな!お前が未婚のはずなのに純潔ではなかったことにより不貞と判断されたのだ!ルメニエール信仰に反することなどしないのに!加護がなくなったらどうしてくれる!それでなくても、お前とお前の家族がここにきてからよくないことばかりだ!それに、君の本心も聞けたな」


「私が悪いというの?あんたが私と結婚したいと言ったから私はその気になったのよ!こんなことなら、あの時声なんてかけなければよかった。羽振りのいい、いい男と思って優しく声をかけたのに」


「なんだって!やはり邪な思惑があったのか!くそっ。今すぐ家族と親戚を連れて出ていけ!」


「なんですって、なぜ出ていかなければいけないのよ!私は侯爵夫人になるのよ!」


「なれるわけないだろう!もうすぐ外国移民局が来て沙汰が下る。隣国に戻されるんだよ」


「うそ、うそよ。なぜ隣国に戻るのよ!結婚すれば、私はこの国の国民になれるのよ。あなたは私と結婚したいといったではないの。ね、結婚してくれるでしょう?」


「君とは結婚はしない。この国の未婚女性なら純潔を重んじる。そして貴族との結婚は特にだ。君は経験豊富のようだな。今でさえも君の家族親戚が我が物顔で過ごしていた。今度は君の愛人だと言ってこちらに来られても困る。そして愛人の子供を私の子と言われても困る。托卵されてはたまったものではない。私がかたくなにルメニエールの教えを守ろうとしているのに、君は不貞行為をしようという行動をとっていたのだな。そして移民手続きをしていないなら、この国ではなく隣国に籍がある。だから戻され、税金分を強制労労働となるのだよ」


「嫌よ、あの国に戻らないわ。あなたと結婚するのだから。私はあなたを愛しているのよ。思い出して!あなたがあの奥様のことをいかに傲慢で嫌い、この領地に居ても落ち着かない、この領地は嫌いだ、君のそばが1番落ち着くと言っていたではないのよ。また、王都で2人で暮らせば元に戻るわ。そうよ、王都に新居を構えましょう。こんな何にもないところにいてもつまらないわ。本当にここはつまらない。王都であの頃のように食事に行って、観劇して、お買い物をして楽しみましょう。あんなに楽しかったでしょ。ここにきてからおかしくなったのだわ。ねぇ、そうしましょう、王都で何不自由のない暮らしをしましょう。きっと楽しいわよ」


「君という人は!侯爵夫人としての素質もない、それではただの愛人ではないか!そうだ、あの頃の私は強引に結婚を迫ったケイトリンを毛嫌いしていた。しかし、状況を思い返せば、私とそしてこの領地のことを思って早く結婚してくれたのがわかる。ケイトリンはこの領地をそして領民を支えてくれた。それなのに私は君との王都での生活で何の困難もない状況で君と一緒にやっていけると勘違いをしてしまった。本当に頭がお花畑だったよ。王都の困難も何もない生活の上だった状況で、どんな困難でも君とやっていけると思っていた。しかし困難に直面したらこんなものだ!そして君はこの領地をこんなつまらないところというのだな!私の先祖代々の土地と領民だ!」


「ふん!今まで王都ばかりいて忘れていたくせに!」


 2人は執事、侍女、メイドの前で口論を繰り返していた。口論するより復旧に力を注いで欲しい。それほど切羽詰まっている。


 ただ、旦那様にやっと領地、領民を思いやる気持ちが芽生えたことは、良かったのだが状況が悪かった。


 本当に復興の兆しが見えない。


 それからクララさんと家族親戚はこの領地をからいなくなった。


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