深夜の電話
サラッと読めるホラー
深夜、静かな部屋で寝ていた私は、突然、目を覚ました。時計を見ると午前2時を過ぎている。なぜか眠れなくなってしまい、しばらく天井を見つめていた。
その時、電話が鳴った。
「こんな時間に?」と驚きながらも、スマホの画面を見ると、見慣れた番号が表示されていた。私の親友、アヤからの電話だ。
「もしもし?」
「……」
「アヤ?どうしたの?こんな時間に?」
電話の向こうからは、ただの息遣いしか聞こえない。最初は不安だったが、すぐに何かの冗談だろうと思った。アヤは冗談好きだから。
「アヤ、もしもし?」
しばらく無言の後、ようやくアヤの声が聞こえた。
「……今、あなたの後ろにいる。」
その言葉が耳に入った瞬間、背筋に冷たいものが走った。思わず振り返ると、部屋の中には誰もいなかった。しかし、心臓が異常な速さで鼓動し、無意識に電話を手に取った。
「アヤ、怖いから冗談はやめてよ…」
再び、電話の向こうからは息遣いだけが響く。その音がだんだんと大きくなり、どんどん迫ってくるように感じた。耳を澄ませると、息遣いの中に微かな「見つけた…」という声が混じっている。
「アヤ…」
私は恐怖に震えながらも、電話を切ろうとした。その瞬間、電話が不自然に途切れ、画面が真っ暗になった。
電話が切れた瞬間、部屋の奥から「見つけた…」という声が、今度はリアルに聞こえた。私は冷や汗をかき、恐る恐る振り向く。しかし、そこには誰もいなかった。
その後、私は何度もアヤに電話をかけたが、通話は一度も繋がらなかった。
翌朝、警察から連絡があった。アヤが事故で亡くなったという知らせだった。
「でも、彼女の最後の電話は、あなたにかけたものでしたか?」
その時、私は気づいた。アヤの死は、すでに数時間前に起こっていたのだ。