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ただのミステリー小説好きが書いている、自分の好きを詰め込んだお話です。
頭を空っぽにして読んでください。
恥ずかしくなったらこっそり消すかも……
「さむい!」
「おーM、きたか。」
「寒いよ〜クロ〜もう春なのに……」
ひしっとクロにくっついて暖をとっていると、ハナとノアもやってきた。
天雨ゆうか。コードネームはノア。学校では常に成績上位者の少し大人しめな女の子。
背は低くて、淡い黄緑色の瞳の笑顔がふわふわかわいい子だ。
同じくふわふわの茶髪はハナより長くて……あー、セミロング、とか言うのだろうか?
「ノア、ひさしぶりだね。元気してた?」
「うん。メルくんひさしぶり。元気だったよ。」
「てか、学校の友達といる時に話しかけてくんなよな〜M。どんな関係なんだって色んな人に聞かれて大変だったんだから。お前ら3人目立つんだよ。」
「ごめんごめん。忘れる前に〜って思ったらつい。」
「揃ってるな。」
とここでセトの登場。
「廃病院?」
「そうだ。私とMとハナで、廃病院に向かう。ノアとクロはもうひとつの依頼に行ってくれ。こっちはそんなに重くない任務だ。後ほどエマさんが合流してくれるらしい。あとは移動しながら説明する。車のれ。」
「了解。じゃあ俺ら先行こうか。」
「はい。」
セトから資料を受け取りつつ、ノアとクロは現場に向かった。
エマさん、本名は天雨りの。ノアのお姉さんで、大学生。
長い茶髪をハーフアップにまとめ、緑色の瞳を持つ彼女は、何故か男子より女子によくモテるらしい。
そして、セトは高校生だけど車の免許を持っている。なんか中学のとき家の都合でとったとか言ってた。
それって法律上どうなの?
おぼっちゃまの事情はわからない。
「それで、ハナと僕で探し出さなきゃいけないってこと?」
「ああ。私はすぐ近くの別の案件に行かなきゃいけないから。すぐ合流する。……それまで死ぬなよ。」
着いたぞ。と言われてハナと同時に車を降りる。
「じゃ、いっちょ行きますか。」
「オーケー。とりあえず二手に別れる?」
「そうね。Mは2階からお願い。私は1階から。30分後玄関集合ね。来ない場合はお互い探しにいく。」
「……了解。」
「なぁに、怖いの?」
ハナの顔が近づき、シャラ、とピアスが揺れる。
僕達は全員同じピアスをつけている。右側には青いガラスの三日月。左側にはイニシャル。
「……大丈夫。」
ふい、と視線を逸らす。
正直ちょっと怖い、けど。
「よし。じゃあちょっとあたしの未来視てみなさい。」
未来?ハナの?
差し出された手を取り、集中する。
キィンと頭の中で耳鳴りに似た音がして、脳内に映像が映し出される。
未来はまだわからないから、起こりうる出来事がいくつかの分岐になって頭に流れ込む。
「特に悪い未来は視えないけど。」
「でしょ?大丈夫、行くわよ。」
お互い離れても、ピアスにGPSが埋め込まれていて、スマホで位置がわかるようになっている。
だから、大丈夫。
怖くない。
2階に上がるとすぐ、悲鳴が聞こえた。
曲がり角からだ。
ダッシュで向かうと、スーツを着た男の人がおっきい女の人の幽霊に襲われていた。
霊がこっちに気づく前にまずは足元に2発。そして頭に1発打つと、霊は消えていった。
「大丈夫ですか?どこか怪我は」
「け、怪我はない。それより、い、いまのは、」
「妊婦さん、の幽霊ですね。今仲間を呼ぶので、少しまっていてください。他に人は。」
「5人でここにきて、私だけはぐれてしまいました。ほ、他は無事でしょうか……!?」
「分かりません。探してきますので、ここを動かないでください。もう少ししたら僕と同じくらいの女の子がくるので、その子にしたがって退避してください。」
ガタガタ震えていたので、上着をかけてあげつつ、ハナに電話をかける。
「もしもし、いた?」
「一般人がいた。2階の階段上がって曲がったところ。スーツきた男の人。記憶処理と退避お願い。他に4人いるらしいからこれから探してくる。」
「わかった。気をつけるのよ。」
電話が切れた後、男の人に軽く会釈をして走り出す。
手術室、という文字が目に入った瞬間、ドカンと扉が吹き飛ばされた。
人型……女の人かな。霊がいる。
お腹が大きい。
妊婦さんの霊……?
腕が千手観音かのようにいっぱいあって、そこには人が3人、捕まっていた。内1人はぐったりしている。
まずは1発、腕を吹き飛ばすと、その人を下でキャッチ。
廊下の隅に寝かせ、もう1人。
3人助け出した頃に、反撃がきて吹っ飛ばされてしまった。
ゴンッ
「いっ……たぁ!」
完全に視逃した!
打ってしまった後頭部をさする。
たんこぶできちゃうかな。
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です。……まって、3人?もう1人は!?」
「先生なら、あそこに。」
霊の後ろの棚の裏に、男の人が隠れている。
その人と目が合った瞬間、固まってしまった。
「い、ろは……さん?」
驚きすぎて、飛んできた攻撃がもろにあたってしまった。
「っ、」
また視逃した。
なんか最近未来視の調子悪い……
攻撃が当たった足にぱっくりと傷が開く。
痛みに耐えてなんとか立ち上がると、ちょうどハナが走って来た。
「無事かよ。」
「うん。それより、3人の退避お願い。1人ぐったりしちゃってる。こっちは僕がなんとかするから。」
「了解。……皆さん、こちらに。」
攻撃を避けつつ、足に3発撃ち込む。
足に穴が開くが、すぐに再生してしまう。
「再生はやっ!まってまって。どうしよう。」
いろはさんの方に行かないように、端へおびきよせる。
もう1発。
倒れた棚を踏み台にしてジャンプすると、空中から狙いを定める。
次は頭から心臓にかけてダダダダダッと打つと、やっと倒すことができた。
と、思ったのだが、まだ消えていない。
霊は倒したら空中に解けるように消えるはずなのだ。
でも再生には時間がかかりそうなので、いろはさんの元へ向かう。
「なぎさん……!?どうしてここに、」
「こっちのセリフですよ!!とにかくこっちへ。」
手を引いてハナの方へ走る。
途中再生が終わってしまい、攻撃が再開する。
「いろはさん、しゃがんで!」
飛んできた腕を吹き飛ばしつつ、また走るを繰り返す。
やっとハナの元へたどり着くと、ハナにいろはさんを任せてすぐ走り出す。
「ハナ!ナイフ!こっち投げて!」
事前にハナに預けていたナイフを投げてもらう。
「ほらよ。……よくやった。M。……さ、早くこちらへ。」