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ブルームーン  作者: すぴか
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ただのミステリー小説好きが書いている、自分の好きを詰め込んだお話です。

頭を空っぽにして読んでください。

恥ずかしくなったらこっそり消すかも……

探偵事務所に仕事が舞い込んできたのは、3日前。

12年前に閉じられた産婦人科の病院の近くで、行方不明者があとをたたないという。

その廃病院は、1、2年前から裏社会の人間がアジトとしているらしく、ちょくちょく訪れる人などの情報を探っていた。

その時に青い月のピアスをした男が何度か現れた。

私たちは最近話題になっている殺し屋ブルームーンが関係しているのではないかという仮定をたてた。

情報を得るために、私と助手をしてくれるという弁護士、警察官3人と廃病院へと入った。

そこで調査をしているうちに警察官の1人とはぐれ、探しているうちに大きな怪物?に襲われたのだった。


高校生だろうか、女の子に手を引かれて、隣の部屋に移動する。

「ここはシールドを貼ったので安全です。どうぞ、ベッドで休んでください。」

「あの、なぎさんは、大丈夫でしょうか。」

「なぎのお知り合いですか?……大丈夫ですよ。うちのエースですから。」

不思議と音は聞こえないけれど、ドアのガラスの部分から、なぎさんの姿が見える。

ふわりと舞いつつ銃とナイフを器用に使って、あっという間に巨大な怪物を倒してしまった。

ガチャ、とドアが開いて、なぎさんが入ってくる。

「おつかれ。M。終わった?」

……M?

「うん。あれが資料にあった奴だね。もう消えた。」

「あのっ、なぎさん、」

「いろはさん。もう大丈夫ですよ。帰りましょ。」

なぎさんがこちらに笑いかけると、ピアスが揺れる。

青い、月……

まさか、なぎさんが、

「なぎさんが、殺し屋ブルームーンのM、なんですか……?」

「な、なんでそれを、ってハナ、記憶処理は!?」

「Mの知り合いっぽかったからいいかなって。落ち着いてたし。あとの4人はばっちり。ぐっすり寝てる。」

「……まぁ、そのうち話さなきゃいけないと思ってたから、いいけど。……セト着いたって。僕、いろはさんと帰るから、先に帰ってて。」

「わかった。怪我は。」

「大丈夫。大したことない。あ、浄化だけ頼んだよ。」

お疲れ様って言って、いろはさんと一緒に部屋を出る。

「そういえば、」

急に声をかけられてくるっと振り向く。

「なに?」

「救急車呼んだから。早くてもあと40分、下手したら1時間くらいかかるらしいけど。」

「ん、ありがと。あ〜……僕が同乗するからいいよ、先帰ってて。」

さて、服を変える用に霊力残しておかないと。


2つ隣の部屋に入ると、シールドを貼る。一応ね。

元病室だったらしいこの部屋は、ベッド横に小さな椅子とチェストがあった。

そのチェストに銃とナイフをおくと、ベッドの埃をぱっぱと払って、浄化をかけた。

見違えるほどきれいになって満足すると、先に座って、ポンポンと隣を叩く。

「いろはさん。ベッドきれいになったので、座ってください。質問があれば答えますから。……答えられる範囲ですけれど。」

「その前になぎさん。血が、」

言われてみれば服はボロボロで、ところどころ血がにじんでいた。

「ああ、本当に大したことないので。大丈夫ですよ。今は霊力が……えっと、魔力とか、そんな感じの力だと思っていただければ。それがないのでできませんが、自分でヒールで治せますので。」

ヒール、治癒。

傷に対して霊力を流し込み、傷を治したり流血を止めたりできる。

傷を治すイメージが必要であり、結構難しい。

「だめですよ。ほら、怪我してるところ見せて。救急セット持ってきてよかった。」

左腕と、右の太もものところがぱっくり切れてしまっていた。

頬にもいくつか擦り傷ができている。

「消毒するから。痛いと思うけど我慢して。」

いくよ、と声をかけられて、こくんと頷く。

ポンポンと脱脂綿で消毒してくれる。

その瞬間、しみるなんて言葉じゃ言い表せない程の痛みが全身を駆け巡った。

「いっ……!」

その激痛に思わず声が上がり、びくりと肩が跳ねた。

「痛いね。……ごめんね。服掴んでていいから。」

「いろはさんのせいじゃありませんから。……っ、痛いもんは痛いですけど。」

ぎゅっといろはさんの服を掴む。

涙がにじんできた頃、やっと消毒が終わったらしい。

すべて消毒し終わると、頬には大きい絆創膏を、腕と足には包帯を巻いてくれた。

「はい、おしまいです。」

「ありがとうございます。」

いろはさんは僕の涙を指で拭うと、我慢してえらかったね、と頭を撫でてくれた。

「子ども扱いしないでくださいっ。」

「ふふ、ごめんなさい。改めて、先程は助けてくれてありがとうございました。」

「い、いえ。こちらこそ無事でよかったです。」

2人してぺこりとお辞儀をする。

「それで、なぎさんはブルームーンなんですか?」

いろはさんはベッドに座りつつ尋ねてくる。

「はい。ブルームーンで、メルというコードネームで活動しています。……内緒にしていてごめんなさい。」

ピアスを触りながら答える。

「では、殺し屋……?」

「世間では殺し屋と言われていますが、実際には違います。今回のように悪魔退治や、霊を祓うお仕事をしています。さっき言った、霊力っていうのを体の部位とか、武器とかに込めて、霊を祓うんです。人殺しは絶対にしません。」

