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汰介の生い立ち  作者: ぜあ
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汰介の過去3 <中学生編1>

進学しても、ありがたいことに僕の周りには人が集まってくれた。

まあ、小学校から公立の中学校に進んだら大体のメンツは一緒なんだけどね。

あの日を境に何か変化が起こるわけでもなく、ただただ平穏な毎日。

3年間、またこの人たちと笑ってられる。


そう思っていた。


人にはいつ限界が来るかわからない。そしてそれは突然やってくる。

自己紹介も済んで、入学式から4日経ったある日のこと。

僕はいつも通り教室に入って元気に挨拶をする。

「おはよ〜っす!」

朝だからだろう。少し声が震えてしまった。

おかしいな。いつもはこんなことないのに。

「おは…えっ?」

近くにいた子は僕の顔を見るや否や、驚いたような声を上げた。

「あんた…どうしたん!なんか辛いことあったんか?」

そんなことないよ————————

そう言いかけて口を開くと、その中に水が入った。どこか覚えのあるしょっぱさ。


僕はなぜか泣いていた。なにもつらくなんて無かったはずなのに。

心配そうな周りの表情。痛む胸。歪む視界。

そこから先の記憶はない。次に気づいたときには先生に連れられてカウンセリング室の前にいた。

後で聞いた話だと、全力疾走で廊下を駆け抜けていたところを先生に見つかり捕まったのだという。捕まえてもなお大暴れして泣き叫ぶので異常なことに気付いたという。


僕はカウンセラーの先生に全て吐き出した。

今朝あったことも、小学校のことも、思い当たることは全て。

その様子を聞いていた先生は、こんな提案をしてきた。

「四ツ葦くん、みんなにも話してみない?」

「無理してみんなに合わせる必要はないの。ありのままを知ってもらうのも大事だと思うわ」


正直まだ教室に戻る気にはなれない。また泣き出して逃げ出してしまうかもしれないからだ。

そのことは先生に任せて、保健室に移動することにした。

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