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第11話

 伯爵夫人がお帰りになってしまい二人は佇んでいた。


「クララ、庭に気分転換に行こう。私も仕事が煮詰まってしまった。休憩にちょうど良いな。ガゼボでお茶でもしようか」


「は、はい」


 2人ガゼボでお茶をすることにした。


「クララ、あまり無理をしなくて良い。先ほど私が笑われると伯爵夫人が言っていたが、そんなこと気にしなくて良い。無理せず、しっかりと侯爵夫人の行いを学んで欲しい。優秀なクララならできるよ。できれば侯爵夫人として災害活動を優先的にやって欲しい。自然災害での対応の不満や君のご家族への不満の陳情書がかなり来ている。もう手一杯になってきた。クララの家族をどうにかして元に帰らせ、炊き出しの手配をして欲しい」


「え?あた、私がするのですか?」


「クララ、ケイトリンから早く読むようにと言われた侯爵夫人のやることは読んだかな。侯爵夫人としての仕事も領民と共に頑張って欲しい。そうすれば領民の信頼が得られる。私の方も災害復旧と予算関連を期日までに報告しなければ、予算が入ってこない。もうしばらく頑張って欲しい」


「あたしは、あたしには無理です。あんな難しいことできません。ルーデンス様やライナ様が手伝ってはいただけないのですか?」


「クララ、侯爵夫人になるのだからルーデンスやライナやメイド達は様付けしなくて良いよ」


「い、いえ、ま、まだあたしは平民ですので様をつけさせていただきます」


「そうか、徐々に慣れていけばいいさ。ルーデンス、ライナはクララの補佐をできるか?」


「いえ、ケイトリン様は1人で深夜まで、時には徹夜で仕事をしておりましたので、我々にはわかりかねます。旦那様の仕事も負担していたので、遅くまでやっておりました」


「そ、そうなのか。ケイトリンはすごいのだな」


「旦那様、旦那様が王都から帰られませんでしたので、必然的にケイトリン様がしなければならなかったのですよ。そして、旦那様のために、そして領民のために頑張っておられました」


「そ、そうか」


 2人とも俯いてしまった。


「ですがケイトリン様がお一人でしていたことを、今度はお二人でするのですからケイトリン様よりは負担は少ないはずです。お二人で助け合っていけばよろしいのではないですか?」


 私は先代様から、ロイド様の教育も頼まれてため厳しく助言をいうことができる立場だ。ロイド様の教育が甘かったという不甲斐なさを感じた。クララ様は気を抜きと”あたし”と言う。困ったものだ。どこをどう見て優秀だと思うのか、表面だけしか見ていなかったのではないか。王都では緩やかな時をお過ごしだったのだろう。


「あ、ああ、そ、そうだな」


「旦那様、クララ様、災害活動をはじめに行ってください。領民が被害が広がってしまいます」


「そうだな、災害活動はどのぐらい進んでいるのだ。任せきりにしてしまった。すまない。クララ、この災害と報告期日が終われば余裕ができると思う。一緒に王都へ買い物に行こう」


 周りにいたメイド達が落胆した姿を目にした。もうこの侯爵家もダメかもしれないなと誰もが思った瞬間だった。必然的にクララ様には冷たい目がいくが、それを感じ取ったクララ様は俯いて屋敷に入っていった。


 その後も、復旧の支持をしないクララ様。本当にこの人で大丈夫なのだろうか?領民もかなり不満を持っている。クララ様の家族親戚、そしてケイトリン様を追い出し、何もしない未来の侯爵夫人。


 その不満の矛先が旦那様へも向けられた。


「旦那様、旦那様だけでも領民の前にでて、復旧支援をしてください。領民はクララ様の家族親戚は手厚い支援されていて、災害に遭った領民に手を差し伸べないのは間違っています」


「どういうことだ?クララの家族親戚に支援とは?領地から出ていってほしいとクララに頼んだはずだ。クララも了承していたが、どうなっているのだ」


あきれた顔の執事の顔を見た。


「旦那様は状況を分かっていらっしゃらなかったのですか?クララ様はご家族を追い出してはいません。災害時の避難所に住まわせ、備蓄品を家族に与えてしまったのです。ですから、今災害普及の備蓄品はありません。何とかケイトリン様が支援した商人や街の代表者を中心に今はやっと賄っている状態です」


「何だって。まさか、クララはこの領地にまだ家族を住まわせていたのか?領収書が来なかったのはそういう理由があったのか。そして、侯爵夫人が管理していた備蓄品と避難所のカギを渡してしまったのか、なんてことだ!」


「私は、旦那様がクララ様に許可を出したと思っておりましたが。領民もそう思っています」

クララ様を純粋に信じておられたのだろう。


 クララ様の実態が徐々に明らかになってきたのだろう。夢見な旦那様も現実がすでに見えてきたのではないだろうか。

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