表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/23

第13話

 クララ様の手が水晶に触れた。しかし水晶は光らず、濁っていった。


「こ、これは、クララ様は未婚でありながら、純潔ではありません。侯爵様、不貞行為がなかったという証拠はございません。不貞行為があったとみなされます。侯爵様、本当のことをおっしゃってください」


「私は嘘はついていない。本当にそんなことはしていない」


「ごめんなさい、ごめんなさい」


「貴族との初婚は純潔であることが条件です。婚約期間中であろうが、愛人関係でも不貞行為はルメニエール教に反することになりますので、侯爵様の考えでお決めください。それでは、不貞行為があったとみなします。再婚まで、こちらの腕輪をしてください。この腕輪は、行為防止の腕輪です。托卵防止になります。結婚前に不貞があったなど、これ以上ルメニエール教を冒涜しないようお願いします」



「司祭様、待って欲しい。本当に私は不貞行為はしていない。ルメニエール教の信仰に反する行動などしない。はっ!口づけを数回、本当に数回しただけだ。それも不貞行為となるのか?」


「今回、未婚女性のクララ様が純潔ではなかったということです。ですから、侯爵様と不貞行為がないという確証は得られませんでした。確証がないのですから、不貞行為があったとみなされます。侯爵様の不貞行為がないという証拠となりますと、クララさんがいつ誰と関係を持ったかを公表するしか道はないですが、クララ様の証言次第です。それまでは預かりとなります。それを選ぶのは侯爵様です」


 がっくりと床にしゃがみこんでしまったロイド様。


 そして司祭様はお帰りになったが、この雰囲気をどうすべきか。放心状態の旦那様。泣き崩れるクララ様ではなくてクララさんですね。



「旦那様、ひとまずお茶をお入れいたします。クララさんはいかがいたしますか?今後、お二方の再婚のお式に向けたお話があると思いますが、ドレスなどを見繕わなければいけないですし、盛大に式をおあげになるのですよね?旦那様」


「え?あ、あ」


 呆然としていた旦那様はクララさんを冷たい目で見ていた。クララさんは泣き崩れていた。


「クララ、君は、いや、なんでもない。ゆっくり部屋で休んでくれ。ライナ、部屋へ連れていってくれ」


「かしこまりました。クララさ、ん、立てますか?行きますよ」


 ライナに支えてもらいながら部屋は戻っていく。


 本当にこれからどうする気なのだ、あの女は。先ほどの言葉はこの領地への侮辱だ。田舎で何もなく大変な土地だなんて!災害はあるが、暮らしやすい土地だ。ルメニエール教の信仰をしていないのか。この診断はあの女の家族にも結果がいく。クララさんの家族が横暴にもこの領地に移り住んでから、領民の不満が高まっている。ルメニエール教の信仰に反した行いをした娘を育てた親、親族達は批判される。ただ、その相手が旦那様となってしまうと侯爵家の評判は地に落ちてしまう。そうならないためにはクララさんのいつ誰と関係を持ったかの公表が必要だ。そこは教会を通してとなる。まったくこんな胸糞悪いことになってしまうなんて、旦那様は反省し、今後は領地管理をきちんとして欲しいものだ。できることならケイトリン様に帰ってきて欲しいものだ。


 その後、旦那様はクララ様、いえ、クララさんですね、クララさんに自分の男性遍歴と自分とは体の関係がないことを公表して欲しいことを頼んだ。


 その際もかなり揉めた。毎日口論していた。ここに来たときは旦那様はクララさんを愛おしそうに接していたが、今となっては姿を見るのも嫌になったようだ。


 クララさんから脅されもしていた。


"私があなたと体の関係があったと公表すればあなたの評判は地に落ちるわね、ルメニエール教?だったかしら、あの信仰に背いたことを私が言えばどうなるかしら"と悪女さながらのものだった。


 クララさんの話を聞いているとなぜルメニエール教の信仰を知らないのか不思議に思っていた。


 分かったことが、クララさんは隣国からの不法移民者だった。本人は14歳の時に家族親戚と共に移民をしたが、入国する際ルメニエール教の信仰をしなかったということだった。このことで移民申請をしていないことが判明した。ルメニエール教の信仰だけの問題ではなかった。困ったものだ。


 なんとか家族と親戚が起こした事柄を訴えないことを条件に説き伏せた。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