「そうなんですね。じゃあ、さっきのヒールとか、シールドとかも、霊力で?」

「そうです。ところで、いろはさんはどうしてここに?探偵のお仕事ですか?」

いろはさんは順を追ってくわしく話してくれた。

この廃病院で行方不明者が絶えないこと。

ここ出入りしている人を調べていたら、青い三日月のピアスをした男性が何度か来たため、ブルームーンが関係しているのではないかと思い、調査に入ったこと。

「ああ、事前調査だと思います。……しかし、そっか、行方不明者……ごめんなさい。少しいいですか?」

スマホでセトの番号に電話をかける。

いろはさんの話、主に行方不明者がたくさん出ていることを知らせると、無理しない程度に調べてこいとのことだった。

「いろはさんは、先に帰っててください。1人で……」

「私も行きます。」

連れて行ってください。と頼まれてしまっては、断れない。

1階は探索は終わっているとのことで、いろはさんと一緒に2階をもう少しよく調べてみることにした。

銃とナイフを持つと、歩き出す。

「いろはさん、もしさっきのみたいのが襲ってきたとき、自分で身を守れますか?」

「わ、私は戦いに自信はないですが、頑張ります。」

「この銃持っておきますか?僕もうひとつあるので。」

上着の内ポケットからもうひとつ銃を取り出して見せると、いろはさんは目を丸くした。

「一般人に銃を扱えると思わないでください。」

「確かにそうですね。ごめんなさい。僕が守るので大丈夫ですよ。何かこないかだけ見ててください。」

「わかりました。……あ、この部屋、入ってみましょう。」

ぎぃ、と扉を開けると、院長室のようだった。

壁には本棚がたくさん。

いろはさんは軽く本を見て回ると、何やら日記を持ってきた。

「日記ですか。……何か書いてありますかね。」

「なぎさ、……メルさんとお呼びした方がよいですか?」

「どちらでもいいですよ。……あ、ここに何やら地下室?の行き方が書いてありますよ。ここ、地下室なんてありましたっけ?」

「本当だ。……この本ですね。この日記のところに、鍵があるらしいです。」

日記が置いてあった場所をよく見ると、本棚の壁が二重になっていて、取り外せるようだった。

カパ、と外して見ると、中から鍵が出てきた。

「鍵ありました!」

「では、地下室の入り口を探しましょう。この日記では、1階の非常口と書いてあります。」

階段を降りて、非常口を探す。

「あ、あれですかね。」

ドアを開けて見ると、そこにはもうひとつドアが。

ガチャリ、と鍵を開ける。

「いろはさん、下がっててください。」

銃を構えながらゆっくり中を覗き込む。何もいなそう、とわかると、銃口を前に向け、いつでも撃てるようにしてバンッと勢いよく戸を開ける。

ライトで照らすと、そこには、大勢の倒れている人、座り込んでいる人。

「大丈夫ですか!?」

10人はいるだろうか。子どもが多い。

驚かせないようにゆっくりしゃがんで目線を合わせると、もう大丈夫だよ、と声をかける。

おいで、と手を広げて待つと、小さな男の子が泣きながら抱きついてきた。

よしよしと頭を撫でながら、状況を把握。

怪我をしている子はいるけれど、霊はいないし、命に関わるようなことになっている子もいない。

「疲れたね。大変だったね。ちょっと休もう。」

まずは男の子を寝かせると、記憶処理を施す。

順番に、霊力が続く限り、それを続けていく。

「救急車が到着するまで待つしかないですね。……って、一体何を。」

「記憶処理です。ここで起きたことがトラウマにならないように。あ、いろはさんと一緒にいらしてた4人にも同じように記憶処理を行いました。ここでの事は一切覚えていません。起きた時に、なんか変な夢見てた気がするな、って思うくらいです。」

「そう、ですか。では明日からの会話に気をつけなければいけませんね。なぎさん達のことは、内緒なんですよね?」

1度手を止めて、いろはさんに向き合う。

「そうしていただけると、ありがたいです。……いや、いろはさんが、今日のことを忘れたいのであれば、すぐに記憶処理を行います。安心してください。いろはさんが起きたらきちんと、ブルームーンのこと、説明します。」

「いえ。心配には及びません。なぎさんの勇姿を、忘れたくはありませんから。戦っている時のなぎさん、とてもかっこよかったです。」

面と向かって言われると、照れるな……

お礼をいうと、すぐに記憶処理を再開する。

「霊力は、大丈夫なんですか。さっき、ないと言っていませんでしたか?」

ギクッ

そ、そんなこと言ったかな?言ったかも。

「あ、あれはーあーえっと、とにかく霊力は大丈夫です。今から軽くヒールもしちゃいますね。」

「……治せたのに、放っておいたということですか。自分の怪我を?あんなに深い傷だったのに?今も痛いのでしょう。先に自分の怪我を治したらどうですか。」

ガッと手首を掴まれる。

視線が、痛い…。

いろはさんの方、向けない。

「あ、ほら、この子の方が重症ですし、」

「なぎさんの怪我も十分重症です。まだ血がにじんでいるではないですか。」

「…あ、あとで治しますから。ほら、治せないと任務にも行けないでしょう?絶対に治します。約束します。」

最後いろはさんの方をじっと見つめて言うと、はぁっとため息が聞こえた。

「……わかりました。」

掴んでいた腕の力が緩む。

「ただし。帰ったらお説教です。」

「え」

救急の方、迎えに行ってきます、といろはさんが部屋をでていく。

……まずいことになったかもしれない。

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