秘められた過去
はじめに。
この小説は、Twitterイラスト企画「獣ふんどし茶屋 まつり」のキャラクターとして作られた
「四ツ葦 汰介」の生い立ちを書き記した小説となっております。
少々重たい内容などが出てくる場合があるので、読まれる際は十分に注意してください。
この話はフィクションですが、一部実在の地名が出てくる場合がございます。
それでもよろしい方はもうしばらくお付き合いください。
<キャラクタープロフィール>
名前:四ツ葦 汰介
誕生日:2004/3/28(執筆当時19歳)
種族:猫
「まつり」に入ってもうすぐ一年。徐々に先輩たちとの距離も縮まっていっているが、それが汰介には苦しかった。
汰介には誰にも明かしていない過去と素性があり、どのタイミングでそれを誰に明かせばいいのかわからなかった。
トラウマがだんだん濃くなっていく日々の中、職場の先輩であるアケルに買い物に誘われた。
アケルの学生時代からの友人も来ており、仲睦まじく話しているその姿が汰介には羨ましかったのだろう。
気づけば突然逆方向に走り出している。目に涙を浮かべながら、憧れの先輩から逃げている。
適当に入った路地裏。湿気がひどく、ゴミの匂いに顔を顰めながら汰介は座り込んでしまった。
そこに後ろを追いかけていたアケルが合流。精一杯笑おうとしながら目を真っ赤に腫らした汰介の姿を見るや否や、「知り合いのところへ行こう」と汰介を抱き上げるとそのまま走り出した。
中ノ 刃と名乗る男の家。出されたお茶を飲み一息ついた後、汰介は観念して走り出した訳を話し出した。
いままで家族の一部にしか話さなかった、その壮絶な過去を。